NHKプレミアムシネマのお陰で、せっかく借りたDVDを殆ど見ずに返す羽目になる。でもよくぞこれほどの傑作を選べるもんだ。
という事で今回は、”眠れぬ夜のために(1984)”の紹介です。
『ブルースブラザース』を手掛けたジョン・ランディス監督の不思議な魔力を持つ作品だ。サスペンスコメディとの触れ込みだが、実に上手く出来てる”シリアスな快作”だ。
展開としては、不眠症に陥っている男(ジェフ・ゴールドブラム)が現実世界で遭遇する不条理な悪夢の中で、奇怪に入り組んだコメディとスピーディな流れに、ギャグ満載と暗黒街的雰囲気を交互にテンポ良く披露する。
ゴールドブラムの少し陰湿でインテリな雰囲気が、不眠症に苛む主人公にドンピシャですな。ブレイク前のミシェル・ファイファーは、意外にブスで少し拍子抜けしたけど(笑)、スリムなヌード姿は悪くはなかったか。
ダン・エイクロイドに、リチャード・ファンズワースに、ギリシャの名女優イレーネ・パパスと、超豪華オールスターに、何とデビッド・ボウイのおまけ付きだ。ただデビットに関しては存在感が薄かったかな、残念。
監督のランディス自身が、不眠症の男にしつこく付き纏う悪ノリ系殺し屋を見事に披露すれば、ロジェ・ヴァディムはフランス暗黒街のボスをリアルに演じ、ポール・マザースキーは放蕩な映画監督をフェイク気味に披露した。その上、かのデビッド・クローネンバーグは真っ当な主人公の上司役で登場する。
嗚呼、豪華絢爛というより豪華閲覧いや豪華悦楽というべきか(笑)。
彼らを固める脇役?として、ドン・シーゲル、ジョナサン・デミ、コリン・ヒギンズらも出てくる。11人の名監督と名優のこれでもかの、てんこ盛りセットに目が丸くなる。
彼らの怪演ぶり?も実にユニークにシリアスにテンポよく映る。巷の映画ファンなら涙が出そうな演出だろう。
傑作というよりもオフビート溢れる”快作”といえば言い過ぎか。
でも、この映画が日本で殆ど無名なのは、そのセンス丸潰しの邦題のせいなのか?
私だったら原題の”into the Night”そのままに、”夜に紛れて”とするんだけどな。
この映画は今見るべき映画である。いや見なきゃいけない映画でもある。
とまあ、ココマデは極々普通のどこにでもある映画レヴューであるが。この作品の凄い所はコメディでありながら、どこにでもある日常を描いている所である。それも非常に怖く危ういシリアスな日常をだ。
しかしながら、基本的にはコメディなのだ。でもコメディなんだけど微妙にリアル、リアルだけど明らかにフェイク、いや完全にフェイクなんだけど、やけに怖過ぎる実像ってとこ。
この極端なフェイクと重厚なリアルとテンポの軽いコメディーの融合こそが、この映画の一番の魅力であり、最大の醍醐味であり、卓越した凄みでもある。
CGがなかった頃のハリウッドに勢いと凄みと贅沢を感じてしまった。やっぱり映画はこうでなくっちゃ、天国にいる淀川さんも大喜びしそうな作品だ。
展開はシンプルだけど、登場人物がね。よくこれだけのオールスターが集まったもんだ。
でも、そんなに予算使ってないはずなのに、物凄く豪華で贅沢な映画に見えました。オリエント急行殺人事件よりも、不思議とセレブでエレガントに見えました。コミカルものなのにです。この時期はハリウッドの成長期だったんですね。
ハリウッドには辛口の転んださんも、見てるとこは見てるんですね。
でもこういう映画を作れるんだから、やはりハリウッドって私が思う以上に、凄い大きい世界なんですかね。合掌。
少し褒めすぎだがBBCもBloombergでもここまで書けるのがいるんかいな
そのままではパクリなので、自分なりにアレンジし軽快なコメディ風にしたつもりです。
ただ後半は主観を入れて重く濃くし、バランスをとりました。
結局、ジャーナルといっても同じ様な手法を使ってんですよね。