日本人はアグネスが大好きだ〜アイドル信仰と子供の国の不思議な日本

　日本人の”群れ”の特性というのは､追い詰められた時や盛り上がった時にもろに露呈する。
　香港の民主化デモの時､日本のメディアやSNSはアグネス･チョウに群がった。他にも重要なリーダーがいた筈だが､彼らはアグネスだけに群らがった。

　私の時代はアグネスと言ったら､妖艶なイメージのアグネス･チャンか､スリムで巨乳モデルのアグネス･ラムだった。
　どちらも国民のアイドルだった。アグネスという響きが良かったのか？媚を売る様な純朴で清廉なイメージが日本人に受けたのか？

　若い頃､私は中洲の風俗街によく足を運んだものだ。風俗嬢たちはみな若く､とても親切で可憐だった。アグネス･チャンやアグネス･チョウみたいな清楚なイメージがいつも私を包み込んだ。

民主化の天使と妖艶なアイドル

　私はブログで”アグネス･チョウはどうも信用できない？”と書いた。これには私の直感に従っただけで､別に悪い意味はない。彼女は偽善だという極論で捉えられたら､私は謝るしかない。
　因みに､三合会の手先とか､CIAのエージェントやイルミナティ(悪魔崇拝信者)だとか､陳腐な陰謀説もちらほら出回ってるが､これこそがフェイクであり､誹謗そのものであろう。

　しかし､アグネス･チョウと妖艶なアイドル像がどうもダブって見えてしまう。
　”妖艶なモデル”でも書いたが､女性を見かけだけで判断すると大恥をかく。ごく普通の女の子ほど際どい職業に身を晒す。
　私の世代のアイドルと言えば､ある程度人種は決まってはいた。元不良女か､妾(めかけ)の娘か､スラムの出とか。

　そういう私も母子家庭だから､そういう人種の仕組みは理解できなくもない。
　しかし時代は変わるもんだ。今や風俗嬢の多くは､ごく普通の女の子でアイドルそっくりだ。普通の教養があり､挨拶もしっかりとしてる。会話もそこそこ洗練されてはいる。政治運動なんて朝飯前かもしれない。
　アグネス･チョウみたいな娘が万が一風俗嬢だったとしても､私は何ら驚かない。彼女の様な風俗嬢をいくらでも知ってるからだ。
　しかし､もし風俗嬢が民主化デモのリーダーだったとしたら？やはり驚くだろうか？
　いや､話題性としてみれば､ごく普通の女子大生よりもインパクトは強かっただろう。ひょっとしたら､香港デモが極端に暴動化する事もなかったかもしれない。
　鄧小平の言葉を捩れば､”風俗嬢の中にも愛国者はいる”となろうか？

　事実､ニュースで伝えられる過激なシーンとは異なり､香港市民の大半は普段通りの平穏な暮らしを続けている。
　中国政府からある一定の譲渡を引き出す為に､ごく普通の女子大生を民主化デモの”キャンギャル”に持ち上げたのだとしたら？
　

現代のジャンヌ･ダルク

　アグネスであれば､たとえ娼婦でもポルノスターでも､民主化運動のリーダーや政治家やガルズバーの看板娘でも､何であってもいいのだろうか。
　もし､雨傘隊のリーダーが泉ピン子だったら､彼女を”現代のジャンヌ･ダルク”とメディアやSNSはモテはやしただろうか？
　多分､一人もいない。いやよくて､民主化暴動の”意地悪婆さん”と蔑視されるのが精一杯だろう。

　実は､”アグネスは信用できない？”の記事を約3週間ぶりに復活させた所､すぐにTOPに躍り出てしまった。
　”泉ピン子は信用できない”でブログを書いたら､TOPのアクセ数を維持できたろうか？
　しかし､トップのアクセ数を誇る記事に､イイねが1つもないのも意外だが､香港デモの記事はそれ以外にも3つほど書いてるが､殆どアクセスがないのもより不思議だ。
　単に､”アグネス”という聞こえのいいフレーズに群がってるだけなのだろうか？

　日本人の殆どは､アグネス･チョウの初々しい清潔なイメージに群れたがるのだろうか？
　しかし､アグネスが雨傘をかざして訴える民主主義には､哀しいかな元々に正義はない。あるのは､不公平と不公正と腐った民主化の外枠だけだ。
　それでも香港のジャンヌ･ダルクは未だに絶大なる人気を誇る。そして彼女が若く､人気が不滅の間は､”アグネス”にも多くのアクセ数を獲得するだろう。勿論､イイねを押す日本人は殆ど皆無だろうが。

民主主義と女は､見かけが全てだ

　私達は政治家や議員を多数決という選挙で選ぶ時､単なる好き嫌いで判別する。つまり､その人が持つイメージが全てであり､それはそのまま票に繋がる。
　安倍晋三が長期政権を築けたのも､あれだけの大失態を重ねながらも､国民の指示を得られたのも､全てはイメージだ。

　つまり､人は見かけによる。と同時に人は見かけによらない。好き嫌いやイメージで判断すると大怪我をする。
　タイガー･ウッズがアンジャッシュが大の女狂いだとは､誰が予想できたろうか？
　アグネス･チョウが仮にポルノスターだったとしたら？日本人の殆どは絶望の縁に落とされるだろうか？
　自由の女神のモデルがパリの娼婦だったとしたら？アメリカは崩壊するのか？

　”妖艶なモデル”のアリエル･レヴェルがポルノスターである事を知った時､同じ様な奇妙な感覚に陥った事も確かだ。
　しかし､高度な知能と洗練さと可憐さを失わないポルノスターが､民主化運動の先頭を切って､デモを牛耳ったとしたら？
　ひょっとして､民主主義を正しい方向に導けるのは､陳腐なアイドルよりも若い妖艶なポルノスターなのかもしれない。
　事実､ドラクロアが描く｢民衆を導く自由の女神｣は､2つの豊満な乳房が露出している。
　大胆なエロスは民衆の意識を高揚させ､大衆を民主主義へと埋没させる。女性は自由を､乳房は母性(祖国)を表すとされるが､これこそが男の欲望そのものである。
　女が民主化の先頭を切る時､乳房は正義の剣となる。勿論､ジャンヌ･ダルクが若い裸体を武器に大英帝国と戦った筈もないし､アグネス･チョウに裸になって戦えと叫ぶ筈もない。

　しかし､若い魅惑的な女の存在は男たちに意識の向上を促す。躍動するエロスが､民主化運動の暴動を引き起こすきっかけにならないとも限らない。
　事実､マリリン･モンローも政治家になってれば､ケネディー兄弟の性の玩具になる事もなく､ハリウッド界の淫売女に成り下がる事もなかっただろうか。ひょっとしたら､大統領補佐官くらいは抜擢されたろうか？
　少なくとも小池婆よりは､ずっと優秀な政治家であったろう。

最後に〜アグネスは体を表す

　スティーブ･ジョブズは､自らの会社名をペプシパソコンではなく､”アップル”と名付けた。電話帳のTOPに連ねる事で､皆が覚え易い名前にしたかったからだ。
　エニグマの暗号解読には､頻繁に使われるアルファベットをヒントにした。
　日本で､”アグネス”という言葉が持て囃されるのは､アグネスという言葉の持つイメージが清廉さや純粋さを表すからかもしれない。
　アグネスがガンジー･チョウだったら､ここまで日本人は群がったろうか？
　滝川クリステルが滝川花子だったら､ここまで嫌われたろうか？

　”名は体を表す”とは､よく言ったもんだ。

　阪神タイガースに､陳義信という期待された台湾の投手がいた。チン(陳)は日本では放送禁止だから､陳を最後に回し､ヨシノブ･チンと名を変えた。お陰で余計に”チン”が目立つ様になり､イメージが淫乱っぽくなり､彼の活躍も乱れ始めた。
　そのまま､陳義信で通してたら､彼のキャリアは大きく変わったろう。

　これからも”アグネス”は民主化の女神として君臨し続けるのだろうか？オバサンになっても天使であり続けるのだろうか？
　それとも､清廉潔白な天使から陳腐なアイドルになり果てるのだろうか？