Liu Xiang Tea Salon

「リュウシャンティーサロン」での中国茶・台湾茶のレッスンの様子、季節ごとのインテリアの設えなどを綴っています。

2016明前・茶の旅2~顧渚紫筍

2016-04-04 | Tea Trip
○3月27日
宜興より浙江省湖州市長興縣水口郷顧渚山へ移動し、
顧渚紫筍茶の製茶を見学。

顧渚紫筍茶は、陸羽の茶経にも登場する有名なお茶で、
唐代には献上茶として国を代表するお茶でした。

顧渚紫筍茶の新芽はうっすらと紫がかった色をし、
筍のようにぷっくりとした形をしていることから、
紫筍茶といわれています。
新芽は一芯一葉~一芯二葉で、
一斤(500g)のお茶を作るのに、6万から8万の新芽を摘むそうです。


お茶の製造は機械化が進む中、
伝統の釜で作る製茶法も見せていただきました。
このお茶は烘青と炒青を両方行う製茶工程を経て
作られるお茶です。

明前の新芽で作られた顧渚紫筍茶は、
採れたての筍のような息吹を感じ、
まるで春の香に包まれたかのような、
甘くて柔らかい味わいのお茶です。


○3月28日
唐代の皇帝は献上茶とされていた顧渚紫筍茶を
製造、監督するために国営の製茶工場「貢茶院」を設立しました。
雄大な敷地に復元されたその「貢茶院」を訪問しました。


立派な陸羽閣や広い貢茶院の様子。
 

当時のお茶を製造する様子も再現してありました。
洗茶(Wash tea)→蒸茶(Steam tea) →搗茶(Mash tea)


→拍茶(Press tea)→晾茶(Air tea) →串茶(Punch tea)  


→焙茶(Bake tea) →封茶(Pack tea)

当時の献上茶は真ん中に穴を開けた、
丸い形をした小さな餅茶でした。


次に向かったのは陸羽のお墓。
陸羽の晩年はこの浙江省湖州市で過ごし、
茶経を完成させたとされています。


我々は陸羽の墓石前で無我茶会をし、
陸羽に一杯のお茶を献茶いたしました。


ここから山頂の三癸亭まで階段を上っていきます。
顧渚紫筍の茶樹も眺めつつ、
途中、皎然霊塔もありました。
皎然は禅僧の達人であり、詩の師匠のみならず、
唐の時代の茶の師匠でもあり、
陸羽が茶経を著述したのは、
皎然との友情に負うところが大きいそうです。


更に進むと、李自強宗師の寄贈された石碑が置かれています。
「新加坡和中国的茶人友誼常青」
~シンガポールと中国の茶人の友情は永遠である~

私も改めてこの旅で茶友の大切さを学びました。

李宗師の寄贈石碑を眺めつつ更に登っていくと、
見晴らしの良い頂上に三癸亭があります。
三癸亭は陸羽の詩の友、有名な書道家でもあり、
湖州の行政長官でもあった顔真卿が
陸羽のために造った亭とされています。
陸羽もこの地で美しい風景を愛でながら、
詩を詠んだりお茶を楽しんでいたのかと思いを馳せると、
とても感慨深く、しみじみといたしました。



陸羽の墓を後にし次に向かったのは、
浙江省杭州市余杭区径山にある仏教禅寺径山寺です。
径山寺は日本とのゆかりが深く、
禅の修行のため日本から何人もの修行僧が
ここで学んだと言われています。
禅僧たちはいろんなものを持ち帰り、
日本茶道に影響を及ぼしたとされ、、
径山寺味噌(金山寺味噌)や醤油も径山寺が由来とされています。
径山寺からのすばらしい景色。

今回の旅で唯一心残りなのは径山茶が手に入らなかったこと。
今年の茶摘みは1週間後からとのことでした。


この日の夜はまだまだ続きます。
中国人の茶友の紹介で得光清茶館へ。
川べりにたたずむ素敵な茶芸館でした。
優雅な雰囲気の茶館で、茶友の淹れたお茶や点心を楽しみました。
 


この後更に腹ごなしをしに夜の屋台へ繰り出した私達。
ホテルに着いた頃には日をまたいでいて(笑)、
とても長い一日でした。


浙江省杭州市の獅峰龍井茶につづく・・・



2016明前・茶の旅1~宜興

2016-04-04 | Tea Trip
留香茶芸の李自供宗師と共に行く、
中国太湖の周りを巡るお茶の旅のレポートです。
シンガポール、日本、中国、香港から総勢23名の茶友と共に、
まさにお茶尽くしのお茶の旅、4回に分けてレポートします。


○3月26日
我々香港からは空路で寧波に入り懐かしい面々と合流、
ここから急須の都、宜興へバスで移動します。

江蘇省太湖の西に位置する宜興は、
世界的に有名な紫砂急須を産出する中国の陶都です。

さすが宜興のホテルのロビーには、
有名な東坡壺の形をした巨大な急須が飾られていました。



○3月27日
宜興の急須の工房で、
「打身筒」という全て手作りの急須制作方法の実演を見学。
紫砂泥という土を叩いてのばし成型する、
ろくろを使わない宜興急須の特徴的な方法です。



急須のボディ作りまでを見せて頂き、
あとは蓋と取っ手と注ぎ口をつけて完成です。
この実演後、実際に紫砂泥を使って急須づくりを体験。
目で見るのと違い、
固い紫砂泥を均等に伸ばし形作るのは大変難しく、
長年の経験と勘が必要だということを実感しました。


急須制作を体験した後は、
宜興の紫砂泥を長年採掘したため、
池になってしまった紫砂の採掘地を見学。
紫砂泥は年々減少していて産出は少なくなっており、
採掘も制限されていて、
宜興の急須は益々貴重なものとなっています。



斜面に龍が這うように造られた「龍釜」も見学。
清代から続く釜とのこと。
今でも月に一度使用されているそうです。



次に訪れたのが中国宜興陶瓷博物館。
本で見ていた宜興の有名作家、
顧景舟、蒋蓉、何道洪などの作品が間近に見られて感動でした。



浙江省湖州市長興縣の顧渚紫筍茶につづく・・・