第31作目は、駿州江尻(すんしゅうえじり)です。
静岡県静岡市清水区追分
江尻宿は江尻津や南方の清水湊とともに東海道の交通の要衝でした。
街道は、かなり強い風が吹き荒れ、人々は飛ばされまいと身をかがめ、
笠をおさえています。 強風は、頭巾姿の女性の懐から懐紙を奪い、天高く何枚も飛ばされていきます。
笠が懐紙を先導しているかのようです。 直接見えない風を描いています。
富士は泰然としています。
動と静の対比は、強風にうろたえる人間の小ささを表現しようとしたのでしょうか。
道の先には姥が池の水面が白く見えています。
最初に絵を見て思ったのが、飛んでいく紙や傘をどうしようか、でした。
でも何とか収まりました。
見えない風に翻弄された作品でした。
原画です。
解説は、「葛飾北斎 富嶽三十六景 解説付き」から引用しました。
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