月刊ガソリンスタンド7月号の110、111ページです。
俺には夢がある!!
大津波でも「心までは流れない」
大震災の翌日 夢枕に立った亡き母に誓う 絶望からのSS再興
三浦石油・歌津SS
(人懐っこい笑顔の元気なSS社長さんの写真が載ってます)
宮城県南三陸町、歌津地区。
特に沿岸部に位置する当地で“大震災2日後”に、同SSは“再開”している。
“最低限のガレキを移動させただけ”の状態でどうやって再開したのだろうか。
また、どうしてその意気に至ったのか。
震災以降、たびたびメディアにも取り上げられる三浦社長の事が、本誌記者はどうしても気になり、今回の取材を申し込んだのだった。
「あれから3年以上経つしなぁ・・・。この店も去年の9月に“一応”建て直した。補助事業でね。どうだ綺麗なもんだろ?」
三浦社長は少しおどけた様子で話す。あまり「これまで」を話したくないのかも知れない。
しかしそうはいかない。「ありのままをお伝えしたいんです」と食い下がると、ジッとこちらを見て「話が長くなるよ。じゃあこっちへ」と事務室に通された。
「3.11の約3年前、修行に出ていた息子が帰ってきた。
『親父、SSの隣に本格的な塗装ブースを備えた板金工場を作ろう』って言うんだ。SS内で小さくやればいいんじゃないって言ったんだけど、片手間でなく全力でやりたい、と。しばらく悩んだけど、作ったよ、 工場。何千万の借金背負ったけど、SS活性化と息子の頑張りのためなら構わないってね。それで大津波が来て、全部消えてしまった」
これが被災SSの現実なのだと思うと「部外者」である記者は沈黙してしまった。
「俺の親父とお袋は、津波で流されて行方不明になった。親父の遺体がすぐ見つかったのは不幸中の幸いだった。
俺自身、津波が目の前まで来て、飲み込まれかけた。間一髪で息子の車に飛び乗って命を拾ったんだ」
「親父が始めたSS商売だ。俺も若い頃、親子だから喧嘩もしたけど、全部教えてもらった。親父だけじゃない。この地域全体が俺を育ててくれた。
例えば忙しくてメシを食う時間もなく灯油の配達に行くと、そこの家の主人が白メシに海苔をつけて、ポンと投げてくれる。
それが嬉しくて、美味しくて。町全体が温かく育ててくれたんだ」
そんな町が大津波で壊滅したのだ。心中察するに余りあるということだけを痛感した。
「震災翌日、命からがら弟の家に着いた。高台にあったから弟と家は無事で。
精根尽き果てて眠りにつくと、まだ行方の分からないお袋が夢に出てきて『助けて、助けて』って言うんだよ。苦しくて目が覚めた」続けてもう一度眠ると、今度は自分が10代20代の頃の風景が、本当に走馬灯のように流れた。
明治生まれのお婆ちゃんが飲ませてくれた「うんと甘い」コーヒー。さっきの「オニギリ」のことも。温かい皆の心。
再度目が覚めた時に俺は、心を鬼にした。
さっきのお袋の「助けて」は、この地域を助けろってことに違いない。
俺にできる事は、SSだ。
地下タンクに油は入っているはず。もし無事ならば手回しで給油できる。
すぐガレキの山に向かったよ」
「まだ自衛隊も来ていなかったから、せめて到着するまでは緊急車両に給油しようと。
当然、周辺SSはまだどこも再開できていない。
来る日も来る日も行列ができて、手の感覚がなくなるまで皆に給油した。もちろん無料でね」
「ある日、軽トラックが来た。『こういうの緊急車両ではないかもしれんが、なんとか給油してもらえんだろうか』って、すがるように頼まれた。
ブルーシートに覆われた荷台に、遺体が置かれていた。火葬場に行きたいのだと。
顔を見たら若い頃「オニギリ」をくれた、そのお爺さんだった。泣いた。いくらでも油持ってけ、早くお骨にしてやってくれ、と今度は俺がすがったよ」
そうやって一日一日、給油を続けた。
人が来ない日はなかったから「結局、今日まで続ける事になった」という。
いつまでなんて決めていない。せめて復興するまで。
「最終的には、お袋の遺体も見つかったんだ。発見された場所はなんと、弟の家のすぐ近くの、大きな杉の木の上。
なんだ、俺の夢枕に立った時、本当に見ててくれてたんじゃないか。本当に、近くで声をかけてくれてたんじゃないか」
三浦社長の目が赤くなった。
*****
三浦社長さん、ありがとうございます。
ガソリンスタンド社の記者さん、ありがとうございます。
ぷぅー!
「必要最小限の利益を確保することが必要」
だからってお上がどーするの?!
嫌だな。
(ま、どうすることも出来ないと思うけど)
もしもそうなら、商売(ビジネス)でもないし、奉仕でもない。
“飼われている”みたいなことですか?
もしもそんなことになるのなら、もうヤメル。
全石連「地場SS支援求める」 総合エネ調に意見書提出
7月2日 燃料油脂新聞より
全石連は、資源・燃料政策の方向性を示すための議論が大詰めを迎えている、経済産業省の総合資源エネルギー調査会資源・燃料分科会石油・天然ガス小委員会に石油販売業界の意見を提出した。
同小委員会が近くまとめる中間報告書に
「必要最小限の利益を確保することが必要」との趣旨の記述を要望。
石油サプライチェーン最前線で安定供給を支えている地場SSの経営基盤強化への支援を求めている。
中間とりまとめの議論が行われた6月30日の会合で、販売業界代表委員の河本博隆全石連副会長・専務理事は、販売業者の約8割がガソリン1リットル当たりの利益が1.3円以下(平成24年度)にとどまっている状況などを資料で示した。
「このまま流通マージンが確保できず厳しい経営状況が続けば、SS過疎化がますます進む」と危機感を表明。
販売業界が今後も石油製品の安定供給を支える役割を果たしていくためにも「必要最小限の利益を確保することが必要」と訴えた。
エネ庁はこの日の会合で、エネルギー供給構造高度化法の次期告示案を提示した。
河本委員は、流通マージン低迷の背景にある需給要因について、精製設備の廃棄によって供給過剰状態を解消し需給を適正化すべきと指摘。
その結果、業転玉流通の縮小とともに、系列価格と業転価格との格差が解消することに期待感を示した。
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>販売業者の約8割が
(※販売業者の中で、セルフのSS数は25%強、だけどそれが占める販売数量は5割を超します)
>ガソリン1リットル当たりの利益が1.3円以下
粗利から経費引くとそうなのね(==;
こうして改めて確認すると凹むどころのハナシじゃないね。
みんな本当によくやってるよね。
だから本当にもっと知ってもらわなきゃいけないと思う。
それはそうと「必要最小限の利益の確保」って???
そういうのって補助金とは全く意味が違うよね。
みんなが納得できるような方法なんてないでしょう。
>流通マージン低迷の背景にある需給要因について
供給過剰だとしても、仕入れ値に格差が無ければ、
撤退・廃業していたのは石油サプライチェーン最前線で安定供給を支えている地場SSでは無かったと思うよ。
>業転玉流通の縮小とともに
これも今となってはどうなの?って感じです。
非情です。
「元売マークを掲げていたらその元売に殺される」そう思ってマークを下ろしてPB・無印になった販売業者だって、セルフにせず昔ながらの形態で営業を続けている店は、石油サプライチェーン最前線で安定供給を支えている地場SSなのですから!