Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

にっぽん女優列伝(65)緒川たまき

2018-06-25 00:10:00 | コラム
72年2月11日生まれ・46歳。
山口~広島出身。

じつは隠れファンの多い、緒川たまき(おがわ・たまき)さん。

自分もけっこう好きですし、そういえば友人Aも後輩Cも「じつは好き」といっていたっけ。

敢えて「じつは」をつける必要はありませんし、隠れることもないのですけれどね笑

とくに、2000年代のメディア露出の方法にセンスがあったと思います。
バラエティ番組『トリビアの泉』(2002~2012、フジテレビ)における「うそつき…」とか、
純文学をこよなく愛しているところとか、
主にインディーズ映画で活躍したりして、
「控えめになった二階堂ふみ」という表現が適切かどうかは分かりませんが、そういうところに魅かれて隠れファンが続出したのだと思います。





<経歴>

旦那は、劇団「ナイロン100℃」主宰のケラリーノ・サンドロヴィッチ。




モデルとして芸能界入りし、94年の『ナチュラル・ウーマン』で映画俳優デビューを果たす。
女子同士の恋愛模様を描いた松浦理英子の原作小説を松浦自らが脚色化した作品で、原作を楽しめた自分はゆえに期待したのですが、映画としては失敗作だったかと。

ただ。
ただ!

たまきさんの魅力は炸裂しており、隠れファンはこの時点で隠れファンになった? のではないでしょうか。


『プ』(95)、『静かな生活』(95)、『SF サムライ・フィクション』(98)、
『ジュブナイル』(2000)、『Stero Future』(2000)、『ピカレスク ―人間失格―』(2002)、『ホ・ギ・ラ・ラ Hogi-LaLa』(2002)、『乱歩地獄』(2005)、『楳図かずお恐怖劇場 蟲たちの家』(2005)、『観察 永遠に君を見つめて』(2007)、『陰日向に咲く』(2008)、『へんりっく 寺山修司の弟』(2009)・・・メジャーにも顔を出していないこともないですが、
本人の嗜好もあり、そして実際にそのほうが輝くこともあって、インディーズ映画への出演が目立ちます。

2009年、結婚。

これにより元々控えめだった映画出演はさらに減り、旦那さんとの関係性もあるのでしょう、活動のメインが舞台となりました。


近年の映画作品に・・・

『紙風船』(2011)、『ラビット・ホラー3D』(2011)、『きいろいゾウ』(2013)、『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド』(2015)、『禅と骨』(2017)など。


隠れファンとしては寂しいですし、旦那さんは映画も手がけるひとなのだから、ここいらで映画の「決定的な」代表作を期待したいところですね。


次回のにっぽん女優列伝は、小川範子さんから。

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明日のコラムは・・・

『「下の名前で呼びたい」症候群』
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にっぽん女優列伝(64)岡田奈々

2018-06-24 00:10:00 | コラム
59年2月12日生まれ・59歳。
岐阜出身。

人気ドラマ『スクール☆ウォーズ』(84~85、TBS=大映ドラマ)で、ラグビー部員のために、信じられない量のおにぎりを作る―自分にとって岡田奈々(おかだ・なな)さんといえば、このキャラクターがベストです。



世代的に、アイドルやっていたころは知りません。

そして。
本人は触れられたくない・蒸し返されたくない? でしょうが、
自宅に暴漢が侵入し、数時間居座った挙句、怪我を負わされた(77年7月)というエピソードも、だいぶあとになって知ったことです。

じつはこの犯人、未だ捕まっていません。
(すでに時効成立)

たぶんファンなのでしょうけれど、誤解を恐れずにいえば「電波受け取っちゃった系」といいますか、「ネジが1本外れちゃった系」といいますか、いずれにしても怖かったと思います。

斬りつけられてはいますが、彼を刺激しないよう、奈々さんは「努めて」「冷静に」会話を展開しようとしたのではないでしょうか。



<経歴>

じつは、ポッキーの初代CMガール。

自分の生まれた74年―オーディション番組『あなたをスターに!』(テレビ朝日)でグランプリを獲得、翌年に歌手デビューを飾る。

映画俳優デビュー作は、76年の『青春の構図』。

その翌年に事件に巻き込まれるわけですが、すでに売れっ子だった奈々さんは怪我が治る前にテレビドラマなどの撮影を再開させたそうです。


『暴力戦士』(79)、『隠密同心 大江戸捜査網』(79)、『戦国自衛隊』(79)、
『青春グラフィティ スニーカーぶる~す』(81)、『あゝ野麦峠 新緑篇』(82)、『白蛇抄』(83)、『オキナワの少年』(83)、『里見八犬伝』(83)、『最後の博徒』(85)、『塀の中のプレイ・ボール』(87)。

かわいらしい顔立ちゆえ、中年になっても「かわいらしい感じ」のキャラクターを演じることが多いですね。

しかし90年代以降、そのイメージを脱却すべく様々な役柄に挑戦するようになります。
その手助けをしたのが、デビュー初期作『暴力戦士』の監督・石井輝男。

クドカンが森下愛子を、QTタランティーノがパム・グリアを復活させたのと同じにおいがして、いいですよねこういう流れ。


『パチンコ物語』(90)、
石井作品『ゲンセンカン主人』(93)と『無頼平野』(95)、
『ラブ&ポップ』(98)、
『少年と星と自転車』(2005)、『遠くでずっとそばにいる』(2013)、『恋』(2014)、そして最新作が『海すずめ』(2016)。


とても還暦一歩手前とは思えませんよね、まだまだその魅力をスクリーンで炸裂してくれることでしょう。



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明日のコラムは・・・

女優列伝、3連続でいきます。
『にっぽん女優列伝(65)緒川たまき』
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にっぽん女優列伝(63)大政絢

2018-06-23 00:10:00 | コラム
91年、、、わ! 自分と同日だったか!! 2月4日生まれの27歳。
北海道出身。

公式ブログ


はっきりいって大政絢(おおまさ・あや)さんについて、よく知りません。
ません・・・が、本稿を書くにあたりプロフィールを調べたら、そうかそうか自分と同じ誕生日だったかと。

俄然、応援したくなりました。

そういうものでしょう、ヒトって。

キョンキョンがどんな状態にあっても支持しつづけますし、
時任三郎のことをいつでも気にかけています(?)し、
南海キャンディーズのしずちゃんが、芸人として面白いかどうかはよく分かりませんが、長く活躍してほしいと思っています。

みんなみんな、2月4日生まれ。

だから、馴れ馴れしく絢ちゃんと呼んでみましょう。

「モデル上がりの女優さん」としては注目度が高いほうだと思いますので、あとはどれだけ作品に恵まれるのか・・・ではないでしょうか。




<経歴>

中学生のころにスカウトされ、モデルデビューを飾る。
目を引く女子中学生って居ますものね、かわいいだけじゃなく、スタイルも「ほぼ」完成されていて、同じ人間とは思えない子が。

絢ちゃんもきっと、そんな目立つ存在だったのでしょう。

2007年、雑誌『Seventeen』の専属モデルになる。


映画俳優デビュー作は、2008年の『TOPLESS』。
レズビアンたちに焦点を当てた物語で、デビュー作としては攻めたチョイスだと思います。

『ニュータイプ ただ、愛のために』(2008)、
現時点における代表作であろう『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』(2011)、
『ケータイ刑事 THE MOVIE3 モーニング娘。救出大作戦! ~パンドラの箱の秘密』(2011)、『Paradise Kiss』(2011)、『僕たちのアフタースクール』(2011)、『くろねこルーシー』(2012)、
『劇場版 仮面ティーチャー』(2014)、『コスメティックウォーズ』(2017)、個人的に去年のワーストに認定している『PとJK』(2017)、そして最新作『レオン』(2018)・・・という具合に、キャリア初期のほうが作品に恵まれているような気がします。


まぁでも大丈夫でしょう、きっと。

だって2月4日生まれですから、今後の飛躍は約束されているようなものです笑

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applause

2018-06-22 00:10:00 | コラム
applause=拍手、の意。

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自分にとっての神映画『タクシードライバー』(76)が全米で公開されたとき、監督スコセッシは場末の劇場に観客として何度か潜り込んだそうである。

自作をあらためて鑑賞、、、ではなく、観客の反応を確かめに。

そうしたらば。
クライマックスの殺戮シーンで拍手が起き、一部の観客が「そうだ、やっちまえトラビス!」と声をあげて主人公を応援し始めた。

スコセッシは、たいへんなショックを受けたという。

留飲を下げたかのような観客が、理解出来なかった。

そんなつもりで、クライマックスを用意したわけじゃないのに・・・と。


複雑だろうなぁ。

真面目に発したことばだったのに、多くのひとが笑うみたいな、これは日常でも起こり得る話だと思う。


このテーマで論じていくと長くなるので方向転換し、きょうは「拍手」について。


米国人のリアクションは派手である―というのは、格闘技を観ていても分かること。

バチバチの殴り合いが展開されたときの歓声は日本だって大きいもの、ではあるが、
いわゆる塩試合(=つまらない、しょっぱい試合)が展開されたとき、日本の観客はそれでも最後の1秒まで試合を見届け、ゴングが鳴ったあとにブーイングをする。
しかし米国の観客は、塩が展開された「1秒後」から、方々でブーイングを始めるのだった。

焦んなさんな・・・と思うときもあるけれど、そのブーイングによってファイターが発奮し、試合が動くときも「ときどき」あるわけだから、どっちが正しいとかそういう話ではない。


つまり、日本の観客はマナーを守る「よき観客」であるかというと、そう断言は出来ないということ。

拍手や歓声、ブーイングを恥ずかしいと思っているだけかもしれない。

シャイであると。


そんなシャイな国民性であるからして、劇場で拍手が起こることは「あまり」ない。

「あまり」ない、つまり、「稀に」起こるってことで。


以下、自分が印象に残る「上映中に拍手が起こった映画5本」。


面白いのは、「映画的に優れているかどうか」というのは置いておいて・・・という作品が入っていること。


いいじゃない、そんなことは!!


(1)『ムトゥ 踊るマハラジャ』(95)

あとがつづくことがなかった笑、マサラムービーの代表作。

みんな、ノリノリで観ていた。




(2)『スター・ウォーズ ファントム・メナス』(99)

15年ぶりのシリーズ再開だったものだから、そりゃあ盛り上がるって。



(3)『スピード』(94)

先行オールナイト(=公開1週間前にオールナイトで上映される特別興行)が流行したのは一瞬だったが、そのころに観た映画のなかで最も劇場が沸いていた。

(4)『七人の侍』(54)

名画座などでアンコール上映されることが多いが、いつだって、どこからか拍手が聞こえてくる。

すんばらしいことだと思う。

(5)『この世界の片隅に』(2016)

こちらの拍手は、静かに、遠慮がちに。

しかし一瞬ではなく、しばらくつづく拍手。



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『にっぽん女優列伝(63)大政絢』
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映画監督別10傑(19)シドニー・ルメット

2018-06-21 00:10:00 | コラム
~シドニー・ルメットのキャリア10傑~

新聞には文字数制限があるのだから、仕方ないかもしれないが・・・

著名な映画監督の、「それなのに」小さ過ぎる訃報記事に触れるたび、あぁ自分が担当記者だったらな、三面記事のすべてを使って追悼文のような訃報記事を書くのに! と思う。

きょうの主役、ルメットもそうだった。

ゴッリゴリの社会派監督だが、娯楽要素という調味料をきちんとふりかけるひとなので、批評・興行の両面で結果を残した。

日本でもそれなりに人気があった監督であるにも関わらず、写真さえ載せない、じつに素っ気ない記事だったのである。

それ見た瞬間、新聞を引き裂いたね。(うそ)
それを丸めて踏んづけて、火をつけたね。(うそ)


創り手は死んでも作品は生きつづける。
なんてことばがあるけれど、映画小僧だけでもいいから、創り手の名前も「ずっとずっと」覚えておくべきだ。


(1)『狼たちの午後』(75)

「ほぼ室内」で展開される、銀行強盗モノの最高峰。




主演パチーノもいいが、狂気を帯びた相棒のジョン・カザールが最高。

(2)『十二人の怒れる男』(57)

誰かが「米国の良心を信じられたころに創られた傑作」と評したが、まぁそれはともかく、大金をかけなくても派手な展開を用意しなくても、面白いものは創れる―ということを実証している点をいちばんに評価すべきでしょう。



(3)『ネットワーク』(76)

テレビの裏側に「いち早く」迫った業界モノの快作。



一般層以上に同業者からの評価が高く、PTAポール・トーマス・アンダーソンは自作の出演者にこの映画を観せることが多いという。

(4)『セルピコ』(73)

敵は外にではなく、なかに居た。

ニューヨーク市警に蔓延る汚職と戦う、孤高の刑事の物語。

(5)『未知への飛行』(64)

米ソ核戦争を題材にした社会派SF。

ほぼ同時期にキューブリックの怪作『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』(64)が発表されたため、インパクトという点で弱くなり、興行面においても苦戦したといわれている。

同じスタジオで制作されたのだから、同時上映というスタイルが理想的だったのだが。。。

(6)『オリエント急行殺人事件』(74)

アガサ・クリスティーの代表作を、オールスターキャストで映画化。

リメイク版と比較するのも面白いかと。



(7)『刑事エデン/追跡者』(92)

甘ったるい声が魅力の、メラニー・グリフィスが刑事・・・その時点でどうかな? とは思ったが、いやいや意外にも似合っていた。

異教徒のコミュニティに潜入する展開から、女刑事版『ジョン・ブック』(85)と評する声も。

(8)『評決』(82)

酔いどれ弁護士、ポール・ニューマンが復活するまでの物語。

ルメットの演出は手堅く、そして、ニューマンのパフォーマンスはキャリアのなかでも最高の部類に入るものだろう。

(9)『ファミリービジネス』(89)

『万引き家族』を、豪華に上品にした感じ?



でもちょっと、上品にし過ぎたためにパンチは弱かった。

(10)『旅立ちの時』(88)

テロリストとして指名手配を受ける両親を持った、高校生の青春とは。

主演リヴァー・フェニックスの輝きが眩しく、じつはそのあたりを堪能する映画になっている。

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明日のコラムは・・・

『applause』
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