僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

東京の宇宙

2013年12月26日 | ケータイ小説「パトスと…」






辰雄、きれいね

うん、きれいだ



空に星が出てたら最高だね

ううん、出てないのがいい




留美子はほほ杖をついたままつぶやいた





東京じゃぁ星が出てもちょっとしか見えないし

きれいな星を見るならどこか遠くに行かなくちゃ



これで我慢しとく

ちがうの



違うってなに?

ほら、あれが星、みーんな星だわ





東京には空がないって智恵子が言ったんでしょう

そう、小説の中でね、本当にそうだと思うよ、留美子もそう思うだろう



それは智恵子が病院のベッドから窓を見て故郷の空と違うって思ったからよね

街を歩いて空を見上げてもさ、空はほんのちょっとしか見えないし



ねぇ辰雄

ん?



スカイツリーは宇宙エレベーターだと思わない?

何のこと?



地球から宇宙へ行くエレベーター、前に辰雄が話してくれたじゃない

うん、そうゆう話って留美子も好きだろ、でもスカイツリーじゃ全然低いし



好きよ、大丈夫、ほら宇宙に届いてるの

留美子は手のひらを丸めて望遠鏡にした



見て、あの明かりたちは星なの、宇宙エレベーターで銀河の真ん中に行けるのよ

逆さまってことかぁ




辰雄は留美子の作った望遠鏡を両手で包み、一緒にのぞき込んだ



今度一緒にあの宇宙エレベーターに乗りに行こうね

行こう、逆さだからエレベーターで地球に戻るんだよ







つづく



















































コメント (2)
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