僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

東京の宇宙…②

2013年12月27日 | ケータイ小説「パトスと…」









私、ちょっと酔っちゃったかも、顔、赤くなってない?

いいんじゃない、赤くなったり緑になったりしてるよ











留美子はちょっと怒ったように口をとがらせて辰雄の腕を振った

辰雄は組んだ腕に力を込めてそんな留美子を押さえ込んだ




ほら、今度は緑になった









ほら、こんどは、えーっと何色かな









それって私の顔?

ま、そうだな、留美子は何色がすき?









いいよもう何色でも、何だかみんなきれいに見えてきちゃったもん

うん、いろんな留美子がきれいだし









こら辰雄、今あのお姉さん見ながら言ったでしょう








おまえ、ほんとに酔ってるな

いいんだも~んだ









あ~ぁ、最後のソルティドッグが効いちゃったんだね

そうそう、効いちゃったんだ~






留美子は眼を閉じて辰雄の腕を抱きしめている

辰雄は柵に寄りかかったまま、回り続けるメリーゴーランドをじっと見つめている

イルミネーションはふたりを温かい光で包んでいる

時間は流れているのか、止まってしまったのか

そんなことを考える力はとっくに無くなっている





つづく



















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