暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

オンライン稽古・・・炉の奥伝が終了

2025年04月07日 | 暁庵の裏千家茶道教室

   (スウェーデン・ストックホルムの瑞貴亭の茶室)

つづき)

暁庵の裏千家茶道教室の特別社中にスウェーデン在住のOさんがいます。

不思議なお茶のご縁に導かれて9年前に出逢って以来、お茶のお付き合いが続いています。

一昨年、Oさんは坐忘斎お家元から目出度く茶名を拝受し、今は準教授を目指して修練しています。

コロナ時期を除いて毎年来日し、我が家で炭手前や奥伝の稽古を熱心にしている方ですが、準教授ともなれば基本点前や所作がきちんとできていることに加えて、奥伝4種目を修練していることが大事なので、今年1月からオンライン稽古を始めることにしました。

行之行台子と真之行台子は修練していますが、大円草と大円真は稽古を見ていないので、この2つを炉と風炉でご指導し、習得してもらうのが一番の目標です。

    (暁庵では3月が大円真の稽古でした)

1月に1回、真之行(AYさんの稽古を見学)

2月に3回、大円真(AYさんの稽古を見学) 大円真(Oさんの稽古) 真之行台子(Oさんの稽古)  

3月に3回、行之行台子(Oさんの稽古) 大円草(AYさんの稽古を見学) 大円草(Oさんの稽古)

4月はOさんの海外出張など用事が多く、稽古はお休みです。

短期間でしたが、Oさんの熱意とAYさんの協力に後押しされて、炉の奥伝4種目をご指導することが出来ました。

Oさんはきちんと予習と復習をされて稽古に臨んでくださって、その努力と真剣さは暁庵へもAYさんへもひしひしと伝わり、AYさんにとっても良い刺激になり、特別な奥伝稽古になったことでしょう。

また、点前だけでなく問答を重視し、それぞれの奥伝の道具の格の違いや所作の意味も学習していただきました。

 

  (4月の御軸は「柳緑花紅」、紫野・寛道師の御筆です)

オンライン稽古を恐る恐る始めましたが、何とか最初の目標を達成することができ、安堵しています。

オンライン稽古の一番の問題点は8時間の時差で、こちらの稽古の見学は16時~18時(スウェーデン時間で午前8時~10時)、Oさんの稽古指導は20時~22時(スウェーデン時間で午後12時~14時)でした。

二番目は、こちらの稽古の見学だけなら問題ありませんが、Oさんの稽古を指導する場合、環境や稽古に使う茶道具が整っているかどうかも重要です。幸いOさんは畳を敷いた茶室を作り、奥伝を稽古する道具を揃えられていました。

最後に時間が少しでもあると、近況報告やスウェーデンでのお茶活動など、おしゃべりするのも楽しかったです。

  (ご近所の「ミモザ」の大樹が見事です)

また、5月から風炉のオンライン稽古が再開します。

今から心待ちにしています。

 

       オンライン稽古に挑戦中です

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大炉はないけど大炉の稽古

2025年02月14日 | 暁庵の裏千家茶道教室

    (早春の川辺・・・運が良ければカワセミに出会えます)

 

如月(2月)と言えば大炉の季節ですが、我が家には大炉がありません。

大炉は、裏千家11代玄々斎が北国の囲炉裏にヒントを得て創出され、裏千家独特のものです。六畳の間に逆勝手に切られ、炉の逆勝手の点前を基本とし、極寒の2月頃に用いられます。

大炉がないことを言い訳に大炉の稽古をしていませんでした。・・・でもね!その昔、N先生が炉を工夫して大炉の稽古をしてくださったこと、それに触発されて自宅でも大炉仕様の稽古を積んだことを思い出しました。

特に大炉の初炭と後炭は趣深い大好きな炭手前で、いつ指名されても出来るように一生懸命励んでいた日々を鮮明に思い出したのです。

    (如月になって「灑雪庵」の御軸を掛けました)

「大炉仕様で大炉の稽古をやってみましょうか?」と提案し、暁庵でもやってみることになりました。「オンライン稽古と言い、大炉の稽古と言い、準備が大変!」と心の中でブツクサ言いながら、準備や自主稽古に精出しました・・・なんか!新鮮な自分自身を感じながら・・・

先ずは今入っている五徳(鬼爪)と炉釜を上げて、小さな炉用五徳と風炉釜(真形)に変え、五徳を逆勝手の炉の右側に寄せて入れ、ケイ爪が反対の角(雪輪瓦の方)に向けて設えます。風炉釜を使用するので、炉灰をたくさん足して高さを調節し(これが大変でした・・)、風炉釜を掛けました。

雪輪瓦の代わりに巴柄の小皿を仕切りに入れて出来上がり。実際の大炉の大きさを知ってもらう必要があり、ピンクのテープを貼って分かるようにしました。

通常の炉は一辺が一尺四寸(約42.4㎝)ですが、大炉は一尺八寸(約54.5㎝)で約12センチも違います。

さて、稽古はT氏の初炭から始まりましたが、まず羽箒の掃き方、湿し灰の撒き方の割稽古をしてもらいました。いつもの炉の初炭手前とは違うのでなかなか覚えきれないのですが、頑張って覚えてもらいました。

初炭の特徴は、灰器を使わず雪輪瓦の向こうに湿し灰を入れ、灰匙をさしておき、そこから湿し灰を掬い取って撒きます。下火を置くと乾いてしまうので、湿し灰に少し霧を吹いて濡れ気味にし、始まる直前に炉中に入れてもらいました。

大炉は逆勝手ですが、炭斗中の炭の置き方や炉中の継ぎ方は本勝手と同じです。

羽帚の掃き方と湿し灰の撒き方の割稽古のお陰で、T氏は初めての大炉の初炭をスムースにこなしています。

     (水仙を天平瓦(写)に生けて・・・)

次いでAYさんの薄茶と濃茶点前です。逆勝手の稽古は本当に久しぶりです。特に足の運び(客付きの足で出入り)、袱紗は右に付け、袱紗捌きや茶碗を拭く位置などいつもと逆の右側なので頭の体操のようですが、薄茶が終わるころにはだいぶ慣れて、安心して見ていました。

濃茶は2人分、練ってくださって濃茶をT氏と暁庵でたっぷり賞味しました。濃茶は明昔(さやかのむかし、一保堂詰)です。

    (後炭・・・釜を上げた炉中の景色)

午後の最初にM氏に後炭手前をしてもらいました。炭(輪胴、丸ギッチョ、割ギッチョ、丸管、割管、枝炭など)を予め雪輪瓦の向こうに用意しておき、ほうろくを灰器に使います。とても風情のある後炭手前をM氏がこれまたさらさらと見せてくれました。

ただ、初炭で入れた胴炭を割ったので、炭をなおすのがとても熱そうで、一番大変だったのではないかしら? あの熱さは半端ではありません。私たち客は「きれいねぇ~」と炉中の美しさに見惚れていましたが・・・。

 

皆で交互に、逆勝手で点てて頂いた濃茶と薄茶を味わいながら、如月ならではの大炉の稽古に励んだ一日でした。おりしも我が家の梅に初花が・・・。 

  君ならで  誰にか見せむ わが宿の   

       軒端ににほふ の初花    源実朝 (金槐和歌集)

 

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オンライン稽古に挑戦中です

2025年02月05日 | 暁庵の裏千家茶道教室

     (富士山が見えた日に・・・)

 

今、海外の生徒さんとのオンライン稽古に初めて挑戦しています。

暮れから考えていたことですが、スウェーデン在住の生徒Oさんと稽古が思うように出来ないことが気になっていました。自分が置かれた環境の中で、とても熱心に裏千家茶道を追及しているOさんにしっかりお稽古を積んで、準教授を目指してもらいたいと願っています。

それで、zoomでの稽古を・・・と思いました。

「zoom・・今頃ですか?」と言われそうですが、今まで必要性を感じていなかったので、やり方もどんな機材が必要なのかも全くわかりません・・・。

    (かわいいメジロの表情に癒されます・・・)

そこで強力な助っ人にSOSです。次男が2泊3日で来てくれて、必要な機材の購入やzoomのやり方について特訓を受けました。

・・・う~ん!機材 も届き、実際に訓練を受けて、何とか概要のようなものはつかめましたが、とても厳しい先生でして、

「今の状態では相手の方に失礼だから、もう少し自主練習して2月半ばにzoomでの稽古が出来るように頑張ってください」と言ってお帰りになりました。いろいろありがとう!

自主練習をしてみると、いろいろわからないことが多かったので、zoomの教本を買いに行くと、「最近までたくさん置いていたのですが、全部引き上げてしまい、申し訳ありません」とのこと。

つまり、オンラインで自宅で仕事をしたり、授業を受けていたコロナ渦の時代は一段落して、新しくやる方はほとんどいなくなった・・・ということのようです。

それでも教本が必要と思い、「Zoom 目指せ達人 基本&活用術」という本を取り寄せて読んでいます。

案ずるより産むがやすしという言葉もあることだし・・・zoomで稽古をやってみよう」と、スウェーデン在住のOさんと初めてのオンライン稽古をやってみました。1月終わりのことです。  

その日は14時からAYさんの真之行台子が入っていたので、1度お稽古していただき、

16時(注:あちらでは8時)から2度目のお稽古をお願いしました。その様子をOさんにzoomで見てもらいながらご指導しました。

何とか1度目のオンライン稽古が無事(?)に終わりましたが、とても疲れました。

Oさんもお点前をしてくださったAYさんもさぞやお疲れのことでしょう。

   (パソコンやカメラを茶室へ持ち込みました)

茶友Rさん(アメリカ人の茶道追及者)にオンライン稽古のことを報告し、「凄く疲れた!」と言ったら、「オンラインは慣れるまで、指導する方も受ける方も、疲れると思います。でも慣れるから大丈夫!諦めないでね!😁」・・・と激励されました。

今考えていることは、月に2回はオンライン稽古をしたいと思っています。

1回はこちらの稽古を見ていただきます。その前に自主稽古をしておくと、どこがわからないかがはっきりして効果的な稽古になると思います。この前みたいに質問時間も設けたいですね。

もう1回は、Oさんの稽古を暁庵が見ながら、ご指導したいと思っています。

一番大事なことは、このようなオンラインの稽古システムがOさんの稽古になるかどうか、お互いの満足度はどうか・・・ということでしょうか。

試行錯誤が続きそうですが、Oさん、準教授を目指してお稽古やお茶の勉強を頑張りましょう! 暁庵もなんとか・・・

 

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令和7年初釜に向けて・・・台目濃茶の稽古

2025年01月15日 | 暁庵の裏千家茶道教室

(初稽古のお軸は「関 南北東西活路通」 東福寺・西部文浄師)

 

   ロイヤルパークホテル東京日本橋の耕雲亭

  (ビルの5階とは思えない緑豊かな佇まいが素敵です)

 

暁庵の裏千家茶道教室初釜を昨年と同様、ロイヤルパークホテル東京日本橋の耕雲亭でN先生のお社中と共催で行います。

耕雲亭の四畳半台目の小間で暁庵社中が濃茶席を、六畳の広間でN先生社中が薄茶席をそれぞれ担当します。

それで初釜に向けて1月11日から稽古を開始し、早速AYさんとKRさんが初稽古にいらっしゃいました。

「台目構えには台子が封じ込められている」(南方録)というS先生のお言葉通リで、濃茶では炉の台子飾りのような点前座の飾りつけです。

先ず点前座の畳の横四分の一、縦は向こうの壁と台目柱まで二分の一の位置に水指を置きますが、ここに台子があると思うとわかりやすいかもしれません。そして中央に茶入を飾っておきます。

今年は炭手前をしないので仕付け棚に薄器を飾ります。

  (耕雲亭小間の点前座・・・昨年の初釜の写真です)

茶碗を前に置いて茶道口に座り、襖を開けて濃茶点前が始まりました。いつものように茶碗を運び出し、茶入と置き合わせ、水屋へ下がります(バックで)。茶道口は常に客付きの足で越します。

建水を運び出し、襖を閉め、建水を持って炉の外隅をめざして座りますが、台目座りと言って、炉縁より握りこぶし1個くらい下座へ座ります。この位置はお点前さんの体格などにより多少変わります。

柄杓を構え、建水から蓋置を出して定座へ置き、柄杓を蓋置に置く時、「カッ!」という気合の入った音を出すようにご指導しています。これから眼目の濃茶を練るにあたり、「カッ!」は「喝!」に通じるように思えるからです。

注)禅宗における「喝」は、修行者に対して指導者が叱咤するときに用いられ、言語や文字では表現しにくい絶対の心理を示したり、悟りへの転機を与えたりするために用いられる叫び声とされている。これは間違った考えや迷いに対して叱ったり、励ましたりするときに使用される。

禅宗の修行僧ではありませんが、お茶の神様から「喝! 姿勢を正し、雑念を払い、心を込めてお茶を練るように・・・」という励ましのように聞こえるのです。

しかし、意に叶った良い音を出すのは難しく、これも修練が必要だと思いますが、道具つまり竹の蓋置も重要です。

その昔、敬愛する茶事の師匠は住み込み修行中、「良い音を出したくって、稽古前に早くに水屋へ行って音を出し、竹の蓋置を選ぶことから始めた・・・」そうです。

未熟な私はその意味するところを深く考えずに「へぇ~」と聞き流していたような・・・自分の思うような結果を出すにはそれなりの努力をしなくては得られない、絶えず自分で考えて努力せよ!喝!・・・という有難い師匠の教えでした。

 

今回、お稽古していて思うことは、コロナ禍の各服点の時期が長すぎて、2人分や3人分の濃茶を練る修練が足りないことです。とりあえず、2人分練って、相客と一緒に自服してもらい、温度、練り加減、量、濃さなどを自己評価してもらいました。

「練り加減は良いと思いますが、もう少し薄いほうが飲みやすいと思いました」

「少しぬるかったので、もっと熱々の濃茶を差し上げたいと思いました」

「これで良いと思ったのですが、飲んでみると量が全く少なかったです」

・・・そうなの。自分で練った濃茶を飲んでみないとわからないので、まずは飲んでもらっています。

「とても美味しゅうございました。香りも素晴らしく、濃さもお練り加減もほど好く、2人分を全部一人で飲みたいほどでした・・・」

このようなお客様のお声を頂けるように頑張りましょうね。

初釜当日は、きっと心を込めて一生懸命練ってくださることでしょう。今から楽しみ・・・

 

 

   (「源氏香」心づくしの料理も楽しみ・・・)

 

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令和6年 師走の稽古だより・・・一客一亭

2024年12月18日 | 暁庵の裏千家茶道教室

 

令和6年の暦の余白が少なくなりましたが、久しぶりの稽古だよりです。

その日はM氏お一人だったので、一客一亭の稽古をしました。

十ウン年前、尊敬するN先生が私一人の稽古の時にしてくださったことを懐かしく思い出しながら・・・。

令和7年の初釜は、今年と同じロイヤルパークホテル東京日本橋の耕雲亭(小間は台目席)なので、八畳ににわか台目席を作り、台目・濃茶点前の稽古を兼ねています。

最初に初炭、主菓子(縁高で1人分)、濃茶、薄茶、煙草盆、干菓子(2人分)の用意をしてもらいます。

 

一客は暁庵です。

茶事のように最初にご挨拶を交わし、待合や本席の床の掛物をお尋ねし、初炭になりました。

大きな瓢炭斗、次いで灰器が運ばれました。仕付け棚から羽箒と香合をもって炉正面に回り、いつものように初炭手前が始まりました。

台目の初炭なので、香合や鐶を置く位置、炉縁を履いてから羽箒の置く場所が違います。

湿し灰が撒かれ、胴炭から順次炭がつがれていきます。

かわいらしい梅香合から香が焚かれ、ほどなく良い香りが漂ってきました。口切りに用いた「露葉」でしょうか?

初炭が終わり、本来はここで懐石になりますが懐石は省略、主菓子が出され、菓子を頂戴しました。(亭主は水屋で主菓子を頂いてください・・と指示しました)

 

中立も省略して濃茶になりました。台目なので外隅ねらいですがいつもより後ろに座ります。

来年の初釜に使う茶器を使ったので扱いが違いますが、詳細はナイショです。

よく練られた濃茶が黒楽茶碗で出され、取りに行きました(M氏の練る濃茶はいつも美味しく愉しみです・・・)。

亭主M氏はすぐに中仕舞いし、次客へ入ります。亭主が座るのを待って総礼。暁庵が一口飲むと、

「お服加減はいかがでしょうか?」とお尋ねします。

「薫りよく美味しゅうございます」

濃茶を亭主も相伴して飲み終わり、亭主が茶碗を置くと、問答が始まります。

「大変美味しく頂戴しました。思わず全部頂きたいほど美味しかったです。お茶銘と詰は?」

「そう言って頂き、ありがとうございます。茶銘は「金輪」、詰は丸久小山園でございます」

「前席では大変美味しいお菓子を頂戴しました。お菓子は?」

「「聖夜」という菓子銘で石井の製でございます」

ここで「お茶碗の拝見を・・」と声をかけ、亭主は茶碗を清めて客へ運び、点前座へ戻りました。

中仕舞いを解き、水一尺で帛紗を腰に付けます。

茶碗が戻り総礼して、茶碗のことをゆっくりお尋ねしました。あとはいつもと同じです・・・。

煙草盆と干菓子が運ばれ、薄茶になりました。

薄茶では和やかにいろいろなお話をしながら、正客は亭主に自服をすすめ、亭主は自服します。

 

 

お稽古でしたが、けっこう茶事ムードが漂い、私も楽しかったです・・・。

12月21日(土)の最終稽古ではT氏が一客一亭をします。こちらもとても楽しみにしています・・・。

 

(参考)

〇 稽古で一客一亭   2009年10月 稽古忘備録

〇 特別稽古 一客一亭にて  2010年6月 稽古忘備録

 

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