暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

いちじくのコンポート

2015年08月29日 | 暮らし
買い物行ったら完熟したイチジクが美味しそうだったので2パック買い込み、コンポートを作りました。

数年作らなかったので作り方はいい加減ですが・・・
鍋に湯を沸かし、イチジク10個(皮がついたまま)をサッと茹で(あく抜き)、そっと網杓子で皿へ移します
赤ワイン(私はお安いものを・・・)2カップ、水1カップ、砂糖80~100gかな?(お好みで)を鍋に入れ、沸騰させ、砂糖を溶かします。
イチジクを入れ、レモンの輪切り3~5枚(お好み)を入れ、アルミホイルで蓋をし、20分位コトコト優しく煮ます(途中で、ひっくり返します)。
味見をして塩少々、足らなかったら砂糖を加え、アルミホイルの蓋を取り15分位煮詰めます。

一晩そのまま置いて熟成させます。もう一度煮立たせ、冷めてから小分けにして冷凍保存しています。
残った汁は布巾で濾してから寒天ゼリーを作ってみました。
                       


・・・ここまで書いて一休みしていたら、素敵なグリーティングカードが札幌の月子さんからメールで届きました。
今日は私の誕生日なのです。

以下はグリーティングカードのメッセージです。

1.(素敵なパッケージを解くと、偶然でしょうか、赤ワインが現れました)

   これはあなたのバースディワイン

2.(ボルドー色のワインをグラスに注ぎます。トクトクトク・・・)

   月日が育んだ
   深い色合
   豊かな芳香
   繊細で優しく
   上品な味わい


   何となく
   あなたをおもわせます


3.(二つのグラスを合わせて乾杯すると)
  
   Happy Birthday to you
   
繊細で優しく上品なのは、月子さん、あなたです。
とても嬉しいプレゼントをありがとう!!!
                              


葉月の稽古  茶箱点前

2015年08月28日 | 暁庵の裏千家茶道教室

 


8月前半は夏休み、8月19日はFさんとAさんの稽古日、
それに、I市からYさんがいらして初稽古なので、朝からそわそわと支度を・・・。

11時過ぎにYさんが到着、高速バスが30分も遅れたとか、お顔を見てホッとしました。
待合の扇子は「静寂」、棋士の趙治勲筆・・・実際は、うるさいほどの蝉しぐれでした。
冷たいお茶とおしぼりで一息ついてもらい、すぐに稽古を始めました。

この日のお軸は「洗心」、紫野・藤田寛道和尚筆です。
古銅唐銅の花入に高砂百合を入れてみました。
午前中はYさんだけなので、濃茶と薄茶の平点前をじっくり見せて頂きました。
基本を大切にきちんと稽古をしていらした様子が心強く、これからが楽しみです。


  古銅花入に高砂百合を入れてみました

「朝何時に出てらしたのかしら?」
・・・なんか、恐ろしくって・・有難くって・・Yさんに聞けませんでした。
せめて「ランチは我が家のものをお出ししたい」と思ったのですが、
前日が東京教室の稽古だったので無理せず、ツレアイへSOSです。
二人でカレーライスを有難く完食し、午後の稽古に備えました。
午後はAさんとFさんが加わり、茶箱の稽古です。

いつものことですが、茶箱点前の題(テーマ)に先ずうっとりします。
雪、月、花、卯の花・・・四季の風流を楽しみ、和敬点前で平和な日々の幸せを願います。
瓶掛けに鉄瓶をのせ、茶箱二つを使い、雪(拝見あり:Fさん)、卯の花(拝見あり:Yさん)、月(拝見あり:Aさん)、和敬(Fさん)、花(拝見なし:Aさん)をして頂きました。




          雪点前の準備
(「茶箱はお支度が出来ればお点前もできるのよ・・・と茶友Kさんの声が」 


Fさんの雪点前から始まりました。
四国遍路の時、札所で献茶雪点前で行ったので懐かしいです。
蓋を横にして帛紗で清め、棗と茶杓を置きます。
掛合(かけご、懸子とも)上で茶碗と棗の仕覆を脱がすところ、茶を点てるところなど見どころ満載です。

茶筅と茶巾の扱いも点前によって微妙に違っていて、雪では茶箱から茶筅筒を左手で取り、右手で茶筅を取り、すぐに茶碗へ入れます。
茶巾筒を左手で取り、茶巾をとりだしそのまま耳を左側にして蓋の上へ置き、
茶碗へ湯を入れてから茶巾を畳み(茶碗を温める時間稼ぎ)元の場所へ置きます。


茶巾筒から茶巾を蓋上に置き、茶碗へ湯を入れるところ

拝見が掛かり、掛合に棗と茶杓を清めて出しますが、
清めた後の帛紗は建水上ではたき、茶が付いている面を中に二つに折り込んで懐に入れます。
この所作は雪でしか裏千家流では見たことがありません。
・・・教えていても自分で点前してみてもハッとする斬新な所作でした(でも、さりげなくいたします)。



 拝見に出すため棗と茶杓を清めたところ



拝見に出しました (四国遍路へ持って行った愛用の茶箱)

茶箱の点前にはそれぞれ特徴があり、卯の花、月、花についても別の機会に整理したいと思っています。

Yさんの帰宅の時間が迫ってきました。
Yさんの卯の花点前、Aさんの月点前と順調に進み、Fさんの和敬点前で一服できて良かったです。
優雅な茶箱点前を5つも堪能し、私の頭の中は星が飛び交うほど満杯になりました。
茶箱を稽古だけでなく茶会や野山への旅にも活用したいと思っています。

                           

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ノックあり・・・遠来の入門者

2015年08月23日 | 暁庵の裏千家茶道教室


8月よりYさんが暁庵の茶道教室へ入門することになりました。
Yさんより最初のメールを頂いた時、もうびっくりして何度も読み返しました。

Yさんのより
 こんにちは。先月末「聴雨の会」にお招き頂きました、○○市のYでございます。
 先日水曜日のお稽古の様子をブログで拝読させて頂き、お元気なご様子が伝わり何より嬉しく思っております。

 先生がお教室を始められてから、教えを乞いたいと思いが募っては諦める・・・を繰り返しておりました。
 HPにございました“下記のどれかに当てはまる方でしたら是非当教室の扉を力強くノックしてください・・・・” 
 いずれも当てはまるのです(笑)。
 その上、七夕になれば、七夕茶会がしたくなり、梅雨が明けると、浴衣でお越しいただき朝茶事を考え、
 十五夜にはお月見の・・・というように。そのために、まだまだ勉強がしたいと願っておりました。

 残り僅かになった自身の日々を考えると、目標を持って努力出来る幸せや、
 豊かな感性を磨いて行くことを大切にしたい、と思うに至り決断致しました。
 遠方のため、月2回のお稽古を1回にする事が可能であるなら、是非先生のお教室で習いたいと存じます。
 いかがでしょうか。 お忙しい中恐縮でございますが、宜しくお願い致します。

                       
   北横岳の稜線と夏雲

Yさんのお気持ちがビンビンと伝わってきて、有難く涙がでる思いでした。

Yさんへの返信
 聴雨の茶会へお出ましの上、ご丁寧な礼状を頂戴しありがとうございました。
 嬉しくって何度も何度も読んだのに忙しさにかまけて、
 ご返事を差し上げず心苦しく思っておりました。ごめんください。

 また、今日は暁庵の茶事教室へ入門をご希望ということで、びっくりしております。
 飛び上るほど嬉しく大歓迎でございますが、5月から教室を開いたばかりの私でよろしいのでしょうか?
 月1回、とりあえず1年間いらっしゃってください。
 その後はその時に考えましょう・・・ただし、1年間はきちんと続けていただく
 ということで如何でしょうか?

 次回の稽古日は8月19日(水)でFさんとAさんがいらっしゃいます。
 どうぞ、ご検討くださいませ。
 くれぐれも無理は禁物です。よろしかったらお電話ください。  暁庵より

                         
窓辺を初風が吹き抜けて・・・       
        
・・・お茶の神様のご配慮で不思議なご縁がつながって、
8月から月1回お稽古に来てくださっています。
一生懸命、愉しくお教えしよう・・・と覚悟を新たにしているところです。
                                  & (感激・・・)


丁度ハワイのSさんからのメールで、出立の茶事の写真が届きました。
Sさんは1年間京都へお茶留学することになり、出発前に恩師や先輩方をお招きして
感謝と出立ご挨拶の茶事をなさったのでした。
小林太玄和尚の力強いお筆の「啐啄同時」が心に響きました。
           
           軸「啐啄同時」と出船の花入・・・

YさんもハワイのSさんも丁度「啐啄同時」の時期を迎えたのでしょう。
お二人に心から応援のエールを送ります。
私に出来ることがあれば喜んでお手伝いさせていただきます。
                         

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東京教室の稽古・・・葉月

2015年08月21日 | 稽古備忘録・・・東京教室の稽古

8月18日(火)は東京教室のお稽古でした。

猛暑で体力気力共にバテていて、何日か前までは正直気が乗りませんでした。
すると、関西の茶友Tさんから電話があり
「昨日がS先生のお稽古でしたが、皆さん、暑い中きちんと着物でいらして、しっかりお稽古しましたよ・・・」
「うむっ・・・ぱっちん!」目が覚めました。
盆香合を見て頂くので、少しでも前向きに取り組みたいと香合を持参することにしました。
それに、前回の名水点でKさんのおもてなしの心に感動したことを思い出したのです。

                        
                                 京都・法金剛院の蓮花

茶事をしている気持ちでお稽古に臨みました。
自分の香合なので正客からのお尋ねにもスムースに応答することができました。

「東大寺大仏殿修復古材で作られた「一蓮弁香合」でございます。壬子(明治45年)鉄光作と裏に朱書きされております。
 数年前、横浜三溪園春草廬で茶会を催した折、私の尊敬する三溪園創始者の原三渓翁が蓮の花をお好きだったことに因み、この香合を使っております
 特に名物ではございませんが、今日は思い出のある香合を使わせて頂きました」
「まあ、そのようなお心入れの香合を拝見出来ましてとても嬉しゅうございます・・・」
・・・というような問答があり、おもてなしの心が通じたみたいで良かった!
目覚めさせてくれた茶友Tさんに感謝です。

                        

盆香合をトップに大圓之草、和巾、流し点、貴人点薄茶、仙遊之式、茶箱付花月と熱い稽古が続きました。

いろいろ忘備録に留めておきたいことばかりですが、貴人点薄茶点前のことを記します。
亭主Oさん、半東Iさん、貴人暁庵でした。
十畳だったので八畳ではなく十畳の床の間の柱の前に貴人として座りました。
亭主が柄杓を引く頃に半東が「失礼いたします」と挨拶して入ります。

すると、S先生から「貴人へご挨拶をしてください」とご指導がありました。
貴人役の私も「ご挨拶って・・・どのような・・・」と思っていましたら
「このたびは暁庵さまにご来駕を賜りまして、恐悦至極に存じ奉ります。
 どうぞゆるゆるとお過ごしくださいませ」
・・・すらすらとしたIさんの口上にうっとりです・・・なんか、時代劇のシーンみたい。
「ご丁重なご挨拶を頂戴し恐れ入ります。Oさまのお点前で薄茶を頂くのを楽しみにまいりました」
座り直し、急に貴人なったような心地で応じます。
(亭主は点前に専念されているので、代わりに半東が貴人のお相手をするのだそうです)

高坏に乗った菓子(両口屋是清の?)、黒地絽の着物をシックに着こなしたOさんが貴人茶碗に点ててくださった薄茶、拝見の棗と紅い帛紗に乗った茶杓・・・
半東Iさんが取り次いでくださって優雅なひと時を味わいつつ、S先生の細やかなご指導で貴人点のお勉強をしっかりさせて頂きました。

・・・また、貴人さんになりたい!
                               


サンリツ服部美術館・・・ 国宝 「不二山」

2015年08月10日 | 美術館・博物館
                 諏訪湖と入道雲  高島城天守閣より (2015年8月4日)

ずっーと前から逢いたかった白楽茶碗・銘「不二山」。
長野県諏訪湖畔にあるサンリツ服部美術館所蔵の国宝です。
「不二山」は門外不出だそうで、こちらでしか見ることができません。

三度目の正直、今夏の旅でやっと叶いました。
一度目はだいぶ昔、旅の途中にサンリツ服部美術館へふらっと寄った時のこと、
「不二山」は常設されてないそうでご縁がありませんでした。
二度目は4年前、「不二山」が展示されているというので、同名のAkatuki庵さんと車で出かける計画でした。
あいにく雪や凍結が心配な冬季だったので、家人に反対され断念しました。
・・・そして三度目、満を期して8月4日に「花ひらく琳派-絵画とやきものでたどる装飾美の系譜」へ。
特別出品-本阿弥光悦作「国宝」白楽茶碗 銘・不二山 と書いてありました。

                      
                             サンリツ服部美術館のエントランス

中へ入り、同時開催の服部一郎コレクション近現代絵画展「カンヴァスに見いだす美」を拝見しました。
二十数点の油絵が展示されている会場は程よい広さと空間を保ち、完全な貸切状態で見ることができました。
ルノワール「洗濯女」、シャガール「サーカス」、ルオー「飾りの花」も好いけれど・・・
「この中で一点だけ持ち帰るとしたら、どれ?」と私。
「コレにする」とツレアイ。
びっくりしました! 心の中で決めていた作品と同じだったから・・・。

それはベルナール・ビュフェの「振り子時計」。
中央にに4時を指している四角い振り子時計、白い壁の背景、茶色の2つのテーブルが幾何学的に描かれたシンプルな絵でした。
色彩溢れる絵の中で、水墨画のように静謐で、いつまでも見ていたい心地よさを感じたのです。

                       
                              高島城(別名・諏訪の浮城とも)   

第二会場は「花ひらく琳派-絵画とやきものでたどる装飾美の系譜」。
「不二山」を見たくってやってきたせいか、第3章の「琳派の時代のやきもの 楽茶碗」が心に残りました。
五つの黒楽茶碗、同じ黒でもそれぞれ作者の個性を感じ、魅力あふれる茶碗ばかりでした。
中でも一番のお気に入りは道入造の銘「初午」、馬上杯の形状、持ち手から下が土見せでしょうか? 
他の黒楽茶碗とは違う、道入の斬新な意欲とセンスを感じます。

国宝・銘「不二山」は独立ケースなので、自由に何回も回って観ることができます。高台と茶碗の内側が見えないのが残念ですが・・・。

そういえば、楽美術館茶会の時のお話で、当代・十五代楽吉左衛門氏が特別に「不二山」を手に取って見せて頂く機会があったそうです。
門外不出の名碗を手にしてどのような感想を持ったのか・・・恐れながら伺ったことがありましたが、記憶が朧で・・・。
箆で見事なまでそぎ落とされた名碗は手に取ると意外なほど軽かったそうで、箆使いの名手である当代に大いなる感動と刺激を与えたに相違ありません。

                        

・・・そんなことを思い出しながら、ほぼ貸切状態で「不二山」を何度もまわりました。

長次郎が生み出した赤や黒の楽茶碗とは趣が違い、一言でいえば端整な茶碗です。
形が角ばって胴が絶壁のように切り立ち、口は少しだけ反っています。
口作りもおとなしく、全体の形や低い高台から瀬戸黒や志野茶碗を連想しました。
形状にも惹かれますが、白と黒の対比がモダンでシックです。
上部のほぼ半分が白、下部は黒、黒といっても灰色の部分と黒の部分が微妙に入り交じり、深みのあるを景色を生み出していました。

素地は白土、白釉が厚くかかっているそうですが、釉薬に灰がかかり、偶然窯の中で茶碗の下半分が黒色に変色したと言われています。
光悦自身によって「不二山」と命名され、自筆の共箱が展示されていました。
白雪を頂いた不二山に見立てたものとも、無二の出来という意味から名付けられたとも言われています。
光悦の娘が嫁に行くときに振袖裂に包んで持たせたので、一名「振袖茶碗」とも呼ばれているそうです。

三度目の正直だけでなく、またいつか逢いに来ますね・・・きっと。 
                                    

       花ひらく琳派
       絵画とやきものでたどる装飾美の系譜
         特別出品-本阿弥光悦作「国宝」白楽茶碗 銘・不二山


         2015年7月18日~11月15日
         サンリツ服部美術館(長野県諏訪市湖岸通り2-1-1)