銀杏、コナラ、欅が色づき、葉を散らしています。
台所の窓からルノワールの秋をぼんやり眺め暮らしています。
11月25日に口切の茶事をしました。
今年1月末に横浜へ戻って以来、久しぶりの我が家での茶事です。
茶事をするなら「口切」、心のどこかで決めていました・・・。
京都滞在中の3年間、S先生の炉開きや炉開きの茶事へお招きを受けていたのですが、
口切にはご縁がなく、とても寂しく思っていました・・・。
もちろん、有名茶事どころで口切の茶事はしていましたが、高額(5~10)な上、
知らない大勢さんの中にポツンと入る勇気もありません。
むらさき茶会が終わると口切への思いが日毎につのり、我が家で茶事をすることを決意しました。
むらさき茶会でお世話になった茶友や暁庵社中の方、6名様をお招きしました。
正客Kさま、Iさま、Wさま、Hさま、Yさま、詰Fさまです。
懐石は京遊庵にお願いしました。これも初めてのことです。
我が家の待合は椅子席です
待合にはもみじが描かれた画賛「紅葉舞秋風」、N先生から頂戴した懐かしいお軸です。
京遊庵特製の香煎を萩焼の汲み出しでお持ちし、席入のご案内をしました。
昼頃から雨の予報が、10時頃からポツポツと降り出しました。
外腰掛と蹲はすぐにあきらめて、水屋甕で手を清めて席入して頂きます。
待合に「紅葉舞秋風」
「利休居士四規七則」
床には「利休居士四規七則」黄梅院・小林太玄師筆のお軸を掛け、下座に網袋に入った茶壺をかざりました。
「四規」すなわち「和敬清寂」は、二十数年参禅修行されて「居士号(こじごう)」を授かった利休居士の悟境を示し、茶道の道を照らす基本理念でもあります。
小林太玄和尚は次のように味読しておられます。
和敬清寂
人の道は和する調和すること、
人に対し心より尊敬、敬意を持ってし
己は常に清浄を保って生活し
何がおころうと心乱し動じてはならぬ
と四規を示され、次の七則は私共の日常生活の中での実践の心得を単的に説かれているのです。
一.炭は湯が沸くように
一.花は野にあるように
一.降らずとも雨の用意
一.刻限は早めに
一.相客に心せよ
一.夏は涼しく冬は暖かに
一.茶は服のよきように
・・・茶道の道を示す四規をいつも身が引き締まる思いで拝見しています。
「七則」は「和敬清寂」を実践に移した教えで、大好きな言葉です。
一読すると易しいことのようですが、とても難しく奥深い内容が含まれています。
「降らずとも雨の用意」・・・雨になり外腰掛、蹲が使えず、水屋桶への変更で切り抜けましたが、
動線や濡れ釜の手順が狂い、もう大変!・・・未熟なことです。
それでもお客さまとのご挨拶では
「利休居士四規七則」を心の片隅に留めて、今日の茶事を行いたいと思います」・・・と。
口切の茶事(2015年)-2へつづく