暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

口切の茶事(2015年)-1

2015年11月30日 | 茶事
                           
銀杏、コナラ、欅が色づき、葉を散らしています。
台所の窓からルノワールの秋をぼんやり眺め暮らしています。

11月25日に口切の茶事をしました。
今年1月末に横浜へ戻って以来、久しぶりの我が家での茶事です。
茶事をするなら「口切」、心のどこかで決めていました・・・。

京都滞在中の3年間、S先生の炉開き炉開きの茶事へお招きを受けていたのですが、
口切にはご縁がなく、とても寂しく思っていました・・・。
もちろん、有名茶事どころで口切の茶事はしていましたが、高額(5~10)な上、
知らない大勢さんの中にポツンと入る勇気もありません。

むらさき茶会が終わると
口切への思いが日毎につのり、我が家で茶事をすることを決意しました。
むらさき茶会でお世話になった茶友や暁庵社中の方、6名様をお招きしました。
正客Kさま、Iさま、Wさま、Hさま、Yさま、詰Fさまです。
懐石は京遊庵にお願いしました。これも初めてのことです。


   我が家の待合は椅子席です

待合にはもみじが描かれた画賛「紅葉舞秋風」、N先生から頂戴した懐かしいお軸です。
京遊庵特製の香煎を萩焼の汲み出しでお持ちし、席入のご案内をしました。
昼頃から雨の予報が、10時頃からポツポツと降り出しました。
外腰掛と蹲はすぐにあきらめて、水屋甕で手を清めて席入して頂きます。


  待合に「紅葉舞秋風」


    「利休居士四規七則」

床には「利休居士四規七則」黄梅院・小林太玄師筆のお軸を掛け、下座に網袋に入った茶壺をかざりました。
「四規」すなわち「和敬清寂」は、二十数年参禅修行されて「居士号(こじごう)」を授かった利休居士の悟境を示し、茶道の道を照らす基本理念でもあります。
小林太玄和尚は次のように味読しておられます。

   和敬清寂

   人の道は和する調和すること、
   人に対し心より尊敬、敬意を持ってし
   己は常に清浄を保って生活し
   何がおころうと心乱し動じてはならぬ

と四規を示され、次の七則は私共の日常生活の中での実践の心得を単的に説かれているのです。


   一.炭は湯が沸くように
   一.花は野にあるように
   一.降らずとも雨の用意
   一.刻限は早めに
   一.相客に心せよ
   一.夏は涼しく冬は暖かに
   一.茶は服のよきように


・・・茶道の道を示す四規をいつも身が引き締まる思いで拝見しています。
「七則」は「和敬清寂」を実践に移した教えで、大好きな言葉です。
一読すると易しいことのようですが、とても難しく奥深い内容が含まれています。

「降らずとも雨の用意」・・・雨になり外腰掛、蹲が使えず、水屋桶への変更で切り抜けましたが、
動線や濡れ釜の手順が狂い、もう大変!・・・未熟なことです

それでもお客さまとのご挨拶では
「利休居士四規七則」を心の片隅に留めて、今日の茶事を行いたいと思います」・・・と。


      口切の茶事(2015年)-2へつづく


長屋門公園 「紅葉の茶会」へのお誘い

2015年11月20日 | 茶事・茶会(2015年~自会記録)
               

               

               

横浜市・長屋門公園では紅葉のライトアップを今年も行います。
  期間:11月27日(金)~11月29日(日)(18:00~20:30)

同時開催イベントとして「紅葉の茶会」を茶友や社中の方々とお手伝いします。
ライトアップされた紅葉を愛でながらほっこりと、薄茶一服いかがでしょうか? 

お茶をされている方も初めての方もご来席をお待ちしております。
椅子席もございますので当日お気軽にお申し出ください。
当ブログを見て来てくださった方はお声掛け下さると嬉しいです。
愉しい紅葉の茶会になりますように・・・」一同がんばります 

紅葉の茶会                
  日時  11月28日(土) 18:00~20:00頃
  場所  横浜市長屋門公園 和室
        〒246-0023 横浜市瀬谷区阿久和東1-17    
         TEL&FAX 045-364-7072

  茶席  第一席 18:10~18:40 (18時開門です)
      第二席 18:50~19:20
      第三席 19:30~20:00頃
          
  茶券  500円(薄茶一服、菓子付)  各席10名様まで
  (お菓子が無くならないうちに、お早目にお越しください)

  18時30分~19時15分  箏(そう)の演奏
  渡邉勝代さん(ロダン賞受賞他)による箏の演奏がございます
  箏(そう)を聴きながらの茶席も初めてのことで楽しみにしています。


  ○長屋門公園への交通アクセス 相鉄線三ツ境駅より徒歩18分
   地図参照:http://members2.jcom.home.ne.jp/9327mzss/use.htm

  ○バス情報 「三ツ境」駅からはバスも利用できます。
        「三ツ境」駅から「上阿久和(かみあくわ)」バス停まで約6分。
         バス停から公園まで徒歩5分です。

        「三ツ境駅」 → 上阿久和(長屋門公園入口)
         乗り場は(2)番です(地図参照)
         ・戸17「戸塚駅東口」(阿久和経由)行き
         ・戸19「戸塚駅東口(湘南泉病院経由)」行き

  ○「紅葉の茶会」のお問い合わせなどは長屋門公園へお願いします。  
    (長屋門公園  TEL&FAX 045-364-7072)

茶道教室の炉開きー2  

2015年11月16日 | 暁庵の裏千家茶道教室


(つづき)
別室の椅子席にて昼食です。
ささやかですが、なだ万の季節弁当、手づくりの煮物椀、一献(越の寒梅)を用意しました。
昼食が一段落した頃に粟ぜんざい、口取りに昆布、柿、栗をお出しし、中立(休憩)のご案内をしました。

詰のAさんが打つ銅鑼の音色をお聴き下さい。
    大・・・・小・・・中・中・・・大

銅鑼を打ってから腰掛待合へ合流し、Aさんも一緒に席入です。
後座の床は初座そのままですが、茶壺の飾り紐を結び荘りました。
点前座には更好棚、桶側の水指、中棚に棗、棚前に茶入を荘リ付けました。
釜の湯もちょうど好く煮立っています。

 

席入を終えると、濃茶点前のFさんが水屋へ、Aさんが正客へ、私が詰へ入ります。
井戸茶碗の上に黒楽茶碗を重ね、重茶碗の点前はFさんです。
茶入から濃茶が掬われると、茶の香りがぷぅ~んと満ちて来て待ち遠しい思いでした。
真ん中に座っているM氏とKさんは濃茶を飲むのが初めてです。
「初めての濃茶はいかがでしたか?」
「まろやかで苦味がなく美味しかったです」
濃さや練り加減もほど好く・・ヨカッタ! 濃茶は「松花の昔」(小山園詰)でした。
                     
なぜか「炉開き」や「口切」には「三べ」と言って「べ」が付く「ふくべ(瓢のこと)」、「いんべ(伊部、備前焼の別称)」、「おりべ(織部焼)」が使われます。
その根拠は今一つわかりませんが、Kさんから古希祝に頂戴した茶入が伊部だったので、喜んで初使いです。
茶杓は藤井誠堂和尚作、おめでたい銘「丹頂」でした。

ここで薄茶になり、代わってYさんのお点前です。
干菓子(御所車、吹き寄せなど、京都老松製)が運ばれ、炉の薄茶点前が始まりました。
ふっくらと美味しい薄茶を三服点てて頂き、棗と茶杓の拝見をお願いしました。
棗は花兎大棗、村田宗覚作です。
茶杓は煤竹に銀杏の蒔絵のある輪島塗、梢月作です。


  早やツワブキが満開 (季節の花300)

ここでまたお点前交代です。
11月28日(土)の横浜市長屋門公園・紅葉の茶会に備えて、KさんとM氏に風炉薄茶点前をお稽古して頂きました。
半東はAさんとFさんにそれぞれお願いし、本番さながら二服ずつ点ててもらいます。
習い始めて半年ですが、お二人ともきれいな所作が身に着いてきて、凄い進歩です。
皆でそのことを喜び合いながら、薄茶を美味しく頂きました。
長屋門公園・紅葉の茶会でのデビューが楽しみです(近々ブログでご案内します。応援してね! 

こうして2015年11月4日の初めての炉開きが和やかに終わりました・・・。 
                            

     茶道教室の炉開きー1へ戻る 

    暁庵の裏千家茶道教室  前へ    次へ    トップへ



茶道教室の炉開きー1  

2015年11月14日 | 暁庵の裏千家茶道教室

   もうすぐ公園がルノワールの世界へ


2015年11月4日は暁庵の茶道教室の「炉開き」でした。

3年間京都住まいだったので炉を開けるのも3年半ぶり、炭を切り、灰を洗い、湿し灰を作り、清々しい気持ちで「炉開き」を迎えました。
「炉開き」は茶壺の「口切」の時期でもあり、無事に一年を迎えられたことを感謝し心を新たに茶壺の口を切る・・・茶人にとって正月とも言うおめでたい行事です。

茶道教室初めての炉開きを迎え、どのような形でお祝いしたらよいかしら?
今までご教示頂いた仕方を参考にしながら、自分流をあれこれ考えるのが愉しかったです。
茶事に慣れて頂きたいので茶事形式とし、懐石の代わりになだ万の弁当を注文しました。
稽古を兼ねているので、生徒さん全員に点前をして頂くことにしました。



11時席入、10時半を過ぎると次々と待合へ。
皆さま、炉開きを祝って素敵な着物姿(写真がないのが残念!)でいらしてくださり、
厳粛な中にも華やかな雰囲気が漂います。
ちょうど炉中に湿し灰を撒いて下火を入れるところだったので見学してもらい、
席入の時に濡れ釜の風情が御馳走であり、亭主の心入れであることをお話ししました。

颯爽とスーツ姿のM氏が到着し、詰のAさんが打つ板木の音が聞こえます。
御目出度い日なので桜湯をお出しし、腰掛待合へご案内しました。
迎え付けの時に大失敗、忘れ物が多く(蹲柄杓、手拭など)、何度も出たり入ったり・・・深く反省。
蹲を使い、無言の挨拶を交わしました。
濡れ釜を掛け、茶道口を閉めて席入りを静かに待ちました。



茶事と同様に生徒さん一人ずつと炉開きの挨拶を交わします。

床には
「応無処住 而生吾心」(おうむしょじゅう にしょうごしん)
金剛経の一節で、足立泰道老師に書いて頂いたお軸です。
私たちは職場、家庭、社会でいろいろなことに心を捉われ葛藤していますが、
自分が捉われていること、自身を縛っていることから、自分自身を解き放ち、無になってみましょう。
心を無にすると、自分はどうあるべきか、何をなすべきかが自ずとわかってきます・・・そんなお話をしました。

床柱に照葉と白玉椿を尺八に入れ、上座に茶壺を網袋に入れて荘りました。

お正客Fさんから茶壺の拝見が掛かり、茶壺の網袋をはずし、拝見に出しました。
茶壺の拝見の仕方を先ずは体験して頂きたいと思ったので。
茶壺は丹波焼、市野信水造、口覆いは笹蔓緞子、裏地は紫の塩瀬です。
「来年は拝見だけでなく口切までしてもらいたい」と内心思いながら、自分に言い聞かせます。
「養之如春 (これを養う春の如し)・・・あせらず、少しずつ進みましょうね」と。



初炭手前はAさんです。
炉縁は朱竹模様のある黒掻き合せ、大きな炉釜は菊桐文真形、菊地政光造です。
炭斗(常盤籠)に入っている炭の大きさや、灰器にたっぷり盛られた湿し灰が目を惹きます。
他にも羽根、火箸、香合、灰匙などが炉用に変わります。

初めての初炭手前は新鮮に映り、なにかワクワクするものがありました。
皆で炉を囲んで拝見するのも温かい雰囲気が漂い、好いものですね。
香合は織部の括り猿(六兵衛作)、香は坐忘斎お家元好み「松涛」(松栄堂、Sさまからの恵贈品)です。
                                        「ふ~っ・・・つづきも見てね」                                              
      茶道教室の炉開きー2へつづく


      暁庵の裏千家茶道教室  前へ     次へ     トップへ



むらさき茶会ー6(最終回)

2015年11月12日 | 茶事・茶会(2015年~自会記録)

最終回は、むらさき茶会へ馳せ参じてくださったお客様からの手紙を載せたいと思います。
茶会のあれこれを思い出しながら何度も読んでいます。ありがとうございます!
全部は無理なので2通だけ・・・IさまとSさまから頂戴した手紙です。

 Iさまより
まだ寒さの残る春の朝 初めて東京教室のお玄関でお目にかかった時
白鳥がいる・・・と思いました
そして昨日 白鳥は華やかに羽ばたいて鮮烈な印象を残されて行きました
・・・お綺麗でした・・・・そしてワクワクいたしました

多分織部や宗和がそうであったように暁庵様のお茶席では次に何がくるだろうと
高揚させて驚かせてくれる・・・そんな愉しい会でした

お道具組がお屋敷に映えて一層の趣を感じさせてくれました
お心入れの蓮華飯始め お料理の美味しかったこと
でも何よりご一緒させていただいた皆様が温かくて明るくて、これは暁庵様のご人徳ですね

お招きいただき本当に嬉しかったです 
ありがとうございました
年齢を重ねて行く事が心待ちになってまいりました
また御一緒にお稽古をさせていただくのを楽しみにしております・・・(後略)
 

                            
                                   昼食は椅子席で・・・

                            
                              隣花苑の名物料理「蓮華飯」(9月限定ですが特別に・・・)
 Sさまより
鴨川べりの桜の葉も照葉となる季節となりました。
先日は古希の茶会へおまねきいただき 本当にありがとうございました。
蓮華飯、香席、そして広間の茶席、どれも心に残って何回も思い出しています。
京都をあとにされた時、秋に三溪園で古希茶会を・・・とおっしゃっておられ、
私も楽しみに待っていたものがとうとう終ってしまったのですね。
・・・うれしいけれどなんだか少しさびしい気持ちです。

隣花苑は想像以上にすてきな場所でした。
三溪園に点在する茶室もいくつか拝見しましたが、今も人が使う現役の建物の方がはるかにすてきですね。
その中で思いもよらぬ正式な聞香席、あの灰のつくり方にしびれました。
蓮華飯は蓮の実がなくならないかと気をもんでいただいたようで、
おかげさまでこれが追善の蓮華飯かとありがたく頂戴しました。
三渓そばもとても美味しかった!

今まであれこれ想像していたのが現実となる嬉しさは格別です。
そして三溪の双鶴図のかかるあの広間でのお茶!
おひとりずつ暁庵様がそれぞれの思い出とともにご挨拶され、
万感の思いがおありになると察せられ、こちらも胸がつまるようでした。
本当に京都でのあの3年間は貴重な思い出となりました・・・(中略)

過去のことばかり懐かしがっていては、かえって叱られそうですね。
暁庵様はもう前を向いて進んでおられるので、私も新たな茶の縁を紡いでいかねばなりませんね。
この茶会を節目にまたがんばります。とはいえ、また遊びに行かせてください。京都へも是非。
さらなる進化を楽しみにしております。



       

末筆になりましたが、
むらさき茶会のため惜しみないご支援を賜った10名の茶会スタッフの方々に、厚く熱く御礼申し上げます。
ありがとうございます!
また、お心づかいを頂いた、隣花苑の西郷槇子さん、担当のほすみさんに感謝いたします。

皆さま、本当にありがとうございました!
心の中に宝物がいっぱい詰まった気持ちで、新たな茶の道のスタートを切ることができました・・・。
  


          むらさき茶会ー5へ戻る        トップへ