(散歩みちで採取した野の花を桂籠に生けました)
(薄、力芝、萱つり草、背高泡立ち草、アベリア、狗尾草、もう1種)
10月13日(金)~15日(日)まで東京美術倶楽部で「東美アートフェア」が開催されました。
なかなか行けませんでしたが、S先生から入場券を譲って頂いたので久しぶりに出かけることにしました。
初日の11時頃に到着すると、びっくりするほど入場者が溢れていて「コロナも一段落して、やっと美術やお茶の世界も活況を取り戻したのね・・・」と思い、活況ぶりがとても嬉しかったです。
4階へ上がり、先ずは4階から見始めました。内心、何か良い茶道具との出会いを期待していましたが、桁が1つか2つ違う値段のものが並んでいるのを見て、すぐに購入ではなく古美術鑑賞へ気持ちを切り替えました。
ブースによって、素晴らしい書の床飾りや古色のある花入に実ものなど秋の草花が風情よく生けられていて、カメラを持参しなかったのが悔やまれました(もちろん、店によっては撮影禁止もありましたけれど・・・)。
茶道具や古美術の他にも現代作家の絵画、古い日本の人形、竹製品、高麗や李朝の骨董など多彩なアートフェアです。先日出かけた徳川茶会の絵高麗槌形花入(瓢壷)とそっくりな展示品もありました。
4Fのお店で青磁の花入が目に留まりました。形の素晴らしさ、心に沁みいるような青磁色、優美で上品な雰囲気に惹かれて、手に取らせて頂きました。作家は川瀬忍氏、前からとても気になっていた青磁を追及している作家さんです。
「もう1つ、川瀬忍の青磁花入があるのでお見せしましょう。でも、こちらの方が好いと思い、こちらを展示していました」と女性の店主さん。
もう1つの青磁花入も見せてもらいましたが、最初に目にしたものにかないません。お値段を伺うと、なんとか手に届く額だったので、思い切って購入を決めました。
家に帰ってから古いなごみ(2015年7月号)の特集「陶芸家・川瀬忍とたどる あこがれの青磁」を読み直したり、早速、青磁花入へ金木犀を生けたりして楽しんでいます。(いつかお目にかけれるかしら?・・・)
なごみ(2015年7月号)より川瀬忍氏の一文を転載しました。
青き姿へのあこがれ 文・川瀬 忍
天青、紛青、藍青、灰青、卵青、浅青、翠青、油青、碧青・・・・、
これらは、清時代の皇帝・乾隆帝が青磁の美しさを
表現するために名付けた青の色である。
それ以前、唐時代には 越州窯の美しい青を「秘色(ひしょく)」と呼んだ。
・・・中略・・・
そして日本人(茶人)は、青磁の美しさを
砧(きぬた)、天龍寺、七官と作品の持つ位取りで分類していた。
それぞれの青の美しさと形の品格からである。
私の場合、その砧青磁と出会ったのが、
青磁の魅力にのめり込む第一歩であった。
形の厳しい南宋官窯、
柔らかな温かみを感じさせ、
見る人を包み込んでくれる汝官窯(じょかんよう)(伝世汝窯)。
すべて「青」である。
雨過天青(うかてんせい)という青磁の青を表わした言葉がある。
私はその言葉に、雨上がりの、
まだ湿潤なうるおいに満ちる大気を通して見た、
空の色を思い浮かべている。
追伸)
たくさんの美術品を見くたびれて、休憩所のベンチで、豪華かつ躍動的に生けられた生花の大作を見ながら休んでいました・・・。
隣に座っている女の方が立ちあがったので
「すみませんが、時計(携帯)を忘れて時間がわかりません。何時かお教えください・・・」と声を掛けました。すると、その方と顔が合い、もうびっくり! 15年前にお茶事や花月でお世話になったK先生でした。
15年ぶりの思いがけない再会に手を取り合って喜び合いました。
今つくづくと、K先生との再会が東美アートフェア最大の掘り出し物(宝物)だったと思うのです。
お茶の神さまとS先生に感謝でございます。