(コバノズイナと白玉椿を信楽焼の掛花入に)
次は初炭、AYさんが大きな瓢の炭斗、次いで灰器(備前焼)を運び出しました。
羽根は銀鶴、鐶(美之助造)、利休好みの桑柄火箸(清五郎造)、
釜は霰唐松真形釜(美之助造)、炉縁は輪島の真塗です。
(霰唐松真形釜・・・美之助造)
初履きが始まると、お正客から順番に全員が炉を囲み、炭手前を間近に拝見します。
炉になってから初めての稽古がこの「炉開きと口切の会」なので、実は内心心配していました。
初履き、灰器(備前焼)に盛られた湿し灰を炉中に撒く様子、瓢から順序良く炭を置き、香が焚かれました。
いずれの所作もしっかりとなさり、日頃の自宅での修練が伺われて頼もしいやら、嬉しいやらでした。
拝見に出された香合は柿香合、高岡銅器なので手に取るとびっくりするほど重い柿です。
練り香は坐忘斎好みの「露葉」(山田松香木店)です。
ここで昼食休憩となり、暁庵は昼食の手配を社中の皆様にお任せして、しばしお客様と歓談です。
なだ万のお弁当とAYさん心づくしの熱く美しい煮物碗(海老真蒸、隠元、紅葉麩、柚子)を皆で賞味しました。一献はノンアルコールワイン「PIERREーZEROー」(仏)。Y氏のチョイスですが、フルーティで私でもグイグイ大丈夫でした・・・。
ここで休憩となり、お汁粉を食べて中立ちの予定でしたが、雨がポツポツ振り出しました。「コラボ茶会」でもそうでしたが、ここのところ雨に祟られているみたい・・・。待合でお汁粉を食べ、茶道口から席入していただきました。
後座の亭主M氏が銅鑼を7つ打ち、後座の席入です。
大・・小・・大・・小・・中・中・・大
(少し雨が降っていたので、喚鐘にすればよかった・・・と、今頃気が付いた次第です)
後座の床は、お軸はそのままとし、上座に紐飾りを施した色絵吉野山図茶壷、床柱に花を荘りました。
花はコバノズイナと白玉椿、掛け花入は信楽焼・高橋春斎作です。今年はいつまでも暑かったので、いつも咲いている西王母や白玉椿が咲かず、蕾を見つけるのに苦労しました・・・こんな年は珍しいです。
点前座に寿棚をしつらえ、萩焼の水指と薄器、茶入を置きました。
濃茶第1席のお客様は、正客SKさま、Fさま、KTさん、詰KRさんの4名様で、亭主はM氏です。
1碗目の茶碗は、お客様が小堀遠州流なので御本三島です。2碗目は赤楽茶碗(佐渡の花ノ木・風の窯、渡辺陶生作)で2人分ずつ練りました。きっと・・・M氏の緊張感の中にも美しいお点前で、お客さまは熱くしっかり練られた濃茶を堪能されたことでしょう。
濃茶は坐忘斎好み「延年の昔」(星野園)です。
(ここで炉中の炭が心配になり、M氏が後炭をしました。後炭の様子は後で書かせていただきますね)
次は2回目の濃茶席、お点前はKRさん、お客様は、正客AYさん、暁庵、Y氏、詰M氏の4名です。
贅沢にも席中でお汁粉を頂き、濃茶がもう待ち遠しかったです。
襖が静かに開けられ、濃茶点前が始まりました。一同心を正してKRさんの袱紗捌きや清めの所作を見つめます。
炉の濃茶では中蓋があり、後炭をしたばかりなのに湯が煮立って釜がまるで怒っているようでした。
織部焼の肩衝茶入から濃茶が回しだされ、滝のように流れ出る緑の美しさを久しぶりに鑑賞しました。
心を込めて練ってくださった濃茶は練り加減も薫りも好く、濃さも飲みやすく美味しゅうございました。
1碗目は黒楽茶碗、長次郎「喝食(かつじき)」写で昭楽作です。2碗目は大樋飴釉茶碗(中村康平作)です。
仕舞付けが終わり、正客から「茶入、茶杓、仕覆の拝見をお願いします」と声が掛かりました。
茶入は口切りでお馴染みの織部焼肩衝(瑞光窯、佐々木八十二造)、仕覆は十二段花兎です。
玉龍寺古竹で作られた茶杓は戸上明道和尚の銘「好日」です。 後炭と薄茶へ続きます。 つづく)
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