暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

しばらくお休みします

2019年05月26日 | 暮らし


      緑陰の憩いのひと時・・・・ミナトミライにて


脊椎調整術マッサージ(気功?)の治療院へ通っています

一昨年(2017年)11月21日、ちょうど2度目の口切の茶事の前でした。
右膝を故障して以来、左膝、右膝、腰、左腕など次々と痛みが出たり引っ込んだりで、ずっ~と整形外科に通院しています。
主な治療はリハビリです。
リハビリは2種類まで健康保険がきくので、一つは腰の暖めと牽引、もう一つは暖めと低周波(?)をあてていました。
痛みがひどい時はロキソニン湿布薬(鎮痛・消炎)を貼る、またはロキソニン錠剤を飲むという対症療法です。
治療の一つとして手術があるそうですが、そこまでする勇気はありません・・・。

半ば歳のせい・・・とあきらめ、それでも治したい一心でリハビリに通っていました。



今年1月になって、右足側の臀部から腿、足先に掛けて痺れを伴うような激痛が走るようになり、一時は歩くのも大変でした。
病名は坐骨神経痛だそうです。
「このまま整形外科へ通っていても良くなるのかしら?」ふと不安が走ります。
歳のせいなんかにしないで、もっと根本的な治療がないのだろうか?
4月13日に三溪園で茶会をすることが決まっており、既に準備もスタートしていました。
「茶会までにもっともっと良くなっていたい!」
「腰や膝のことをいつも気にしながら行動するのはいや!」

そんな折、知人の紹介で横浜市港南区の「にしおか治療院」へ1月末から通ってみることにしました。
先ずは問診、痛みの部分、どのような症状か、ささいなことでも気になっていることを全てお話ししました。
「こんなにたくさん痛い所や気になる症状があって驚いたでしょう・・・」
と申しましたら、先生は笑いながら
「いいえ、まだ少ない方ですよ」



気功による治療のことは以前から聞いていましたが、正直、半信半疑でした。
でも先生に治療して頂くと、確実に痛みが和らぎ、楽になるのです。
先生を信頼して通い続けています。
自覚としては、少しずつですが確実に良くなっています。
痛みやしびれの緩和もありますが、脊椎調整術マッサージ(気功?)と言って背骨の歪みなどを徐々に治しながら、身体全体の調和を取り戻していく・・・といったイメージでしょうか。
茶会前に念入りに治療して頂いたせいか、「春のクロスロード茶会」が無事に終わり、疲れたけれど最後まできちんと動けた自分を褒めてあげています。



サルバドール・ダリ  薔薇の頭の女性  鋳造1980-81 
(素敵な薔薇の頭だけれど、重そうで私みたいに疲れて見えました・・・横浜美術館にて)


茶会後の打ち上げ会も楽しく終了しました。
心身のメンテナンスが必要みたいなので、しばし休憩をとることにしました。
今、ツレと車で四国八十八ヶ所の遍路へ出かけています。  

ブログはしばらくお休みいたします。
また、元気にお会いできますように・・・
  


 


原三溪の美術ー伝説の大コレクション-展が横浜へやってきます

2019年05月18日 | 美術館・博物館

    国宝「孔雀明王像」  東京国立博物館蔵


   横浜美術館開館30周年記念 生誕150年・没後80年記念 
   原三溪の美術 伝説の大コレクション

   会期 2019年7月13日(土)~9月1日(日)
   主催・会場  横浜美術館
 
(横浜市西区みなとみらい3丁目4番1号  TEL:045-221-0300(代表) アクセス


今年(2019年)は、横浜三溪園の創始者である原三溪翁の生誕150年・没後80年になるそうです。
そんな折に三溪園・春のクロスロード茶会を三溪翁ゆかりの春草廬と蓮華院で開催できましたことに、勝手ながら何とも言えないご縁と喜びを感じております。
この度、敬愛する原三渓翁が蒐集した幻の至宝「伝説の大コレクション」が横浜に里帰りするそうで、鶴首の思いで待っているところです。


   国宝「孔雀明王像」(部分)

ずっ~と憧れ、拝見したかった国宝「孔雀明王像」(平安時代後期(12世紀)東京国立博物館蔵、展示期間:2019年7月13日(土)~8月7日(水))がやってきます!
それから、国宝「寝覚物語絵巻(部分)」(平安時代後期(12世紀)大和文華館蔵、展示期間:8月9日(金)〜9月1日(日))、
重要文化財 下村観山「弱法師」(よろぼし)(大正4(1915)年、絹本金地着色・六曲一双 東京国立博物館蔵 展示期間:2019年8月9日(金)~9月1日(日))も横浜へ里帰りします。
他にも三溪翁が茶会などに使った茶道具もたくさん展示されるそうで、どんな茶会が三溪園で繰り広げられたことか・・・と興味津々です。
志野茶碗 銘 梅が香」 (桃山時代(16世紀末~17世紀初期)五島美術館蔵 展示期間:2019年7月13日(土)~8月7日(水))


 重要文化財 下村観山「弱法師」 六曲一双の部分 東京国立博物館蔵


展覧会概要(HPより抜粋)は以下の通りですが、詳しくはこちらをご覧ください。https://yokohama.art.museum/exhibition/index/20190713-538.html

原三溪(はら・さんけい)は、横浜において生糸貿易や製糸業などで財をなした実業家です。
明治初年に生まれ、昭和戦前期にいたる近代日本の黎明・発展期に経済界を牽引しました。

一方で三溪は、独自の歴史観にもとづき古美術品を精力的に収集したコレクターであり、
自由闊達(かったつ)な茶の境地を拓いた数寄者(すきしゃ)、
古建築を移築して三溪園を作庭・無料公開して自らも書画・漢詩をよくしたアーティスト、
そして、同時代の有望な美術家を積極的に支援し育んだパトロンでもありました。
三溪のこうした文化的な営みは、財界人としての活動や人的交流、社会貢献活動家(フィランソロピスト)としての無私の精神にもとづきつつ、近代日本における美術界・美術市場の確立の過程と軌を一にしながら展開したと言えるでしょう。

本展は、原三溪の四つの側面、すなわち「コレクター」「茶人」「アーティスト」「パトロン」としての業績に焦点を当てます。
それらの相互関連を時代背景も視野に入れて探りながら、今日、国宝や重要文化財に指定される名品30件以上を含む三溪旧蔵の美術品や茶道具約150件と、関連資料を展観することによって、原三溪の文化人としての全体像を描きだします。
三溪自身も一堂に観ることが適わなかった旧蔵の名品を、過去最大規模で展観する貴重な機会となります。



     横浜美術館にて

関連イベントも盛りだくさんで、忘れぬよう書いておきます。予約が必要なイベントもあるようですのでご確認ください。
詳しくはhttps://yokohama.art.museum/exhibition/index/20190713-538.html

          

○ レクチャーと鼎談「三溪の古美術収集と美術家支援 ―三溪資料研究の現在(いま)」
  2019年7月20日(土)14時~16時(13時30分開場)
  講師  清水緑(渋谷区立松壽美術館学芸員、元三溪園学芸員)
      三上美和(京都造形芸術大学准教授、『原三溪と日本近代美術』著者)
  聞き手 内山淳子(横浜美術館主任学芸員)

○ 講演会「三溪の茶と美」(原三溪展)
  2019年7月21日(日)14時~15時30分(13時30分開場)
  講師 千宗屋(武者小路千家家元後嗣、美術史家)

○ 学芸員によるギャラリートーク(原三溪展)
  2019年7月26日(金)、8月16日(金):18時30分~19時
  2019年8月12日(月・休)、8月17日(土):14時~14時30分

○ 抹茶茶碗創作 志野と黒織部にせまる   瀬戸 毅己(陶芸家)
  2019年8月3日(土)、4日(日)、18日(日)、9月1日(日)【全4回】
  申込締切 2019年7月16日(火)

○ 日本画の材料と技法にふれる   藤井 聡子(日本画家)
  2019年8月24日(土)【全1回】
  申込締切 2019年7月29日(月)



四国遍路の支度中です

2019年05月16日 | 車で四国遍路



2009年4月のこと、右足の甲のアクシデントのため途中で引き返した四国遍路
あれから早や10年の年月が過ぎました。
その間、もう一度四国遍路へ挑戦しよう!という気になりませんでした。
次々と目の前にしなくてはならないこと、どうしてもやりたいこと、熱中したいことがあったからです。

・・・今年に入ってから何かしきりと誘われるものがありました。
「再び遍路へ行こう!」と言う気になったのは、一つは歳のせいだと思います。
「今やらなくていつやるの? 行きたいのなら、今行くしかない」と誰かが耳元でささやきます。
それでツレと話し合って、二人で車で廻ることにしました。両親の墓参りを兼ねて約2週間の予定です。




「二人で車で廻る」・・・これは最大の難しいテーマかもしれません。
先ず、車という閉鎖的な場所に長時間一緒にいなくてはなりません。
運転を交代し、お互いの疲れや気持ちを気遣いながら四国の札所を一周するのですから、相当の覚悟が必要かもしれません・・・。
でも今はあんまり深く考えないで、喧嘩だけは最小限度にして四国遍路を楽しみながら達成したいと考えています。


 我が家近くの「遍路道」と名づけた散歩道にて

5月に入ってから、道路地図、遍路関係の本やインターネット情報をテーブルに広げ、シュミレーションを楽しんでいます。
前は歩いて廻ったので、車遍路は距離感や時間間隔が実体験と合わず、机上のお遍路もなかなか大変です。

歩き遍路の時は名所旧跡があっても素通りが多かったので、後悔の無いようにその時寄りたかった所に優先的に寄ることにしました。
今の所、番外二十札所、ツレは龍ヶ洞(高知県)、私は安芸の野良時計、丸亀城(香川県)かしら・・・・。

もう一つ、松山在住のSさんが手を差し伸べてくださって、途中でお会いすることになっています。
石手寺か太山寺で一緒にお献茶をするか、または施茶と言って、お詣りに来る方に薄茶を点てて飲んで頂くか、まだ決まっていませんが、Sさん宅で薄茶一服の御接待もしてくださるとのことで今回一番の楽しみです。


     我が家近くの「遍路道」と名づけた散歩道にて

前回の四国遍路で心残りの一つに、女の一人旅でもあり野宿ができなかったことがありました。
今回は車なので、途中何度か車中泊をすることにし、どこで泊るかはそこへ行ってから決めることにしています。
車窓用のかわいい(?)カーテンを縫ったり、寝袋や敷き布団を干したり、遍路用品や持ち物を点検したりしていると、早や心は四国の緑あふれる遍路道にいます。

お大師様に身を任せて、御心のままに何かを体験し、何かを体得できたら・・と思います。  合掌


        車で四国遍路    次へ


大型連休の或る日・・・横浜美術館へ

2019年05月07日 | 美術館・博物館

   横浜美術館  1989年11月3日に開館しました


横浜美術館(横浜市西区みなとみらい3-4-1)が開館して30周年になるそうです。
大型連休中の或る日、「meet the collection -アートと人と、美術館」展(2019年4月13日~6月23日まで)へ出かけました。


最初に出合ったのは、2階正面の「特集:宮川香山」。
「高浮彫(たかうきぼり)」と呼ばれる、ちょっとたじろぐような特異的な真葛焼の大作が展示されていました。


  初代宮川香山  高浮彫桜ニ群鳩大花瓶  明治前期  陶器一対

初代宮川香山と真葛焼
初代宮川香山は明治3年(1870年)、29歳の時に京都から横浜に移り、輸出向けの陶磁器を作る工房・真葛窯を開きました。
香山は「高浮彫(たかうきぼり)」と呼ばれる新しい技法を生み出します。
これは金で表面を盛り上げる薩摩焼の技法を、金のかわりに精密な彫刻を掘り込むことで、薩摩焼の技法に変わる新しい表現方法を確立しました。
明治9年(1876年)、35歳の時に高浮彫で作られた真葛焼はフィラデルフィア万国博覧会に出品されると絶賛を博し、真葛焼と宮川香山の名を世界に知らしめました。



  初代宮川香山  高浮彫大鷲雀捕獲花瓶  明治前期  陶器一対


      横浜美術館の内部

「あっ!これいいな」「なんとなく気になる絵」「惹きつけられる絵」「不思議な絵」「作品のある空間が作品みたい」「素材が面白い!」などと、自分と語り合いながら写真を記念に撮ってきました。
そんな絵(アート)をいくつかご紹介します。




  山村耕花  「謡曲幻想 隅田川・田村」  1930年 紙本着色
 (上と下は四曲屏風一双になっています)(能が好きなので能画が気になります)



  小倉遊亀  「良夜」  1957年  紙本着色



 浅井裕介 「いのちの木」  2019年  土、ペンキ、アクリルレジン、水、板


  「いのちの木」の制作中  ホール1階にて


  ダナ・ザメチニコヴァ  「小サーカス」  1988年  ガラス
(見ていたら「あっ!これ好きかも・・・」と夢の中のような空間に惹きつけられた作品)



パブロ・ピカソ  「肘掛椅子で眠る女」  1927年  油彩、カンヴァス
(3点並ぶピカソ作品の内のお気に入り・・・平和な微睡がほほえましい一枚)



 桂 ゆき 「はだかの王様」  1969年   油彩、小石、紙、板
 (まなざしの交差・・・ウン?まなざしのクロスロード?と題したテーマの一枚。
  不思議な感覚に捉えられて絵から離れられない。はだかの王様を見詰める多くのまなざし。
  王様の落ち着かない挙動が胸をえぐる・・・)


     鑑賞風景・・・「作品のある空間が作品みたい」


    サルバドール・ダリ   1942年   テンペラ、カンヴァス
    ヘレン・ルビンシュタインのための装飾壁画
    幻想的風景・・・暁、英雄的正午、夕べ



2階廊下に設置された望遠鏡から作品を覗くと、3つの小さな鉄塔のような物が見える
(作品の見せ方に魅せられる・・・下の写真で作品を探してみてね)


  岩崎貴宏 「アウト・オブ・ディスオーダー(夜ノ森線)」 2011年  髪の毛、ホコリ、望遠鏡
  (ベネッセハウス・ミュージアムで見た「雑草」(須田悦弘)を思い出した)

他にも紹介したい作品がいっぱいありますが、これにて・・・。
ご自身の目と感性で楽しみながら、「meet the collection -アートと人と、美術館」展でお気に入りを探してみてください。
2019年4月13日~6月23日まで横浜美術館で開催中です。 


七事式の偈頌と5月人形

2019年05月05日 | 暁庵の裏千家茶道教室



今日は5月5日、端午の節句、こどもの日です。

5月から風炉に変わり五葉会(七事式の勉強会)花ゆう会(花月を中心とする勉強会)が新年度に入りました。
それぞれ新しいメンバーが入られて、爽やかな新風を届けてくれそうです。
心新たに七事式や花月の稽古を積みあげていけたら・・・と思っています。

そんな気持ちもあって、床に七事式の偈頌と五月人形を飾りました。
五月人形は、名将が出陣の際に身に着けるとされる、武の七つ道具「弓・矢・刀・剣・甲・冑・戈(ほこ)」を意識して飾ってみました。(思うことは毎年同じで?、前にも似たようなことが書いてありました(トホホ・・・



(さて・・・勉強だから気を取り直して続けます)
江戸時代の中期、表千家七代・如心斎天然宗左と弟の裏千家八代・又玄斎一燈によって七事式が創定されました。
「七事式」の基本の精神や成り立ちを何度か読んでいるものの難解でして、これを理解し身に着けることは大変難しいのですが、七事式を修練する者として少しでも理解を深めるためにここに記します。

「七事」という言葉にはいろいろ深い意味があるそうです。

七事とは七大事ともいい、中国の周礼(周礼(しゅらい)は、儒家が重視する経書で十三経の一つ、『儀礼』『礼記』と共に三礼の一つ)に国を治めることの要諦を7つ教えています。
即ち、祭祀、朝観、会同、賓客、軍旅、田役、喪荒の大事をいい、これを司る人を七事者といいます。



禅では、禅の修行の基本理念として「七事随身」の教えがあります。
「碧巖録」(正しくは「仏果圓悟禅師碧巖集」)の注釈書に、大智和尚の撰述した「種電抄」12巻があり、その第2巻の「碧巖録」第15則につぎの語句が書かれ、詳細な注釈があるそうです。

具七事随身可以同生同死
(七事を具して身に随えて、以て同生同死すべし)

大智和尚による注釈を要約すると、禅の七事には内ノ七事と、外の七事の2種があり、
内の七事は、禅の修行における精神面の大事を次のように伝えています。
1.大機大用(たいきたいゆう)
2.機瓣迅速(きべんじんそく)
3.語句妙霊(ごくみょうれい)
4.殺活機鋒(さっかつきほう)
5.博学広覧(はくがくこうらん)
6.鍳覚不昧(かんかくふまい)
7.隠顕自在(おんけんじざい)

外の七事とは、禅の修行に必要な調度や用具などの七つ道具です。
1.拄杖(しゅじょう)
2.拂子(ほっす)
3.禅板(ぜんぱん)
4.几案(きあん)
5.如意(にょい)
6.竹箆(しっぺい)
7.木蛇(もくだ)

(正直・・・外の七事の七つ道具ですら禅板・几案などようわからん・・・です。
 またまた、気を取り直して続けます)

茶道の「七事式」の創定には、以上の「七事」の教えが基本にあり、特に「七事随身」の精神が基本精神になっていると理解しております。
また、当時の大徳寺・玉林寺の住職・大龍宗丈禅師と、その法嗣で一燈・如心斎の参禅の師であった無学宗衍和尚の助力があり、川上不白、多田宗菊、速水宗達、中村宗哲ら多くの方々が協力して確立されたそうです。

茶道における七事式とは、花月(かげつ)、且座(しゃざ)、廻り炭、茶カブキ、一二三、員茶(かずちゃ)の七つの式です。
無学宗衍和尚がそれらの一つ一つに偈頌をつけられました。(この偈頌が素晴らしい!ですが、またの機会に・・・)

大型連休中ですが、5月1日から七事式の偈頌が書かれた御軸の下で、風炉の初炭、薄茶、濃茶、後炭など基本点前から稽古に精出しています。






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