三月が近づくと雛の茶事が思い出されます。
大阪の峯風庵(ほーぷあん)が昨年三月末で閉鎖されるというので、
峯風庵名残りの茶事へ伺いたく・・・とお願いしました。
平成二十一年三月七日に関東から四名、関西から一名が合流し、
正午の茶事へ伺いました。
マンションのドアを開けると、
そこは仕事場兼茶事処になっていました。
茶室は四畳半、台目床があり、炉が切られています。
板やパネルを吊っているような造りに目を見張りました。
囲いの茶室という感じでしょうか。
吟味された囲いの素材が素晴らしく、無機質の囲いの中に
遊心と落ち着きのある、もう一つの囲いを創り出しています。
ご亭主、森由紀子さんの迎えつけを受け、
腰掛待合から枝折戸を開け、蹲を使い、にじり口に進みました。
にじり口を開けた途端、
茶室に居る雛たちのざわめきが急に止み、
みんな急いですまし顔をしました。
しゃべりかけたいのを我慢しながら
それでも無言の声が聞こえてくるようでした。
「今日のお客様は遠方からいらしたけれど どんな方たちかしら?」
・・と、床の間に関西風に仲良く並んだ内裏様。
「始めての方が多いようだけれど ご主人様のお茶を
楽しく味わってくれたらうれしいなぁ・・・」
と、心配そうに水指の周りをうろうろ歩き回っている三人官女。
「さっきから歓迎の意を表して
踊りだしたいのをこらえているの」
・・と、風炉先屏風前の五人囃子。
「ちょうど火加減が良いところなので
早く炉の様子を見てほしいなあ」
・・と、炉縁に陣取る三人の仕丁。
揺れる釣釜、炉縁に赤く映える炎、ほんの少々の御酒のせいで
そんな錯覚を感じたのかもしれません。
(つづく)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/ny_kimono_m.gif)
写真は「お内裏様」(これは関東風の並べ方です)。
大阪の峯風庵(ほーぷあん)が昨年三月末で閉鎖されるというので、
峯風庵名残りの茶事へ伺いたく・・・とお願いしました。
平成二十一年三月七日に関東から四名、関西から一名が合流し、
正午の茶事へ伺いました。
マンションのドアを開けると、
そこは仕事場兼茶事処になっていました。
茶室は四畳半、台目床があり、炉が切られています。
板やパネルを吊っているような造りに目を見張りました。
囲いの茶室という感じでしょうか。
吟味された囲いの素材が素晴らしく、無機質の囲いの中に
遊心と落ち着きのある、もう一つの囲いを創り出しています。
ご亭主、森由紀子さんの迎えつけを受け、
腰掛待合から枝折戸を開け、蹲を使い、にじり口に進みました。
にじり口を開けた途端、
茶室に居る雛たちのざわめきが急に止み、
みんな急いですまし顔をしました。
しゃべりかけたいのを我慢しながら
それでも無言の声が聞こえてくるようでした。
「今日のお客様は遠方からいらしたけれど どんな方たちかしら?」
・・と、床の間に関西風に仲良く並んだ内裏様。
「始めての方が多いようだけれど ご主人様のお茶を
楽しく味わってくれたらうれしいなぁ・・・」
と、心配そうに水指の周りをうろうろ歩き回っている三人官女。
「さっきから歓迎の意を表して
踊りだしたいのをこらえているの」
・・と、風炉先屏風前の五人囃子。
「ちょうど火加減が良いところなので
早く炉の様子を見てほしいなあ」
・・と、炉縁に陣取る三人の仕丁。
揺れる釣釜、炉縁に赤く映える炎、ほんの少々の御酒のせいで
そんな錯覚を感じたのかもしれません。
(つづく)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/ny_kimono_f.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/ny_kimono_m.gif)
写真は「お内裏様」(これは関東風の並べ方です)。