(つづき)
腰掛待合で銅鑼を待っていると
「あらっ! 今鳴ったかしら?」とお正客さま。
銅鑼の最後の音だったようです。
・・・それで、もう一度聞こえる場所で打って頂くようお願いしました。
大・・・小・・中・・中・・・大
後座は、廻り花、且座(香と濃茶)、花月(薄茶)、一二三之式です。
席入りすると、床の中釘に七つ節の竹尺八が掛けられていました。
後座から半東宗厚さんが四客に加わって全員が揃い、賑やかになりました。
亭主宗真さんが皆で持ち寄った花をいっぱい乗せた花台を持ち出し、「どうぞお花を」と正客へ声を掛けました。
「お先に」、正客から順に床前に進み、たくさんの花の中から選び、一つの花入へ生けていく様はまるで短い映画を見ているようでした。
お一人お一人の個性や思いが選ぶ花や生け方に現われて、一同ため息が出る思いで見つめます。
折角生けたその花と風情を楽しみ、惜しみつつも・・・「上げさせて頂きます」
そして新たな命を吹き込まれた花が生けられていく・・・なんて素敵で贅沢で余情残心の廻り花なのでしょうか。
「色即是空 凝思量即背」(しきそくぜくう しりょうこらせばすなわちそむく)
・・・七事式・廻り花の偈頌が頭を過って行きました。
亭主宗真さんが海老根を生けると、「どうぞお水を」と正客から声が掛かりました。
花と人とが紡ぎ出す時間と共感・・・廻り花の魅力に浸った素敵なひと時でした。
時が経ち、もはや花の名前が思い出せなかったりしていますが(間違っていたらごめんなさい)、記念に記します。
廻り花
紫蘭 宗悦
縞葦 小手毬 宗里
一初(いちはつ) 宗曉
壺珊瑚 苧環(おだまき) 宗厚
満天星つつじ 都忘れ 宗智
海老根(えびね) 主 宗真
香盆が運び出され、正客宗悦さんが香を焚いてくださいました。
いつもより火味が強いようで、こんな時には雲母を2枚にすると良いそうです。
濃茶になり、まろやかな中にも爽やかな苦みを感じる濃茶を5人で美味しく頂戴しました。濃茶は翠晶庵のブランドものでした。
前席のお菓子は「春の野」(練切の上にピンク、緑、黄などの花が・・・)、翠晶庵製です。
薄くかわいらしい口作りの黒楽茶碗は、なんと!ご亭主の手づくりでした。
茶入もお持ち出しくださって、ほっそりとした小柄な茶入は先輩から譲られた思い出の御品でした。
しっかりした形と削りが印象的な白竹の茶杓銘がステキ!です。
茶杓銘「寸暇楽」(すんからく)、寸暇を惜しんで(または見つけて)お茶を楽しんでいるご亭主の姿が浮かんで参ります。
はや一二三之式となり、もう五事式が終わってしまうの・・・と名残惜しく感じました。
思い思いの札を選び入れ、盆に並んだ5枚の札を拝見すると、全員が「花の一」。
一年間修練を積み重ねてきた全員の気持が一致したように感じ、嬉しく最後の挨拶を交わしました。
亭主宗真さんと半東宗厚さんのお蔭で、暁庵も三客として右膝今一つながら五事式を存分に楽しませて頂き、感謝いたします。
皆さま、ありがとうございました。
5月から新年度がスタートします。
楽しく元気に修練を重ねて、また来年も第3回五事式を致しましょう・・・と一同願っています。&
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