2011年1月26日に東京工業大学社会人教育院が開催した「ITが巻き起こすイノベーション」という講演会に参加しました。講師は、日本オラクルの常務執行役員の保々(ほぼ)雅世さんです。
IT(情報技術)によって、当該企業のビジネスモデルを巧みに変革した具体的なケースを分かりやすく解説されました。
日本を代表する家電量販店では、売上高トップはヤマダ電機です。市街地の郊外に大きな駐車場を設けて、お客を引きつけるロードサイド型店舗を展開しています。売上げ規模が大きく、仕入れ量を増やすことで、家電メーカーからの仕入れ値を大幅に下げさせることで収益を確保しています。家電店トップを維持するために、ヤマダ電機はM&A(合併と買収)を積極的に行い、規模を追及しています。ベスト電器、マツヤデンキ、星電社などと、それぞれ子会社化したり、吸収したりしています。保々さんが博士号をお取りになった時の解析内容に基づいているので、2006年のデータとやや古いデータで説明されました。
2006年のヤマダ電機の売上高は2005年2月に1兆円を突破し、2010年3月には単体で1兆9717億円に達したそうです。純利益は2010年3月に連結559億円、単体549億円です。
家電量販店の売上げの約20%を占める巨人のヤマダ電機に対して、ヨドバシカメラはITを活用し、従業員1人当たりの労働生産性の高さで勝負しているのが特徴だそうです。保々さんは2002年のデータで両者を分析します。
1人当たりの利益をみると、ヨドバシカメラが労働生産性が高いことがよく分かります。その秘密はIT活用の差だと説明します。ヨドバシカメラはユーザーに売上げポイントを与える「Gold Point Card」をいち早く導入し、顧客一人ひとりの購入パターンを収集し、行動パターンを分析します。これを1週間分の最終需要予想にまとめ、家電メーカーに対する発注計画を立てます。4週間前に受注した分の1週間分を確定発注し、その発注分を完全買い取りするそうです。数量の確定発注によって、納品価格を徹底的に下げさせていると推定されます。53万品目を品ぞろえし、在庫回転率を月に3回と驚異的に高くし、値下がりする前に売り切ってしまう戦術と分析します。こうしたことができるのは、ITシステムのおかげであり、徹底してITを活用することから産まれるといいます。「同業他社の中では圧倒的に高い利益率を実現している」そうです。
保々さんは大学卒業後に最初はIBMに入社し、マイクロソフトに転職するなどの経歴を重ねた後に、現在はオラクルに勤めています。米国を代表するIT企業のこの3社は、それぞれ積極的にM&Aを展開しているそうです。2006年までに、IBMは61社を、マイクロソフトは77社を、オラクルは59社と、積極的に企業を買収したり、合併したりしています。将来必要になる最先端技術の芽を入手したり、製品シェアを高めるために当該企業が持つ市場を入手したりするなど苦心してる。大胆な企業買収も珍しくないとのことです。
講演する雰囲気は親しみやすく、楽しく聞かせていただきました。
IT(情報技術)によって、当該企業のビジネスモデルを巧みに変革した具体的なケースを分かりやすく解説されました。
日本を代表する家電量販店では、売上高トップはヤマダ電機です。市街地の郊外に大きな駐車場を設けて、お客を引きつけるロードサイド型店舗を展開しています。売上げ規模が大きく、仕入れ量を増やすことで、家電メーカーからの仕入れ値を大幅に下げさせることで収益を確保しています。家電店トップを維持するために、ヤマダ電機はM&A(合併と買収)を積極的に行い、規模を追及しています。ベスト電器、マツヤデンキ、星電社などと、それぞれ子会社化したり、吸収したりしています。保々さんが博士号をお取りになった時の解析内容に基づいているので、2006年のデータとやや古いデータで説明されました。
2006年のヤマダ電機の売上高は2005年2月に1兆円を突破し、2010年3月には単体で1兆9717億円に達したそうです。純利益は2010年3月に連結559億円、単体549億円です。
家電量販店の売上げの約20%を占める巨人のヤマダ電機に対して、ヨドバシカメラはITを活用し、従業員1人当たりの労働生産性の高さで勝負しているのが特徴だそうです。保々さんは2002年のデータで両者を分析します。
1人当たりの利益をみると、ヨドバシカメラが労働生産性が高いことがよく分かります。その秘密はIT活用の差だと説明します。ヨドバシカメラはユーザーに売上げポイントを与える「Gold Point Card」をいち早く導入し、顧客一人ひとりの購入パターンを収集し、行動パターンを分析します。これを1週間分の最終需要予想にまとめ、家電メーカーに対する発注計画を立てます。4週間前に受注した分の1週間分を確定発注し、その発注分を完全買い取りするそうです。数量の確定発注によって、納品価格を徹底的に下げさせていると推定されます。53万品目を品ぞろえし、在庫回転率を月に3回と驚異的に高くし、値下がりする前に売り切ってしまう戦術と分析します。こうしたことができるのは、ITシステムのおかげであり、徹底してITを活用することから産まれるといいます。「同業他社の中では圧倒的に高い利益率を実現している」そうです。
保々さんは大学卒業後に最初はIBMに入社し、マイクロソフトに転職するなどの経歴を重ねた後に、現在はオラクルに勤めています。米国を代表するIT企業のこの3社は、それぞれ積極的にM&Aを展開しているそうです。2006年までに、IBMは61社を、マイクロソフトは77社を、オラクルは59社と、積極的に企業を買収したり、合併したりしています。将来必要になる最先端技術の芽を入手したり、製品シェアを高めるために当該企業が持つ市場を入手したりするなど苦心してる。大胆な企業買収も珍しくないとのことです。
講演する雰囲気は親しみやすく、楽しく聞かせていただきました。