ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

「富士通フォーラム2014」で、レタスを栽培する植物工場展示を拝見しました

2014年05月19日 | イノベーション
 富士通は「富士通フォーラム2014」という技術展示会を5月中旬に東京都千代田区で開催しました。

 その技術展示会場の入り口付近に、レタスを栽培する植物工場の展示ブースがありました。



 昨年2013年に、福島県会津若松市にある富士通系の半導体工場を植物工場に転換すると、富士通は発表しました。休眠中のクリーンルームを転用し、完全な人工光によって、2013年10月からカリウム含有量が露地栽培品に比べて約1/5と少ない高付加価値のレタスを生産すると発表していたものの技術展示ブースです。

 この植物工場で栽培したレタスは、農薬を使っていないので「洗わずにそのまま食べられる」そうです。そして、地面などから付着する細菌が極端に少ないので、「冷蔵庫に保管すれば、約2週間は鮮度を保つ」そうです。ただし、価格は露地物に比べて1株400円程度と高いので「カリウム摂取量が制限されている腎臓病患者向けなどの病院食を目指す」ようです。

 日本での独自タイプの高付加価値品を狙う野菜事業です。

 2014年1月から1日当たり3500株を出荷する計画を立てています。富士通が得意とする、農業向けのクラウド型データサービス「Akisai」を活用して生産性を高めています。ここが富士通のハイテク技術の活用法です。

 この農業クラウドサービスは、栽培データを収集し分析しデータ解析して、肥料の量などを最適化するほか、流通・販売企業の需要に応じた生産調整なども実施できるそうです。

 2014年5月15日に、東芝は神奈川県横須賀市に所有する建屋を活用した植物工場「東芝クリーンルームファーム横須賀」を立ち上げ「長期保存できる無農薬の野菜生産を事業化する」と発表しました。

 レタスやベビーリーフ、ホウレンソウ、ミズナなどを栽培する植物工場をつくるそうです。各野菜に付着している雑菌が路地栽培の野菜と比べて1/1000程度と少ない環境を実現する計画です。2014年度上期中には出荷を開始し、年間3億円の売り上げを見込むようです。

 電子立国日本を支えてきた半導体工場などの休眠工場・施設などを高付加価値品をつくり出す植物工場に転用し、高度なデータ解析を実現することによって、“モノづくり”日本を維持し、活路を見いだす狙いのようです。

 例えば、日本の電機メーカーなどが培ってきた“プラントエンジニアリング”という、工場の原料などの供給体制や省エネルギーシステムなど工場運営のノウハウを活用できるからです。

 こうした紆余曲折(うよきょくせつ)の中から、次の新規事業を見いだすことが大切です。新規事業はある種の新市場探し・新市場づくりですから。運がよければ、日本型農業の未来の一部を切り開きます。