まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

各国の署名・記名捺印&会社印押捺

2015-03-08 22:37:52 | 商事法務
○ 会社印などを押す制度の国は、世界でも多いですね。今回は、英国、中国、タイ、日本と、最近はあまり見かけない米国のことについてのべてみましょう。

○ 日本では、会社法等に署名又は記名押印という言葉が頻繁に出てきます。日本では、代表取締役の制度を採用していますので、署名とは代表取締役が署名することですね。又は記名押印ですから、別に署名すれば、記名押印しなくてもいいのですが、現実は記名押印が多いですね。押印の印は、「xx株式会社 代表取締役の印」となっていますので、会社の印では無く、代表取締役個人の印鑑です。これのほかに慣習的に四角の角版のいわゆる社印があります。

○ 会社印の制度は、英国(系の国々)、中国、タイ等でも見られます。Common SealとかCorporate (Common) Sealとか呼ばれているものですね。英国では、厳密にはCorporate Sealを押すには取締役会の決議がいるようですが、中国のように気軽に何でも、会社の本当の書類ですよというのを証明する役目のために会社印を押す場合も多いですね。

中国では、会社印等の印鑑類は公安の確認を得ないと調整できないですね。その他法定代表人の印鑑とかいろいろな印鑑が必要ですね。会社印の制度は、日本の角版の制度とよく似ていますね。その会社が確認した書類であるという意味でしょうか。

○ タイでも、Common Sealをよく押しますが、それは中国のように、この書類は本物ですよという意味でしょうか?タイでは、民商法の会社法部分には、Common sealという言葉は出てきませんが、Partnershipのところにはsealed with the common seal of the partnershipという言葉が出ていますので、会社印の作成・捺印が前提になっています。このCommon Sealの効力・役割は、よくわかりませんが、銀行などは、なんでもかんでもこれを押印するように求めます。また時々政府系の公団とかの契約書には、毎ページこれが押してありますね。これは、確かにその会社が押印したものですという意味なんでしょうね。毎ページ会社の社長なりがイニシャルサインをしたほうが確かなような気がするのですが、それも大変ですので、会社印で簡略化していますね。

○ 英国では、Common sealの押してある書類は、約因(Consideration)がなくても、enforceableですね。いわゆる捺印証書です。捺印証書は、Formal contract=要式契約ですので要式が必要です。例えば無償の贈与契約=約因のない契約や負担する債務の内容を書面にして、以下の3つの要件が必要です。①署名。②捺印=法人の印章・会社印ですね。及び③交付(delivery。効力を発生させる行為ですが、現実の交付は要件とはなっていない)。

○ 米国では一般的に契約書に署名しますね。本来の英国流で言えばこれに捺印が必要ですが、最近は捺印しません。約因が無くても書面になっておればenforceable としている例が多いですね。でも昔は、署名の後に「Seal」とか「L.S.」=locus sigilli=place of the sealと記載して簡略化していましたが、これも省かれました。最近は、署名してこれをPDFで送信して、それに署名をすれば、これで契約成立としていますし、丁寧に、それで契約成立だと文言を書いてある契約も見たことがありました。

○ 会社印の制度、その使用態様などは、各国ごとに違いますし、法律に書いていませんので、まあ実例に当たって対応することになるでしょうね



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