まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

完全子会社化の方法

2009-03-22 12:33:54 | M&A

     完全子会社化の方法にはどの様な方法があるでしょうか。その方法についてまとめて見ましょう。特殊な方法も思いつくものは列挙して見ましょう。少数株主排除とも関係しますが、それらについては以下のブログを御参照下さい。少数株主を排除すれば完全子会社になりますが、その他の方法もありますので整理してみましょう。

株式移転による少数株主排除

http://blog.goo.ne.jp/masaru320/d/20090208

少数株主整理・排除の方法

http://blog.goo.ne.jp/masaru320/d/20080628

     完全子会社化の方法

     株式取得

会社を完全子会社にしたい人が、他株主全員からその持株全部を購入すればいいことですね。一番簡単でポピュラーな方法ですね。

     全部取得条項付種類株式を利用する方法

   全部取得条項付種類株式による少数株主整理↓を御参照ください。

http://blog.goo.ne.jp/masaru320/d/20080708

     取得条項付株式の取得

この方法は、株主が少数のときしかできません。発行する全部の株式を取得条項付株式に変更して、会社が株主全員から全ての株式を取得して、同時に新株主に新たに募集株式を発行する方法が考えられると、葉玉さんの本に書いてありました。この方法は、既存株主の全員の同意(110条)が必要ですし、その株主への対価の支払が必要ですので財源規制(170条⑤)が働きます。キャッシュアウト(分配可能剰余金の減少)も多額になりますが、すぐに資本金・資本剰余金としてお金が入ります。定款変更も必要で複雑な法テクですね。例えば株主A=70%, B=30%のような会社の場合で、Aが100%完全親会社になるような場合しか出来ないでしょうね。

自社株の特定株主からの有償取得の特別決議(その特定株主は議決権無し&Tag Along条項で他の株主も取得請求ができる)で、承認を取る方がよっぽど楽ですね。

既存株主全員が自社株取得を請求すれば良い事ですね(この場合は議決権復活)。そしてその取得日に、新株主に募集新株を発行すればそれで良い事ではないでしょうか。まあ、この方法による完全子会社化は、方法としては空理空論でしょうね。

     新設子会社による吸収合併(現金合併)

この④から⑥までの方法は、所謂対価の柔軟化で、その対価を例えば存続会社の株式ではなく、金銭等(=現金・社債等)で支払う場合は、株主を排除することが可能ですね。

新設の100%完全子会社を設立して、その会社を存続会社として、もう一方の会社を消滅会社として合併し、合併の対価として金銭や親会社の株式を交付する方法ですね。

新設子会社は100%子会社ですから、親会社の思うように手続きを進められます。消滅会社では、合併契約の特別決議承認、反対株主には株式買取請求権(一定の要件の場合は新株予約権者等にも買取請求権)、更に債権者に対して債権者保護手続きが必要。

現金合併の場合は、消滅会社株主は株券提供公告(株券不発行会社は無し)に応じて株券を提出してお金をもらって終わりですね。反対株主も株式買取請求権を行使しても存続会社側の主張は、同じ株式の単価で計算されます。お金をもらうという点では一緒ですが、反対株主は、「公正な価格」で買取請求できます。当然会社側としては、同じ評価額を主張しますので、公正な価格の折り合いはつきません。効力発生日から30日以内に協議が調わないときは、株主又は消滅株式会社(効力発生日後にあっては、吸収合併存続会社)等は、その期間の満了の日後30日以内に、裁判所に対し価格の決定を申立てて決着を計ることになりますね。

     新設完全子会社設立とその会社への吸収分割(対価が金銭)

合併の場合と同じですね。まず新設の100%完全子会社を設立し、その会社を吸収分割承継株式会社とし、吸収分割会社の権利義務を承継する。758条IVホでは「当該金銭等が吸収分割承継株式会社の株式等以外の財産であるときは、当該財産の内容及び数若しくは額又はこれらの算定方法」と記載されています。金銭等を対価にすれば言い訳ですね。原則総会特別決議、反対株主には買取請求権があります。

     株式交換(対価が金銭)

原則として総会特別決議、反対株主には買取請求権があります。株式交換完全子会社の株主に対して親会社の株式や金銭を交付すれば良いですね。親会社の株式を交付すれば、親会社の株主になりますが、株式では無く金銭を交付すれば、子会社の株主は親会社の株主にはなれずお金をもらって排除されます。株式交換では、財源規制の問題はありません。

     株式移転による少数株主排除

この方法による、完全子会社化については、以下のブログを御参照下さい。

http://blog.goo.ne.jp/masaru320/d/20090208

     その他特殊な方法

1)       株式併合方式

例えば、筆頭株主が100株保有し、それ以外の株主が100株未満の保有であるときに、100対1で株式併合を行い、100株を1株にしてしまえば、100株未満保有の株主は、1株未満の保有となります。1株に満たない端数処理としては、235条①に規定されてますね。「株式の併合をすることにより株式の数に一株に満たない端数が生ずるときは、その端数の合計数(その合計数に一に満たない端数が生ずる場合にあっては、これを切り捨てるものとする。)に相当する数の株式を競売し、かつ、その端数に応じてその競売により得られた代金を株主に交付しなければならない。」②では、前条を準用して、「市場価格のある株式については市場価格として法務省令で定める方法により算定される額をもって、市場価格のない株式については裁判所の許可を得て競売以外の方法により、これを売却することができる。」としています。

全株主合意の上にやらないと831①(株主総会等の決議の取消しの訴え)により、著しく不公正ということで、争えば決議が取り消される危険覚悟でやるのでしょうね。

2)       単元株制度の導入(議決権100%)

上の例と同じですね。例えば、50株保有の株主の議決権を取り上げようとする場合は、100株を1単元として、1単元=1個の議決権とすればいいわけですね。しかし、好きなように単元のくくりを決められません。一応、1単元にくくれる株数の上限としては、会社法施行規則34条で、「法第188条第2項に規定する法務省令で定める数は、千とする。」と規定していますので、1万株=1単元にはできませんね。ただ、単元未満の株式数を保有している株主も株主として自益権は保有し続けますね。



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