まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

日本企業のインドでの税務申告

2018-01-20 00:09:40 | 企業一般
〇 経済産業省が公表している「新興国における課税問題の事例」として問題の多い国として、税務署職員にノルマを課し、現場も恣意的に解釈して税金を取りに来る中国が一番になっていますが、次に多いのはインドですね。インドでは、移転価格やPE問題も注意しないといけないのですが、税務の執行・手続きの問題として、例えばインドの合弁子会社等の企業から源泉徴収の対象となる支払いを受ける場合、PAN(Permanent Account Number)を取得しなければ租税条約が適用されず、インド国内法の源泉税率が適用される。PANを取得すると、PEの有無にかかわらずインドでの税務申告が、日本企業側に義務づけられ負担が大きいと解説しています。

〇 インドの人口は、13.9億の中国に次ぎ、約13.2億人ぐらいになったといわれています。経済成長率も2016年は7.1%であり、これに魅力を感じた日本企業が、現地に子会社・合弁会社を設立し事業の拡大を考えていますね。日本のインド大使館も領事館も、インドの各州の投資振興部局も外資導入に積極的で、地方も含めて各地で投資セミナーを開催しています。昔、中国でも「熱烈歓迎=いらしゃい いらしゃい」していましたね。中国投資がうまくいかず、撤退しようにも簡単に撤退できず、残余財産の日本への送金許可もおりず、いったんお金を中国にいれると利益配当は別として、多額の解雇保証金とか散々吸い取られますが、インドではまだ進出企業も多くないですから撤退の数としては少ないようです。インドは、進出機運としては、20年前の中国ですね。甘い誘致・投資勧誘に乗って、1年で工場作るぞといき込んでも、まあ実際は倍の2年かかるのが普通ですね。インドに進出すれば当然現地の子会社も苦労しますが、日本の親会社側もこれに付き合わされます。上記の通り、日本企業側でもインドの税務当局への税務申告が発生します。具体的な例として、例えば現地合弁企業に技術支援を行い、その支援料を現地企業が、日本の親会社に支払うとき、租税条約に則り10%の軽減税率の源泉税を現地で納めますが、そのためには日本企業側でインド税務当局の税務登録番号であるPANを取得し、また税務申告をしなければなりません。

〇 PANは企業だけでなく、その税務申告書に署名する人(インド内企業は取締役ですが)、外国企業の場合には、担当の課長などでもOKですが、その人のPANも取得しないといけません。更に、申告書の署名は電子署名ですから、それの取得即ちDSC(Digital Signature Certificate)も取得が必要です(DSCは、2年ごと更新)。このPANとDSCを取得の上、毎年、日本企業がインドの税務当局に税務申告書を作成・提出します。
といっても日本企業がインドの税務申告書を記載できるわけでもなく、現地の監査法人の税務部門などと契約して申告書を作成してもらうことになります。


〇 インドの財務会計年度及び税務会計年度は、4-3月です。日本のような確定決算主義ではないです。インド国内企業は、当然BS,PLなどの明細を申告書に記載します。日本(外国)企業のインド税務局への申告書も同じ申告用紙ですが、インドと例えば日本の親会社間の取引の明細・益金・源泉税の明細(TDS)等の部分だけが記載する内容になります。勿論、日本の親会社がどんな会社か、役員明細・住所、親会社の子会社一覧なども記載事項となります。

インド子会社は3月決算で、親会社の税務申告は、勅許会計士の証明書を取得する場合は11月末が期限です。結論を先に言いますと、作成し提出(インターネット提出で申告書はXBLで行います)する必要のある書類は以下です。
・3CEB(勅許会計士証明書)-税務申告書提出前に提出
・税務申告書作成・提出
・TP Memo (移転価格レポート)作成―このMemoは、当局への提出は不要ですが、作成して備置しておくことが、インド税法上の義務です。この書類は、別に11月までに作成しておく必要はないです。


〇 税務申告書類作成の流れは以下です。

3月 現地合弁会社の決算期
9月 9月頃までに、前年4月から当年3月までの、インド会社との取引(資本取引の明   細を含む)の全てをリストアップしておく。また、現地での源泉税納入(3か月単位)の際に作成するTDS(日本側はこれで税額控除を受ける)も整理しておく。そのうえで現地の監査法人の税務部門に、税務申告書作成依頼をして、そこと契約締結する。
9~10月  リストアップした資料と関係書類を、現地のへ送付。それを見て現地税務事務受託会社との間で、やり取りを行う。

11月 申告書、3CEB(会計士証明書)のDRAFTをチェック&内容を確認する。⇒現地税務当局に電子書類を提出(紙の書類での提出はできません。全て電子書類提出です)
11月以降 TP Memoを作成し、備置しておく。

尚、書類の保管期間は9年間です。


その他の必要書類は、日本側の企業が日本の企業であり、日印租税条約の対象である旨を証明するために、日本の税務当局から居住者証明書を取得して送る必要もありますね。


まあ、それぐらいでしょうか。
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