とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

スローフード論(「近代」を考える1)

2016-04-28 17:17:41 | 国語
 以下は国語の授業で「近代」を説明するときに使う文脈のひとつです。今回まとめてみました。

 「スローフード」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。知っている人もいるかもしれませんし、聞いたことのない人もいるかもしれません。聞いたことのない人でも、ファストフード」ならば聞いたことがあるという人もいるかもしれません。実は「スローフード」という言葉は、反「ファストフード」から誕生したものなので、話はそこからスタートします。

【ファストフード】
 「ファストフード」、昔はテレビなどでも「ファーストフード」と呼んでいましたが、正解はもちろん「速い食品」=「ファストフード」です。「ファーストフード」ならば、「第一食品」になってしまいます。
 この「ファストフード」、すぐに思い浮かぶのが「マクドナルド」です。よかれ悪しかれマクドナルドのハンバーガーは日本人が考えるファストフードの代表です。店に行き待たされる時間が少ないというのが「ファスト」なのです。

 その早い対応をするために何が必要なのでしょうか。

 まずは「調理工程のマニュアル化」です。消費者が安心して食事をするためには、どの店に行っても、誰が作っても、同じ味である必要があります。しかも、その味は濃いめの味です。初めて食べても「おいしい」と感じるような味です。強烈な味です。その味に慣れてしまうと、微妙な味がわからなくなってしまいます。

 うちの店は他のどのマクドナルドよりもうまいハンバーグを作るんだとがんばるマクドナルドの店長がいたとします。すると、本来の「マクドナルド」の味が失われてしまいますし、調理人に特殊な技術を要求したり、食材を特殊なものにしたり、早い対応や、価格の維持が難しくなってしまいます。いわゆる「ファストフード」チェーンはそのような個別の対応をしないのが普通です。

 大量生産による効率化により、世界中が同じ味であることが、マクドナルドなどのような世界的チェーンの戦略でもあるのです。

 世界中どこでも同じ味、しかも、その味に慣れてしまった人はその味から逃れなくなるような濃いめの味。一度「マクドナルド」にはまってしまった人は「マクドナルド」から逃げられなくなり、「世界中がマクドナルド」、「マクドナルドの世界征服」が実現してしまったわけです。

 このようなマクドナルドの手法は、アメリカ型のグローバリズムの典型と言ってもいいかもしれません。世界各地に消費者を増やしていくことによって企業として成長していく。少なくとも、世界中にマクドナルドができるまでは、拡大戦略を続けることができます。こうして、世界中がアメリカ化してきているわけです。
 
コメント
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