とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

「かんじんなことは目に見えない?」と「銀河鉄道の夜」

2017-03-01 10:13:53 | 国語

 2年生の現代文の授業で「かんじんなことは目に見えない?」という池内了氏の評論(エッセイに近いと思うが)を扱った。現代文の評論の教材としては論理性にあいまいさが多く、適当なのかはわからない。しかし内容はおもしろいものだった。宇宙にある、目に見えない暗黒物質(ダークマター)についての話である。暗黒物質があるからこそ、銀河は銀河として拡散しないでいられるという話だ。だから「かんじんなことは目に見えない」ということになる。

 そこで思い出したのが「銀河鉄道の夜」である。「石炭袋」として「銀河鉄道の夜」にも暗黒物質が出ていたのだ。そこで「銀河鉄道の夜」を朗読劇に仕上げて授業で取り上げてみた。台本が長すぎて改善の余地がたくさんある授業にはなったが、かなりおもしろい授業となったように思う。

 その授業を通じて、「銀河鉄道の夜」の再発見ができた。「銀河鉄道の夜」の核は自己犠牲の話であり、その犠牲になった行いは「目に見えない」ことが多い。タイタニック号の話が途中出てくるが、これは東日本大震災と似ている出来事だったのだと感じた。東日本大震災でもたくさんの自己犠牲があったのだろう。これは東北人に根付いた「銀河鉄道の夜」の精神が表れたものだったのだ。

 「かんじんなことは目に見えない」という観点から、「銀河鉄道の夜」を見つめなおし、宮沢賢治の偉大さを改めて感じることができた。

コメント
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