2月13日、山形県米沢市で開催された『春風亭一之輔独演会』に行きました。一之輔さんは、最近の漫才のような笑いを落語に持ち込んでいます。人物の描写が派手でどぎつい。その結果古典落語が今風の笑いを生みだしています。大いに笑わせていただきました。
演目はお弟子さんの与いちさんの「道具や」、そして一之輔師匠の「加賀の千代」と「らくだ」。
「加賀の千代」は、ちょっとおつむが足りない甚兵衛さんが、大家さんにお金を借りにいくという噺。大家さんとそのおかみさんが甚兵衛さんが来るのを喜んで待っていたという描写が一之輔さん独特のものでおもしろいものでした。
「らくだ」は前半のみ。私は後半の不条理な世界が好きなのですが、あまりやることがないようです。この噺は誰が考えたのだろうと思うほど奇想天外です。タイトルになっている「らくだ」が死んでいるところから話が始まるのですから最初から面喰います。やくざっぽい「半次」と気弱な「屑屋」が、酒を飲み始めるところからの立場が逆転するところがおもしろい場面です。一之輔さんは凄みもありますし、一方では気弱な描写もうまく人物描写が見事です。それによって自然な笑いが生まれます。楽しませていただきました。
米沢市は雪の多い都市です。本来ならば「雪灯籠祭り」が行われているはずでしたが、新型コロナのせいで今年は中止となってしまいました。そんな中でも、みなさんの努力でなんとか開催された落語会でした。はやく状況が改善してくれればと思います。