映画『ミセス・ハリス パリへ行く』を見ました。真面目で質素な生活をしていた戦争未亡人が、パリの高級ブランド「クリスチャン・ディオール」のドレスにあこがれ、古い慣習にしばられていたディオールを変革させ、自身も大きく変わっていく物語です。気持ちが明るく前向きになる映画です。
自分を変えたいと思うことはよくあります。しかし日常に埋没してしまって昨日までの自分のままで今日を生きてしまうのが普通です。毎日毎日今日の自分に嫌気がさしながらも、それを変えていくことはできることではありません。
自分を変えることを可能にしてくれるのは、自分の好きなことに陶酔することです。自分の人生にそれにかけることができるくらいに好きなものを見つけることです。しかしそれがむずかしい。自分が本当に好きなものって何なのだろう。そこで迷っていまいます。
主人公のミセス・ハリスは服が大好きでした。服を見ているときの彼女の目はあきらかに違っています。これは役者さんの勝利です。実は女性がドレスに夢中になるということは私にはあまりピンとこないことなのですが、しかしこの女優さんの演技をみるとすんなりと受け入れられます。
夢物語のような軽いお話ではあるのですが、役者さんたちの丁寧な演技がきちんと支えてくれ、心に落ちる作品に仕上がっています。気持ちのいい映画でした。