カンヌ映画祭でグランプリを受賞した映画『クロース』を見ました。説明的なセリフがほとんどなく、的確な描写で心を伝える、心にしみる映画でした。
主人公はレオという少年です。レオは同じ年の少年レミと大の仲良しです。傍から見るといちゃついているように見えます。そのためからかわれます。あるいは恋愛感情があったのかもしれませんが、レオはそれが恋愛だとは思っていません。そのために強く否定します。
ある日、レオがレミと寝ている時、レミはレオのふとんに潜り込みます。朝、そのことに気づいたレオは激しく怒り、レミを殴ります。以前は二人で同じベッドで寝ていたのにです。これにレミはショックを受けます。レミは恋愛感情があったのです。
少年たちの心の動きが丁寧に描かれて、場面が心を伝えます。せつない少年時代の心が蘇っています。
レオはレミを避けるようになり、レミは自殺してしまいます。
レオは自分のせいだと思い苦しみます。レミの母親もレオに何らかの疑念をいだき、真相を知ろうと思いますが、もちろんそれを態度にだしません。真実を知る事を望みます。
母親の気持ちも、レオの気持ちも痛いほど伝わってきます。自分を責めるレオ、レオを責めてはいけないとはわかりながら、レオに冷たい言葉を投げつけた母親の心、心の痛みが映像から直接感じられます。
見事な描写で細かな心を直接伝える映画です。名作です。