少し前になりますが、7月12日に山形市中央公民館ホールで開催された春風亭昇太独演会に行きました。結婚発表直後だったので、さらに落語芸術協会会長にも就任したこともあり、会場も盛り上がり「祝賀落語会」という雰囲気になりました。
昇太師匠は分かりやすさを意識しています。いいことですが、逆にそれによってマイナスになっていることもあるように感じました。
1席目は「そば清」です。テンポよく進む話術はさすがです。「そば清」のサゲは隣の部屋でそば清が薬を飲み、蕎麦が羽織を羽織っている状態になったいることをしめすことです。この話を最初に聞いた人はこの意味がすぐにはわかりません。しかし蕎麦が羽織を着ているという映像が滑稽でおどろおどろしくとても印象的なのです。昇太師匠はこのサゲで薬が人間を消すのだと先に説明してしまっています。わかりやすくはなっています。しかし一方では映像的な印象が後退していまいます。
2席目は「伊代吉幽霊」という新作落語。親子の人情を主軸にした幽霊噺。
そしてトリは「火焔太鼓」。わかりやすく軽い感じで進んでいきます。昇太師匠は軽くわかりやすく語ります。しかしその分、ひっかかりがなく印象がどうしても薄い。
昇太師匠は落語を広めることを考えている方なのだと思います。自身の明るいキャラクターを落語普及につとめようとしているように思えます。しかし逆に自分を抑えてしまっている部分もあるのではないかと心配してしまいます。しかしこれは私の勝手な心配だと怒られそうです。見ず知らずの人間に言われる筋合いのことではありません。
いずれにしても落語家としてはこれからが本領の発揮する時期です。昇太師匠の落語がこれからどう進化していくのか楽しみです。
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