とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

『骨と十字架』を見ました。

2019-07-16 06:21:00 | 演劇
 新国立劇場で『骨と十字架』を見た。

 作:野木萌葱
 演出:小川絵梨子
 出演:神農直隆、小林隆、伊達暁、佐藤祐基、近藤芳正

 進化論を否定するキリスト教の教えに従いながら、古生物学者として世界の注目を浴びることとなった神父ピエール・テイヤール・ド・シャルダンを描く作品である。

 宗教というと日本人はバカにしがちだ。神なんか実在するはずがないからだ。しかし絶対的にただしい「真理」こそが神であると考えれば、宗教は人間の営みそのものである。ガリレオもコペルニクスも、アインシュタインも優れた科学者は神を信じていた。神の作った世界は筋道の通った完璧な世界だと信じていたのだ。だからキリスト教の力が強かったヨーロッパで合理主義が発達したのだ。宗教を信じるものの少ない日本人は回りに流され、正義をつらぬくよりもご機嫌取りをしてしまう。強いものが正義。それが日本なのだ。

 テイヤールは真の宗教家であったからこそ、真実にまっすぐに向かうしかない。まわりの人たちはテイヤールを認めないが、次第にその姿に心を動かされていく。

 謙虚に、しかし信念を持って真実に迫らなくてはいけない。そう思わせる純粋な作品であった。
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