放送大学面接授業「オーケストラの世界を探求する」を受講した。大変興味深く、学びの大きい授業だった。
講師は
西濱 秀樹氏
(公益社団法人山形交響楽協会・専務理事)
阪 哲朗氏
(山形交響楽団常任指揮者)
成田 寛氏
(山形交響楽団契約首席ヴィオラ奏者)
オーケストラはたくさんの人たちが関わっている。もちろん指揮者、そして演奏者は当然である。しかしそれだけではない。演奏会では、客演となる演奏家もいる。オペラの場合は楽団外から歌手を招くことになるし、演出家もいる。さらには会場のスタッフの人たちのもいる。そして楽団の職員の方々もいるし、宣伝のためのポスター、パンフレットを作る人もいる。オーケストラという組織を運営していくことは並大抵のことではない。みんなの言うことをすべて聞いていれば何もできなくなるし、かといって強引に物事を進めて行けば空中分解するだろう。西濱氏、阪氏、成田氏の話を聞いていて、一番感じたのは、それぞれの方々の前向きな思いと、人との関係を大切にしていこうとするその方向性だった。こういう方々だから、オーケストラという組織が運営できるのだと感じられた。
特におもしろかったのは、演奏者が指揮者を見ているのかという話題だった。素人の私は、オーケストラは指揮者に絶対的な権限があるように思い込んでいたのだが、演奏者は演奏者同士の感覚の共鳴みたいなものがあり、それも大切にしながら、指揮者の意図をくんでいくいくような、からみあった関係性の中で演奏は出来上がっていくということに気付かされた。やはりオーケストラは組織であり、その組織が機能しているからこそうまくいくのである。
そしてその組織は地域に広がらなければいけないことも理解できた。演奏会に来てくれる観客はもちろん、支援する行政や、民間企業などの存在が不可欠であり、それが逆に地域の活性化につながる。実際に「やまぎん県民ホール」は何度も訪れているのだが、遠方から訪れる人もかなり多くいるようであり、ロビーでの会話を聞いていても全国区のような印象を受けることも多い。立地もいいし、これからも多くのコンサートや演劇で使われていくであろう。ここしばらくは東北の文化の発信基地となることが期待される。その中核に山響があるということがわかった。
私はもともとオーケストラというよりも、演劇が好きでそこからオペラに興味を持つようになり、時々東京でオペラを見ていた。ニューヨークでメトロポリタンオペラを見たこともある。山響のオペラも「やまぎん県民ホール」ができてからはよく聞きにきている。その中で、オペラの演出家と指揮者との関係に興味を持って、そのことを質問させていただいた。阪氏の回答は、関係性が伝わって来た。相手を尊重しながらも、自分を主張していく表現者の姿勢が、いいものを作り出していくのだと感じた。
「やまぎん県民ホール」は、新型コロナでつまづいたようなスタートになってしまったが、見事に挽回している。今後も山形の文化の発展に期待したいと感じる授業だった。
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