連休中は旅行とかしても高いし混んでいるだけだと思い、のんびりと過ごしています。休養とちょっとした仕事と自己研鑽と運動という、割と好きな時間の過ごし方をしています。しかし、あまりに家にばかりいるのもと思い、福島県立美術館で開催されている『若冲展』を見てきました。
伊藤若冲という画家については、最近まで私は全く知りませんでした。若冲は江戸時代の京都在住の画家で、当時はそれなりに有名だったらしいのですが、近代になり完全に忘れられてしまった人のようです。しかし近年になり再評価されました。特にアメリカ人のジョー・プライスという人物が若冲に注目し、最近のブームにつながったということです。3年ほど前NHKスペシャルで放送されたことによって大ブレイクにつながったようですが、私はそれを見ていなかったので知らなかったのです。
だから福島県立美術館に行ってびっくりしました。開館前にいったのにも関わらず、すでにすごい人の数です。並んでいます。私が見終わって帰るころには駐車場に入れなくて待っている車が列になっていました。福島県立美術館は東北でも有数の美術館ですが、これほどの客が来たのは初めてかもしれません。
若冲の作品のすばらしさは、独自であみだした技術だと思います。特に動物の描写にそれが現れます。細かいタッチで、時間をかけ筆を重ねて、さらに工夫を重ねることによってグロテスクにも感じられるほどリアルに描いています。一方では動物たちの目は、漫画のように愛嬌があります。不思議なアンバランス感があり、そこが私にとっての魅力でした。
もちろん若冲の技術は模倣から生まれたものです。誰に教わるということもなく、模倣を続ける中で自ら独自の境地に至ったということなのだと思います。孤独な作業が発明を生む、そんな時代だったのでしょう。
現代はなんでも教えてもらえます。自分で努力して自分の技術を編み出すことなんかなくなってしまいました。発明も発見もありません。せいぜい計算しながら奇をてらうことしかできません。はたしてこんなんで文化は維持できるのでしょうか。AI時代は人間の退化が急速に進む時代なのかもしれません。
考えさせらる、いい展覧会でした。
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