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荻上直子監督の新作『波紋』を見ました。現代の人間社会を突き放した目で見つめる映画でした。人間の愚かさと同時にいとおしさが描かれています。いい作品です。
今現在、私たちは東日本大震災のことなど本当はほとんど忘れてしまっています。忘れるのは人間だからしょうがないのですが、あの時の影響は見えない形でもいまだに人間社会にはっきりと残っています。この映画も原発事故によって心が壊れてしまった人たちのストーリーです。
人生の壁にぶち当たると、だれもが傷つき、だれもが他人を恨み、だれもが誰かにすがりたくなります。東日本大震災とか、新型コロナウイルスとか、あるいはかつて日本が行った戦争とか、バブル経済の崩壊もそうです、大きな出来事は見えないところで今も人々を狂わせていきます。そこで狂った人間を憎むのは当然かもしれませんが、しかしその裏にある社会の原因を見つめなければいけません。そうしなければ恨みの連鎖はとどまらないからです。むずかしいことですが、それができなければ大きな悲劇が待っています。
出演するのが、
筒井真理子
光石研
磯村勇斗
安藤玉恵
江口のりこ
平岩紙
津田絵理奈
花王おさむ
柄本明
木野花
キムラ緑子
ムロツヨシ
このメンバーだけ見てもすごい。
前回『怪物』について厳しい意見を書きましたが、この『波紋』のほうが「怪物」を見事に描いています。
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