世界の街角

旅先の街角や博物館、美術館での印象や感じたことを紹介します。

図書「Southeast Asian Ceramics」より#8:最終回

2015-04-27 09:51:38 | 陶磁器
ミャンマー陶磁#4


 1472年から1492年にバゴー(Bago)に君臨したペグー朝ダンマゼディー(Dhamamazedi)王の宮殿が、1990年代に再建された。
 施釉陶磁片の数々が宮殿跡の基礎部分から出土し、それらは再建された宮殿付属の博物館に寄託された。バゴーは、17世紀まで、重要な政治の中心であり続けた。バゴーの陶片には、多くの赤褐色の器胎に白色の錫鉛釉が含まれていた(これをもって錫鉛釉緑彩盤の産地の候補が、バゴーであろうと推測されている)。

 それに似た陶片は、17世紀のスマトラとシンガポールのSiteから発見されている。バゴーの近辺では窯址が発見されていないが、陶磁生産がそこに存在していた可能性は高い。他にマンダレーの北のShwebo地区に窯が、おそらく存在していた。
 ミャンマーの施釉陶生産の歴史を明らかにするための、多くの調査研究が残されている。ビルマ陶磁に関心のある地元の学者グループの形成は、この研究が追究される希望を与えてくれる。
 イラワジ・デルタの西で、アデレード大学Dr,Heinと彼のミャンマー人チームはミョーハン(Myohaung)で一つの窯址を発掘した。それはミャウンミャの南10kmのところである。
 そこでは暗褐色から黒い鉢が、紐作りで作られていた。他には動物の肖形物と寺院用の建築用材であった。発掘された窯はトワンテやラグンビーと似ているが、幾つかの技術的特徴を持っていた。



 上の2点はいずれも、バンコク大学東南アジア陶磁博物館に展示されている青磁盤で、トワンテ窯とキャップションに記載されている。盤形状や釉薬の調子は北タイの青磁盤を想わせる。

 途中注釈も入れたが以上が、図書「Southeast Asian Ceramics」の紹介である。しかし中味に詳細性はなく、物足りない。これよりも詳しい論文を津田武徳氏が発表されている。それによるとトワンテの窯址発掘に参加されており、それは北タイと同じ横焔式単室窯であったとのことである。この似たような窯業文化の底流には、モン(MON)族の存在が考えられる。
 尚、「東南アジアの古陶磁(6):富山市佐藤祈念博物館」に津田武徳氏の「ミャンマー・ラオス陶磁解説」が掲載されている。こちらの方が図書「Southeast Asian Ceramics」よりも、詳しく記載されている。

 以上をもって図書「Southeast Asian Ceramics」の紹介を終了する。