以下に掲げる文様の幾つかは、既に紹介している事例もあるかと思うが、重複しているようであれば、ご容赦願いたい。

(鉄絵魚文:バンコク大学東南アジア陶磁博物館)
多様な魚文の一つの典型例である。魚頭を三重円圏の左端に配し、魚体を折り返して魚頭の真下に尾鰭を配している。このデザインの魚文は、多々見ることができる。

(鉄絵草花文:バンコク大学東南アジア陶磁博物館)
器胎全面に渡って絵付けされている。このような繁辱さを伴う絵付けは、サンカンペーンでは希少である。銘盤の一つである。

(鉄絵草花文:バンコク大学東南アジア陶磁博物館)
これも器胎全面に描かれているが、それなりに余白を残しており、繁辱さは感じない。花卉は百合系統の花と、菊に似た花弁をもつ花が描かれている。この菊に似た花は、北タイの山岳部に群生する、ドーク・ブアトーン(メキシカン・サンフラワー)であろうか?

(鉄絵花草文:バンコク大学東南アジア陶磁博物館)
よく目にすることができる一般的な花草文で、鉢にも描かれている。鉄絵が滲みたように見える盤が多い中、当該盤は明瞭である。

(鉄絵双魚文:インターネット・オークションより)
中央に日輪を配し、頭部を右向きにした双魚文で、比較的目にする機会が多い。

(鉄絵双魚文:インターネット・オークションより)
非常に珍しい双魚文である。鉄絵の発色が薄く、やや不明瞭である。腹側、背側共に鰭が3箇所、尾鰭が三又になっているのは極めて珍しく、後絵の盤の特徴でもある。そこで後絵の痕跡をさがしてみたが、その痕跡はなく本歌である。オークション出品作は完品ではなく、破片をつなぎ合わされており、完品であれば銘品である。

(鉄絵双魚文:インターネット・オークションより)
見込み中央に日輪を配し、左向きの魚文で尾鰭、背鰭を省略しており、もっとも描かれた魚文である。