世界の街角

旅先の街角や博物館、美術館での印象や感じたことを紹介します。

セブ大聖堂の獅子と魚

2018-11-23 06:39:59 | フィリピン・セブ

セブ大聖堂で、面白いものを2点みたので興味が湧き種々調べてみた。1点目は聖堂入り口左右に配してあった対の獅子像である。なぜか黒色のペンキで覆われている。キリスト教会の聖堂に獅子像とは何ぞや・・・。

聖堂正面の屋根の破風にはグリフィンが対で刻まれているので、その影響か?・・・影響と云っても、もう一つ分からない。

う~ん、聖堂に獅子像!どこかで見た覚えがある。そうだ、長崎・浦上天主堂で見た。浦上天主堂は坂道を上ったところにある。天主堂の左手前に被爆した聖人像と獅子像が置かれていたことを思い出した。その写真を掲げておく。

この獅子像は、口に管を咥えており、狛犬としての獅子像とは異なるようだ。調べると、この獅子像は旧天主堂の軒先の雨樋として用いられていたとのことで、セブ大聖堂の一対の獅子像とはことなる。しかしなが目的は異なるとは云え獅子像が存在したのである。さらに調べると台湾・台南のカトリック教会には、対の獅子像が在るとのことである。

してみるとセブ大聖堂建立当時、セブアノと共に中国・明人の移民(華僑)が多数居り、その関係の獅子像であろう。話は飛ぶがセブ・東横インのスタッフ、ハウスキーパーは実にフレンドリーである。彼女に獅子像の事を聞くと、いずれもUNKOWNである。想像でしかないが、多分上述の理由であろう。 

聖堂内に入っていないので、多くのステンドグラスは見ていない。しかし聖堂の外をマリヤ像に向かって移動中、ふと聖堂の壁面にあるステンドグラスに目をやると、魚のステンドグラスが在るではないか、これが2点目の興味がわいた事柄である。

魚と云えば中世インドシナ半島の多くの窯場で、焼成陶磁を飾る文様として採用された。中でも双魚文が多いが、西方インドで発達した黄道十二宮の双魚宮がオリジンとも考えていたが、こと双魚文については陰陽配置が多いことから、やはり中国起源であろうと考えている。

そこでセブ大聖堂のステンドグラスに何故魚の文様なのか・・・? 調べるとイスラエル北部のガリヤラ湖に行きついた。

周囲53km、南北に21km、東西13kmで総面積は166平方キロメートルとのこと。そこでは多くの魚が獲れ、なかでもテラピアが多いという。この魚は使徒ペテロ(ペトロ)が、ガリラヤ湖の漁師であったという福音書の記述にちなんで「聖ペテロの魚」と呼ばれているそうだ。そのガリラヤ湖の西北岸にタブハという村が在り、イエスが2匹の魚と5つのパンで5000人を満腹にさせた奇跡が起こった。その場所に奇跡を記念した、その名も「パンと魚の奇跡の教会:Multiplication of the Loaves and the Fishes」なる教会があり、そこに2匹の魚のモザイクが残っている。写真がそれであるが、双魚文である。写真はGoogle Earth掲載の写真を流用させていただいた。

「う~ん、予想外のステンドグラスであった。」魚は東西問わず吉祥を示す文様のようである。

何気ないものを目にし、調べてみると想像もつかないことを知る喜びが在る。旅は止められない。

<了>