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天日槍伝承の安羅(やすら)神社

2021-04-16 07:52:58 | 近江国

天日槍(あめのひぼこ)を祀る安羅神社は草津市穴村に在る。天日槍は、宇治川を遡上して近江に入り、「吾名邑・あなのむら」に一時滞在したと『日本書紀』に記されている。

吾名邑は、滋賀県坂田郡阿那郷、同県蒲生郡苗村神社と共に、ここ草津市穴村は、この吾名邑の候補地である。安羅神社の社殿の右手には「天日槍命暫住之聖蹟」なる石柱がたっている。

安羅神社の安羅を現在はヤスラと呼んでいるが、朝鮮半島南部の伽耶国の一つが安羅(あら)国であり、吾名邑の地名はそこからきていると云うが、この種の語呂合わせはどうであろうか。

この安羅神社の由緒は不明で、神社の創祀年代がハッキリしないが、式内社印岐志呂(いきしろ)神社の境外社であると云う。従って古社の可能性はあるものの良く分からない。

金達寿氏によると、天日槍の系譜は、息長帯比賣(おきながたらしひめ)、すなわち神功皇后に至る。息長氏は琵琶湖の東岸、和邇氏は西岸に勢力を張っていた。この二つの豪族は渡来人から出たものだと云われている。そして次のようにも云われている。「近江王朝は天日槍を象徴とする新羅・伽耶系渡来人集団=天日槍集団によってつくられた」と。これらの発言にコメントする知識は持ち合わせていないが、近江は天日槍に関する伝承が多いことは確かである。

<了>