『長岡京市埋蔵文化財センター・シリーズ』を中断して紹介する。過日、島根県立図書館で【民族・民俗】に関する図書を検索していると、『雲南タイ族の世界・古島琴子著』なる書籍の背表紙が眼に飛び込んできた。冒頭、いきなり確信を突くような記述で、ついついはまり込み借用して読書中である。
その冒頭に、タイとは犂(からすき)を意味し、タイ族の祖先は最初に犂を使って土地を耕した人々という伝承があり、もっとも早く水稲耕作を始めた民族である・・・と、記されている。
著書の前半部分には、”攀枝花”(バンジイホア)の咲く処として、雲南省や東南アジア、インドに至るまで生息しており、古代や中世に花の実からとれる綿を衣服に用いたと記されている。
”攀枝花”(バンジイホア)とは、タイ語でดอกงิ้ว(ドーク・ギウ)と呼び、日本では”木綿(キワタ)の木”と呼び、パンヤ科キワタ属の落葉高木で、チェンマイでも郊外で見かけるそうだが、見た経験があるのかないのか?
この高木は中国南部から西南部に多く、雲南では攀枝花と呼ぶそうだ。早春、若葉の出る前に枝一面に赤い大輪の花が咲き、花のあとに瓜のような形の実がなり、美のなかの繊維を紡いで織った布を雲南では桐華布(とうかふ)と呼ぶようである。
(出典:Wikipedia)
(出典:Wikipedia)
その布は、吸湿性が少なく、肌にまとわりつかないため高温多湿の衣服にむいており、綿花の栽培が普及するまでつかわれてきたという。この桐華布を織ったのは”滇西越人(てんせいえつじん)”すなわち雲南西部のタイ族の祖先や、濮人(ぼくじん)すなわち佤族(ワぞく)や徳昂族(ドアンぞく)の祖先の女性たちであったことが唐代の史書『蛮書』に記されている。
このดอกงิ้วであるが、どうも食材のようだ。そういえばワロロッ(ト)で過去に乾燥した花の雄蕊を見た記憶が蘇ってきた。当時は何なのか、当該図書を読むまで知らなかったが、タイ・ヤイ(シャン)族が好む食材のようで、ナム・ニァオ(มํ้าเงี้ยว))はタイヤ・ヤイの定番料理のようである。味は未食のため知らない。
・・・といことで、当該書籍は面白い、ワンダーランドの世界である。折に触れて主要点を紹介したいと考えている。
<了>