<続き>
写真は杜文著「耀州窯瓷」掲載の、金時代の双魚文陶範である。尻鰭は孤を描き、口は開いている。背鰭2箇所、腹鰭2箇所で先の龍泉窯の貼花文と比較し、鰭の箇所別個数は異なっている。この陶範は凹版で、その特徴は成形すると、浮き上がった文様になる点にある。そこで、中継点であろう安南の印花双魚文であるが、先述のように詳細不詳で、これについて考察できないのは残念である。
いよいよ北タイの双魚印花文である。北タイではサンカンペーン、パヤオ、ナーンで認めることができる。なかでも形状がバラエティー豊かな、パヤオについて検証してみたい。
上の写真は『陶磁器・パヤオ』掲載の印花文様である。次にしめすのは・・・、
K氏のコレクションで、双方ともに凹版であり、それは浮き上がっている。この二つは似ているが、尾鰭の形状に若干の違いがある。決定的な違いは、鱗の形状で一方は三日月、一方は丸形である。先にも記した通り、パヤオの魚文形状のバラエティーは豊富であるが、それらを羅列すると冗長になるので、後程一覧表にして表示することとして、サンカンペーンの事例を一例紹介する。
町田市立博物館の褐釉印花双魚文盤で、魚文形状が比較的明確に見取れる。この形状がサンカンペーンの最大特徴で、それは尾鰭の表現の仕方にある。また背鰭は1箇所、腹鰭は2箇所で、形状が三角帆の形もサンカンペーンの特徴である。
ナーンは前期陶磁と後期陶磁が存在する。比較対象は時代的に、前期陶磁であるので、その文様例を掲示する。
背鰭1箇所、腹鰭1箇所はナーンの特徴で、尾鰭がハサミのように直線状に開く特徴もある。
以上、パヤオ、サンカンペーン、ナーンの陽刻と陰刻の印花魚文の特徴を紹介してきた。このように中国、北タイの魚文様を見てきても、羅列では比較しにくい、そこでこれらを一覧表にした。次回はそれを紹介したい。
<続く>
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