<続き>
前回までのように中国、北タイの魚文様を見てきても、羅列では比較しにくい、そこでこれらを一覧表にした。御覧願いたい。
各位、形状比較で、どのように感じられたであろうか? 北タイでの印花双魚文の初出はパヤオと考えているが、そのパヤオの魚文を見ると、魚文の印象や尻鰭の形状に、やはり龍泉の影響を見ることができる。魚体が背側に反りあがる様は、耀州窯のそれに、腹側が凹み背側に盛り上がる様は、同安窯のそれに似ている。ナーンとサンカンペーンは、パヤオの文様から派生したであろうと考えられる。ここでこれらの窯間の比較要素を抜粋して、一覧表にすると以下となる。
パヤオは鰭の個所別個数では、龍泉の影響を受けたであろう。また印花凹版は耀州の影響が考えられる。サンカンペーンとナーンはこれら中国諸窯というより、パヤオの文様から派生したと考えている。以上、長々と記述したが、北タイの双魚文様は、巷間云われている龍泉の影響のみではなく、耀州や同安等々の間断なき情報や、現物を参考に生み出され、パヤオにて本家を凌ぐバラエティー豊かな文様が生み出されたと考えられる。
以下、付録の余談で信憑性については、現段階では裏がとれておらず、まさにお噺の段階である。掲げた盤は、2015年10月3日のバンコク・リバーシティ・オークションハウス(旧名:リバーサイド・オークションハウス)に出品された『スコータイ(16世紀)青磁双魚文盤(出品番号LOT007)』である。
事実とすれば、オリーブグリーンと云うより、褐色に近い発色の青磁が、スコータイ窯に存在することも驚きだが、貼花か凹版の印花かは別として、写真のような双魚文が存在することが、大きな驚きである。スコータイのスペシャリスト・K氏にお会いする度に質問しようと思っているが、お会いする度に尋ねるのを失念している。一方、リバーシティー・オークションハウスは、出品前に審査しており、怪しいものはハネられている。そう考えれば信憑性はあると思うが・・・いまだ?である。事実とすれば、モン(MON)族の介在以外何物でもないとの印象を受ける。当件に関してはお噺の段階であり、今後継続して調べる所存である。
<了>
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