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ミャンマー錫鉛釉緑彩陶の真贋・(1)

2019-11-29 08:50:40 | 東南アジア陶磁

最近Net-Auctionを眺めていると、相も変わらずミャンマー錫鉛釉緑彩陶の倣作(コピー)が出品されている。被害に遭わないようにとの思いで記しているが、やや上から目線の物言いで恐縮である。出品名に『ミャンマー白釉緑彩陶〇〇〇盤 15-16世紀』と記されている。この15-16世紀の文言がなければ、コピーであったとしても倣作(贋作)には当たらない。時代が明記されていることにより贋作となり、詐称であるが、詐称の押し売りではなく、入札者の自由意思で入札する・・・ということから、例え贋作と気が付いても、結局は泣き寝入りとなる。入札者が賢くなる以外に方法はない。

前置が長くなったが、先ず本歌(本物)から紹介する。

(タイ北部ランプーン国立博物館蔵品)

(バンコク・ランシット BKK大学東南アジア陶磁館蔵品)

(バンコク・ランシット BKK大学東南アジア陶磁館蔵品)

紙数の関係もあるので本物の紹介は、この程度にしておくが、錫鉛釉は白釉とも云われている。しかし純白ではなく、クリーム色のように白濁していることを、先ず頭に叩き込んで頂きたい。これらの本物の約束事(特徴)を以下箇条書きにしておく。

1)盤は轆轤をひき、器形を整えてから静止して、切り離しの糸切は、手前に水平にひいている。そして高台を付け、或る程度乾燥した段階で、轆轤を回し高台に沿って削り整形している。つまり高台内(底)の中央部は静止糸切痕を見、高台は付高台である

2)盤の多くは27cmから31cmの外径で、直径20cm程の大きな付高台である。その高台内とおいうか底は、丸い筒状の焼台に載せて焼成されており、その焼成痕を残しているのが一般的である

3)釉薬の垂流れ防止目的と思われる細工が、高台の外側面に施されている。それは筍の皮を剥いたような輪が削り込まれ、それが段状になっている(溝が削り込まれてはいない)

4)胎土はやや粗く、明るいオレンジ色、赤茶色、それに深い紅色のようにみえるが一定していない

5)生地は素焼きをしているのか、生掛けなのか、あるいは双方存在するのか、明らかになっていない

6)釉薬は失透性で純白ではなく、クリーム色がかっており、その釉薬は厚くかかっている

7)釉薬は高台の畳付きも覆っており、高台内(底)にも釉が刷毛塗されているのが散見される

8)絵付けは釉上彩で、錫鉛釉に銅の緑彩が溶けたものである。釉掛け後の銅絵具の筆彩は、絵具の釉薬への吸収が速く、絵具に伸びがないとされ、筒描きであったろうとの説が定説化している。つまり描線に筆描きのような幅を持たない

9)銅絵具は還元焼成で緑色に発色する。従って窯の気密性を要する。また温度が上がりすぎると、銅は炎とともに消えてしまう。よって焼成温度は1000-1100度程と思われ、盤を指で弾いても磁器のような共鳴音はなくニブイ

以上である。最近のネット・オークション出品作は次回とする。

 

 

 

 

 


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