最近見たオークション出品の東南アジア古陶磁から、カロン窯の鉄絵盤2点を紹介する。いずれも本歌(本物)である。落札価格が幾らであったかまでは確認していない。
典型的なカロンの鉄絵文様で碗と記されている。法螺貝はヒンズー神であるビシュヌの持ち物で、法螺を吹くというのは悪魔を治める意味と、ヒンズー教や仏教の法話をするという意味である。北タイの古代は中国文化のみならず、西方インド文化の影響も受けていた。その関係で法螺貝の文様はそれなりにポピュラーである。
釉薬がややカセているように見えるが、写真の程度では問題なかろう。1万円程度の落札であれば、買い物である。
器面全体に渡る絵付けは、繁辱以外のなにものでもないが、この繁辱な絵付けこそカロンの最大特徴である。この唐草文もカロンでは好んで用いられた。
轆轤の回転方向、やや白い胎土で砂噛みし、キメが粗いのもカロンの特徴である。器面にところどころみる釉薬の剥離が、やや残念である。これも本物で、箱もしつらえられ大切にされていたであろう。偽物でないのが清々しい。
<了>
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