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漢書地理志は紀元前1世紀頃の倭国について、班固が記述した歴史書である。「樂浪海中有倭人,分為百餘國,以歲時來獻見云。」・・・楽浪海中(らくろうかいちゅう)に倭人あり、分かれて百余国(ひゃくよこく)となる。歳時を以て来たり献見(けんけん)すと云う。
立岩遺跡は、その百余国の一つである。そこからは10面の前漢式青銅鏡が出土した。今回は、その青銅鏡を紹介する。
重要文化財・連弧文「日有喜」銘鏡(1号鏡)・前漢 15.6cm 10号甕棺
重要文化財・重圏「精白」銘鏡(2号鏡)・前漢 17.8cm 10号甕棺
重要文化財・重圏「清白」銘鏡(3号鏡)・前漢 15.4cm 10号甕棺
重要文化財・連弧文「日有喜」銘鏡(4号鏡)・前漢 18.2cm 10号甕棺
重要文化財・連弧文「清白」銘鏡(5号鏡)・前漢 18.0cm 10号甕棺
重要文化財・重圏「姚皎・ようこう」銘鏡(6号鏡)・前漢 15.9cm 10号甕棺
重要文化財・重圏「昭明」銘鏡(7号鏡)・前漢 15.9cm 28号甕棺
重要文化財・連弧文「清白」銘鏡(8号鏡)・前漢 18.1cm 35号甕棺
重要文化財・連弧文「日光」銘鏡(9号鏡)・前漢 4.9cm 34号甕棺
重要文化財・重圏「久不相見」銘鏡(10号鏡)・前漢 7.2cm 39号甕棺
御覧頂いて分かるように、10号甕棺から6面の青銅鏡が出土している。立岩遺跡の首長墓と考えられ、被葬者は漢書地理志にみる百余国の首長の一人であったであろう。
卑弥呼の時代、漢字を解する通事(通訳)や一部貴人が存在していたと考えるが、前漢の時代の倭国にも漢字を解する人が存在していたであろうと考えている。青銅鏡に刻まれた字句は、理解されていたと考えたい。
<続く>
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