こだま教室に来て、間もなく3か月が経過しようとしています。これまでに80組近い親子に巡り会ってきましたが、ここでも新たに4組の親子に出会うことが出来ました。まだ私が若かった頃は、子育ての先輩としてのお母さん方との会話を、私の方が参考にさせていただいていましたが、最近、ようやく同じ世代か、もしくは私の方が先輩の親だったりするようになってきました。子育ての話も、偉そうに先輩として話すこともしばしば。
そんな中、ふと、最近生意気な反抗期にさしかかっている長男(中学2年)との関わり方を思い返しておりました。
私は最初の転勤で通級指導教室の担当に配置されたのですが、丁度転勤の1週間前に結婚し、1年後に生まれたのが長男でした。初めての子どもでしたから、思い入れも一入で、生まれて1週間の間は、仕事を6時頃に終えると毎日病院へ直行したものです。毎日欠かさず観察して、遊びにも連れ出していましたから、当然、いつから喃語を話し始めたかとか、言葉になり始めたのはいつかとか、言葉の獲得に至るまでの初めの一歩を見守り続けてきました。言語障害の通級担当になった私にとっては、息子の成長がそのまま教科書だったのです。
当時私は日産スカイラインに乗っており、長男はスカイラインが大好きでした。保育園で「今日は父(我が家では私のことをこう呼ぶ)のスカイラインでお迎えだよ!」と担任の先生に自慢するのですが、2歳児には【s】【r】音が上手に言えません。彼はずっと「しゅかいまう」と呼んでいました。きちんと言えるようになったのは、教則本通り、4歳過ぎでした。正しく言えるようになるまで何をしたかというと、実は何もしていません。でも、ひたすら「スカイライン」に乗せて遠くへ遊びに出掛けました。そうすることで彼は月曜日に保育園でお話しするのです。「しぇんしぇい(先生)、あのね、昨日ね、父の“しゅかいまう”でお出かけしたんだよ!」すると担任の先生は笑顔いっぱいで「よかったね!!スカイラインでお出かけしたんだね!どこへ行ってきたのかな?」というように、会話が続いていきます。息子にとって「お出かけ先がどこ」ということよりも大好きな「しゅかいまう」でお出かけしたことの方が大事なのです。連れて行った側としては「出掛けた場所」のことをお話ししてほしかったのですが・・・。こんなやりとりを繰り返して息子は言葉を覚えていきました。担任の先生が息子のお話に対して常に「感動を共有」してくださったことが、彼を「会話好き」な子どもに育てました。私は大学生の時、専門的に学んできたのは「幼児教育」でした。幼稚園教諭になりたかったのですが、当時男性は採用しないと募集要項に書かれていたため、小学校の特殊学級(当時)に希望を出して現在に至ります。息子の担任の先生は私のひとつ上の年齢。彼女の息子との関わり方が、大学の時に教わっていたことであったにもかかわらず、実践したことがなかった私にとって、子育ての参考になりました。
言葉や発音を覚えていく過程で大切なのは、子どもが現在何に興味を持ち、どんなことを覚えたのかを、周りの大人が、特に母親や担任教師が知ることです。これを大人がつかんでおけば、興味のある事柄を次々と調べさせたり体験させたりすることが出来ます。子どもは親、特にお母さんとのスキンシップを喜ぶものです。母性が重要な要素なのです。そしてその大切な人と感動を共有することが、言葉を覚える一番の早道です。「お花がきれいだね!」「そうね、真っ赤なバラの花がとってもきれいでいいにおいがするね。」この二つのやりとりだけで、子どもは目の前にある花が「バラ」という名前があること、その色が「真っ赤」であること、バラの花にすてきな「におい」があることを同時に学びます。しかも、その言葉を交わしたお母さんが、それを見ながら微笑んでいれば(お母さんはこのバラの花が好きなんだ!嬉しそうな顔をしている!)という感情面まで育てることが出来るのです。三項関係といって、「自分」「他者(ここではお母さん)」「対象物(ここではバラの花)」が結びつくことで、子どもはいろいろな言葉や感情を身につけていきます。
日常生活の中で些細なことも、子どもの言葉と心の獲得には大きな要素が含まれているのです。親子の関わり方がいかに大切かを振り返りながら、我が子の反抗期に悩む父です。皆様のご家庭ではいかがでしょうか?
そんな中、ふと、最近生意気な反抗期にさしかかっている長男(中学2年)との関わり方を思い返しておりました。
私は最初の転勤で通級指導教室の担当に配置されたのですが、丁度転勤の1週間前に結婚し、1年後に生まれたのが長男でした。初めての子どもでしたから、思い入れも一入で、生まれて1週間の間は、仕事を6時頃に終えると毎日病院へ直行したものです。毎日欠かさず観察して、遊びにも連れ出していましたから、当然、いつから喃語を話し始めたかとか、言葉になり始めたのはいつかとか、言葉の獲得に至るまでの初めの一歩を見守り続けてきました。言語障害の通級担当になった私にとっては、息子の成長がそのまま教科書だったのです。
当時私は日産スカイラインに乗っており、長男はスカイラインが大好きでした。保育園で「今日は父(我が家では私のことをこう呼ぶ)のスカイラインでお迎えだよ!」と担任の先生に自慢するのですが、2歳児には【s】【r】音が上手に言えません。彼はずっと「しゅかいまう」と呼んでいました。きちんと言えるようになったのは、教則本通り、4歳過ぎでした。正しく言えるようになるまで何をしたかというと、実は何もしていません。でも、ひたすら「スカイライン」に乗せて遠くへ遊びに出掛けました。そうすることで彼は月曜日に保育園でお話しするのです。「しぇんしぇい(先生)、あのね、昨日ね、父の“しゅかいまう”でお出かけしたんだよ!」すると担任の先生は笑顔いっぱいで「よかったね!!スカイラインでお出かけしたんだね!どこへ行ってきたのかな?」というように、会話が続いていきます。息子にとって「お出かけ先がどこ」ということよりも大好きな「しゅかいまう」でお出かけしたことの方が大事なのです。連れて行った側としては「出掛けた場所」のことをお話ししてほしかったのですが・・・。こんなやりとりを繰り返して息子は言葉を覚えていきました。担任の先生が息子のお話に対して常に「感動を共有」してくださったことが、彼を「会話好き」な子どもに育てました。私は大学生の時、専門的に学んできたのは「幼児教育」でした。幼稚園教諭になりたかったのですが、当時男性は採用しないと募集要項に書かれていたため、小学校の特殊学級(当時)に希望を出して現在に至ります。息子の担任の先生は私のひとつ上の年齢。彼女の息子との関わり方が、大学の時に教わっていたことであったにもかかわらず、実践したことがなかった私にとって、子育ての参考になりました。
言葉や発音を覚えていく過程で大切なのは、子どもが現在何に興味を持ち、どんなことを覚えたのかを、周りの大人が、特に母親や担任教師が知ることです。これを大人がつかんでおけば、興味のある事柄を次々と調べさせたり体験させたりすることが出来ます。子どもは親、特にお母さんとのスキンシップを喜ぶものです。母性が重要な要素なのです。そしてその大切な人と感動を共有することが、言葉を覚える一番の早道です。「お花がきれいだね!」「そうね、真っ赤なバラの花がとってもきれいでいいにおいがするね。」この二つのやりとりだけで、子どもは目の前にある花が「バラ」という名前があること、その色が「真っ赤」であること、バラの花にすてきな「におい」があることを同時に学びます。しかも、その言葉を交わしたお母さんが、それを見ながら微笑んでいれば(お母さんはこのバラの花が好きなんだ!嬉しそうな顔をしている!)という感情面まで育てることが出来るのです。三項関係といって、「自分」「他者(ここではお母さん)」「対象物(ここではバラの花)」が結びつくことで、子どもはいろいろな言葉や感情を身につけていきます。
日常生活の中で些細なことも、子どもの言葉と心の獲得には大きな要素が含まれているのです。親子の関わり方がいかに大切かを振り返りながら、我が子の反抗期に悩む父です。皆様のご家庭ではいかがでしょうか?