歌う介護士

看取りをしたご入居者から「あなたの声は癒される」と。お一人一人を思い浮かべながら、ずっと歌い続けています。

誉めて育てる

2009-08-15 00:49:05 | Weblog
子育てに限りませんね!
育ってしまっている大人にだって立派に使える。
私、誉めるのは上手じゃないし、
下手に誉められるのもよい気持ちはしません。
が、
仕事となれば別。

認知症の人に対して「誉める」は効果がある。
自分が出来なくなっていく、
忘れてしまう・・・、
なんとなく自分がおかしくなっているのは判るんです。

脳活性化させるというテストなどがありますが、
私は、お勧めしないですね。
あれは、ごく軽度の老年性の方に当てはまる。
出来ない自分を見つけてしまう辛さは、アルツハイマー型の人には酷。
もしトライするのなら、その人の得意分野で、簡単にクリアできるレベルまでの問題を選ぶこと。
「ほ~ら、出来た!あたしもまだ出来るじゃない!」
そういう満足感を満たせるからよい気持ちになれる。

めったにしない失禁をしてしまった、
「馬鹿だねえ、失敗しちゃったよ。」と、汚れ物をすすいでいる。
「手伝いましょう」さりげなく汚れ物を片付けるる配慮が必要。
決して大騒ぎはしないこと。
誰でもしている、フツーのこと。
「困った時はお互い様、いつでも言ってね」
「汚れ物、洗ってくれてありがとう。助かるわ」

自分を傷つけないスタッフのことは覚えていられます。
何がどうしてかは忘れても、心地良い感情は残るから。

「すみませんが、この計算を手伝っていただけますか?」
徘徊で落ち着かない人に頼んでみる。
少しでも腰かけて休ませたい。
もちろん、計算が得意な人に!
算数ドリル1ページ分、「ワオ!早いですねえ、さすがですねえ!」
「一息ついてお茶でも飲みましょう。」

自宅では全くしなかった洗い物などを、見つけると全て片付けてしまう人もいる。
中には、洗ってほしくなかった(とりおいた)のもあるが・・・(笑い)
「いつもありがとう!助かるワア!」
これだけのことで毎日、毎回、片付けてくれる。


ご入居者に対しては、なんでも感謝し、誉められる私だが、
スタッフに対しては・・・なかなか、ネ。
そううまく誉めて育てられるわけじゃないんです。


真夜中まで蝉時雨

2009-08-13 13:03:08 | Weblog
自然がたくさん残っているからですが、深夜でも蝉がなく。
今年は天候不順で、蝉の抜け殻を見つけたのは7月の終わりでした。

居室から出てこない入居者に見せに行く。
え?ウツではないんですが、90歳過ぎまでひっそりと暮らしてきたせいだと思う・・・。
「なにっ!」と、ビックリ!
「蝉よ、蝉の抜け殻。ほら、からからでしょう。」
「うごかないんだね!」(当たり前(笑い))
「はじめて見たよ!」

都会育ちのお婆さんは、蝉の羽化なんて知らないんだア!
これには私の方がオドロキ!
「かわいいね!」と、言ってくれ居室に置く。

耳鳴りと混乱(笑)しそうなほどの蝉時雨。
2年前の夏、ご入居者を迎えに出かけたとき、私の胸に蝉が張り付いて啼き出したっけ!
私は、なんの木?
二度とない経験。


入居して1年近くになる方が、退去すると聞いた。
何が不足でもなく、和やかな表情で暮らしているのだが、
毎月の支払いが負担だと家族からの申し出。
それは・・・、どうしようもない・
入居前に支払い面は調査しているはずなのだが、
急いで施設を探す時があるので、家族の本音を聴き取り出来がたいことがあるのだ。
この方もそうだった。
自宅では介護できないだろう。
次が決まったのか?今日当たり話をしているはずだ。
キュウキョデモよいように、情報提供資料は作成しておいてきたが・・・。

9日の夜の震度4で、私にしがみついてきた方である。
こわがりさんだ。
慣れるまで時間がかかる方でもある。


有料老人ホームは営利企業。
元の社長は個人企業的だったので、不動産を担保に、などしていたらしいが、経営が変わった現在では、ありえない。

入居金は、2000万は切るが、安くはない。
月々は、保険関係も入れると、35万を下らない。(最低で)
私が毎日深夜まで残業しても追いつかない金額である。
(ソンナコトしてたら過労死する)(笑)

エエ、施設ケアマネの給料なんてそんなものです。
一般介護スタッフは、もちろん私より安い。
介護保険は介護人材確保の目的(?)で3%上げられたが、
潤ったのは在宅だと思う。
施設は、経営が潤沢でないと、スタッフまで回ってこない。
退職金のない会社もけっこうあるんですよ!
以前も今も、退職金はない。
自分で積み立てるしかないんです。
その点が行き届いているのは、社会福祉法人だと思いますね。

今、うちの会社は退職金制度を考慮中だそうです。
今年の昇給は無かったし、期待はしていない。

こういう現実はご家族もご入居者もご存じない。
「これだけ支払っているんだから、あなた方もたくさん貰うでしょう?」
そう言われることが多い。

そういう現実からすれば、スタッフは頑張っているんですよ!
ホント!

地震、台風、そのつぎは?

2009-08-11 23:52:22 | Weblog
ゆれて、目が覚めた。
「お、揺れてる揺れてる」
横になったままいたが、出勤の足が気になり起きてしまった。
おかげで、パンと飲み物を摂る時間が出来た。(いつもは出社してから何かを飲むかカジル)

このところのにわか雨続き、幸い一度も当たらず、お仕事中。
今朝も雨は上がっていた。
よほど行いがよいのかな?(笑)

9日の夜のほうが揺れは長かった。
大雨に大揺れでは、地盤がもたない。
自然が怒ると怖ろしい。
人間の小ささを感じてしまう。


誤嚥で入退院を繰り返している入居者が、あっさりと「胃ろう」造設を承諾した。
美味しいものを食べることに執着していた方なので、驚いた。
体力がなくなり、何する気もなくなっていた。
直近の入院で、「施設が我が家になった」と、初めて洩らしておられた。
「帰ったって誰もいない、1人じゃどうしようもないものな」
うちの若い子達を指導してやろう!と、意欲満々で語っておられた。
意欲が出てきたら、体力がないことに気がつかれたのだろう。
目標を1年先まで決めて面談することにした。
「決めたんですね!これで体力がつきますよ!私がお姫様抱っこできるくらいなんですもの。」といったら苦笑しておられた。

あまりにあっさり返事が来て、私たちも驚いたが、
家族は衝撃だったようだ。
気が抜けたような表情だった。

「好きなものを持ってきて食べる楽しみもなくなりました。」
「どこかへ食事に行くこともないですね。」

不顕制の誤嚥なので始末が悪かったので、
胃ろうと経口の併用はなかなか許されないだろう。


胃ろうは経口と併用できるし、経口からキチンと食べられれば塞ぐことも出来る。
そのように医師も説明する。
食べられなくなってきたり食が細くなった人、誤嚥性肺炎を繰り返す人に勧める。
一度、胃ろうにしてしまうと、
経口から普通に食べることは少なくなる。
これまでお会いした人の中で、一日3食のうち、1食(それも軽く)を経口から摂っている方が1人だけおられた。
消化器も筋肉なので、筋肉は使わないと瞬く間に衰える。
再び鍛えるのはかなり困難だ。
せいぜい、氷かアイスクリーム、ゼリー。

ある方の後悔の言葉。
「姉が亡くなってから整理をしていたら、メモ帳がでてきたの。
漬物が食べたい、たくあんが食べたい・・・、って書いてあったの」
お姉さんは胃ろうにしたのだという。
「胃ろうを造らなくちゃ、あと半年も持たないっていわれるとねえ・・・。
胃ろうなんかにしなきゃよかった!と、今でも後悔してるわ。」
ご仏前には沢庵漬けがよく供えてある。

認知症高齢者の症状は事例にない

2009-08-10 00:20:52 | Weblog
状態が、どうも確定しにくくなった方の病院搬送をすることにしたが、受け入れ病院が日曜ということもあり(?)、16時半までに来てくれれば診療するという。

熱もあり、意識も混濁しているのでストレッチャー搬送が望ましい。
うちの施設には、ストレッチャーもそれを乗せる車もない。
救急手配をした。
なんと!救急車の「待ち」が10件もあるという!!!

日曜日だからか・・・?

とても間に合わない。
患者に我慢していただくことになるが、標準車椅子で搬送することにした。

(座位が保てるかいな?)
不安だったが、平行移動で車椅子へ。
(平行移動:2人で上半身と下半身を持ち上げる移動方法、普通の移乗介助が出来ない場合に行う)

頭が反り返るが、何とか座っていられる。
長時間は無理だろう。
指定された時間までに着くことが出来たようだ。
(さすがに今日は付き添いは別のスタッフ)

昨日は退院、今日は入院。
気の休まる日がない。

今日の方、水曜あたりから調子が悪くなった。
腰から大腿部が痛い、と足を引きずっている。
整形的には圧迫骨折が見つかっただけ。それは以前のもの。
高齢者の腰痛持ちにはよくある。
翌日に熱が出だし、看護師判断で頚部骨折を疑いベッド上安静になる。
食事などもベッドで行うことになる。
昨日から、状態が低下。傾眠。食欲はある。
排便が3日とどこうっていたため、下剤もかける。
排泄介助の時、大腿部の痛みはない。
腰を持ち上げても痛がらない。
(骨折ではない。せん妄がおきてる、意識レベルが低下してるよ。)
今日の午後から、そのフロアの担当に入る。
水分を勧めて飲ませてみるが、飲み方がおかしい。えづくような感じ。
食事も摂取が減っているという。
息ざしが、この方の様子ではない。
看護師がちょうど来たので、様子を伝えて「食止めしたほうがいいと思う」

看護師2人と一緒に検討。
片側不全が軽度だがある。
片側の肺雑が軽度聞かれる。
意識レベルが普通ではない。

主治医に連絡し、病院受診することになったのだ。

CT検査、X線、血液検査をするが原因が判らず。
梗塞も新しいものはなく、胸部X線も問題なし。
ただ、炎症反応が高い。
血糖値も少し高め。
残っていた血液で、再度検査をしたところ、胆のう炎ではないかという診断がでた。

吐き気なし、黄疸なし、痛みは大腿部だったが、右だった。
胆のう炎からの痛みだったのか!

高齢で認知症の人は診断が出来にくい。
痛みも全然別のところが痛かったりする。
つくづく明日に延ばさなくてよかった。

これからもあること。再度自分の頭に書きこんでおかないといけない。
【症例は、当てはまらない!】

研修でバテ、現実はもっと重い

2009-08-06 20:39:06 | Weblog
湿度、室内で71%。エアコン?入れてますが、まだ帰宅して1時間なので・・・。

今日は研修で武蔵境まで。
ある大学の構内だったが、まるで高校時代の懐かしい建物。
床も階段も、たくさんの学生たちに踏まれて磨り減ってました。
古いだけあって、エアコンが効かない!
160人の研修メンバーと講師も汗だく。
あと3回、この教室なんだけど、ばてそう。

窓の作り、机と椅子。
おまけに、黒板!
黒板ですよ!いまどき、こんなの残ってるんだア!
一段高い教壇に教卓。
まるでタイムスリップしたようだ。
映画のロケに使える。
いったいいつごろの建物なんだろう?

今期の研修は、大学の構内が多い。
学生は少ないが、構内に入ると、その学校のかもし出す雰囲気がある。


来月あたりから、やっとケアマネ専任で仕事ができそう。
このところの入院対応など、
見直しの検討を明日業務終了後に行わなくてはならない。
看護・介護を含めて、改めて迅速な判断を要求される。
ご入居者の要望や苦情など、ご家族の聞き取りなども私の仕事になるだろう。
同じことの繰り返しにならないようにしたい。

往診医のお一人が私に、
「ここは家なんだから、主治医の指示待ちじゃなく自分たちで判断するべきなんじゃないの。なんでも指示を待ってるというのは、チョット違うと思うよ。」
そのドクターは、夜中・明け方でも電話に出てくださっている。
ターミナル時の立会いも施設内で看取った方の全て、ご自分の患者以外でも、時間に関わらず来て頂いた。
状態変化が、異常と感じたら緊急搬送してはどうか、ということだと私は受け取った。
家族だったら、そうするだろう。
私たちは、家族の代わりになる立場にいるが、家族ではない。

ターミナルを施設で行うか、病院へ搬送するかは家族が決めること。
今までは状態変化が危ぶまれてから同意書を取っていた。

どのあたりで判断するか?
介護職に与えられた課題としては、難しく、重い。