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ウィーン・フィル恒例 夏のコンサートへの思い

2021-08-02 13:25:26 | 報道/ニュース

2021年6月24日 NHKBS1「国際報道2021」


オーストリアでは
新型コロナウィルスの感染状況の改善で
5月中旬に制限が緩和された。
音楽の都ウィーンで毎年開かれる夏の野外コンサートにも観客が戻ってきた。

名門ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団。
♪「ウエスト・サイド・ストーリー」~マンボ レナード・バーンスタイン
夏の野外コンサートはウィーンの人たちが楽しみにしているクラシックの一大イベントである。
今年のテーマは“遠くへ行きたい”。
コロナ禍で味わうことが難しい旅行気分を音楽で感じてもらおうと
異国情緒あふれる曲が選ばれた。
コンサートが毎年開かれているのがウィーンの観光名所で世界遺産のシェーンブルン宮殿である。
制限の緩和で再開さた宮殿内の人気のカフェにも賑わいが戻ってきた。
(シェーンブルン宮殿 カフェの支配人)
「再開できてとにかくうれしい。」
(客)
「家族や友人たちと食事が楽しめるのはうれしい。
 少しずつ普通の生活に戻ってきました。」
♪「愛のあいさつ」 エドワード・エルガー
例年10万人が集まり行われてきたコンサートだが
今年の観客は3,000人に抑えられた。
感染対策にも万全を期している。
感染対策として
ワクチンを接種するか
ウィルス検査の陰性証明が必要となっている。
コンサートにはクルツ首相らのほか医療関係者などが招待された。
ウィーンで看護師として働くシュロッケンフックスさん。
仕事でコロナと向き合う日々が続くなか
つかの間の休息として今回の演奏を楽しみにしていた。
(看護師 シュロッケンフックスさん)
「久しぶりに音楽とともに過ごす美しい夜のひとときです。」
楽団長でバイオリニストの フロシャウアー氏。
去年は一般の観客を入れずに開催せざるを得なかったコンサートも
今年こそは多くの人に生の演奏を届けたいと願ってきた。
(ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 楽団長 フロシャウアー氏)
「新年のコンサートでは観客なしで演奏しなければならず
 個人的に大きなストレスになりました。
 音楽の神髄は人間の魂なのです。」
コンサートはいよいよ佳境に。
♪ 組曲「惑星」~木星 グスタフ・ホルスト
アンコールを受け演奏されたのは
♪ 「ウィーン気質」 ヨハン・シュトラウス2世
ウィーンの貴族たちを題材にした優雅なワルツ。
“どんな時も人生を楽しむことを忘れないで”という思いが込められる。
観客は音楽を生で聴く喜びをかみしめていた。
(観客)
「最高だった。
 構成も素晴らしかったよ。」
(看護師 シュロッケンフックスさん)
「ワルツに心を揺さぶられました。
 あれほど美しい演奏を聴いたのは初めて。
 元気が湧いてきた気がします。」
(ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 楽団長 フロシャウアー氏)
「観客の数も増えてくるでしょう。
 正常化に向け観客が戻ることを心から願っています。
 日本に行ける日が待ち遠しいです。」

 

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ニューヨーク ジャズの熱気再び

2021-07-24 17:09:43 | 報道/ニュース

2021年6月21日 NHKBS1「国際報道2021」


6月9日 アメリカ ニューヨークで行われた野外コンサート。
ニューヨーク・フィルハーモニーの演奏に2千人を超える聴衆が詰めかけた。
いまニューヨークではワクチン接種が進んだことなどから
こうしたエンターテインメント産業が本格化している。

6月15日
1年3か月ぶりに営業再開したブルーノート・ニューヨーク。
1981年のオープン以来
名だたるアーティストの演奏を間近で楽しめる場として
世界中の音楽ファンを魅了してきた名門ジャズクラブである。
(客)
「再開を1年以上待ち望んできたの。
 最高に興奮してるわ。」
「ニューヨークの“伝説のクラブ”が再開してうれしい。」
初日のステージを飾るのはピアニストのロバート・グラスパーさん(43)。
これまでに4度グラミー賞を受賞するなど
今もジャズシーンをけん引するアーティストの1人である。
この1年 観客の前での演奏はほとんど行えず
ファンとの再会を心待ちにしてきた。
(グラスパーさん)
「ライブ配信は観客がいないから部屋で練習しているみたいに感じるんだ。
 自分が観客をどれだけ必要としているか分かったよ。」
グラスパーさんに初日のステージを託したのは
「ブルーノート・ニューヨーク」経営者 スティーブン・ベンスーザンさんである。
(ベンスーザンさん)
「グラスパーとは長いこと一緒にやってきたけれど
 彼は特に観客との交流を好むタイプなんです。」
ベンスーザンさんが父親とともに経営に携わるようになったのは26年前。
すでに評価の定まった巨匠だけではなく
新たな才能の発掘にも力を注いできた。
しかし去年3月
新型コロナウィルスの感染拡大でニューヨークはロックダウン。
世界中から押し寄せていた観光客も激減した。
ベンスーザンさんも営業制限などにより去年3月以降店を開けられず
売り上げは9割以上減少。
ライブ配信などで何とか経営を維持してきたものの
従業員の解雇を余儀なくされた。
(ベンスーザンさん)
「責任を感じ
 やれることはやりましたが
 全員は守れませんでした。」
感染状況が徐々に落ち着くなか
6月から客席数を半分ほどにして営業を再開することを決断。
解雇した従業員も呼び戻すことにした。
そして迎えた1年3か月ぶりの公演。
「こんなに客が少ないなんて史上初だ(笑)!」
グラスパーさんが選んだ曲は「RISE AND SHINE」。
“起き上がり 輝くような1日を過ごそう”という意味が込められている。
(グラスパーさん)
「観客の反応を見ると
 たちまちエネルギーが湧いてくるんだ。
 観客にも希望を与えたい。」
(グラスパーさん)
「気づいたら汗びっしょり。」
(客)
「友だちと最高の時間を過ごせたわ。
 間違いなくニューヨークの復活ね!」
(ベンスーザンさん)
「再開できたことがまだ信じられません。
 夢を見ているような気分です。」
エンターテインメントの街ニューヨークに
かつての熱気が戻り始めている。

 

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台湾 ウミガメの島 プラゴミをゼロに

2021-07-21 07:04:36 | 報道/ニュース

2021年6月21日 NHKBS1「キャッチ!世界のトップニュース」


台湾本島から船で西に30分のところに小琉球という島がある。
ここで近年ひんぱんに見られるようになったのがアオウミガメである。
アオウミガメは絶滅危惧種に指定され
世界中で保護されている。
このウミガメが間近に見えることもあって
この島を訪れる人は年々増えているが
同時にウミガメの暮らす環境を守ろうという活動が活発になっている。

小琉球の漁港の岸壁。
すぐ近くにウミガメが浮かんでいる。
(観光客)
「かわいいですね。」
「海に入らなくても見えました。」
台湾南部の屏東県の沖合に浮かぶ離島 小琉球。
周囲12㎞の小さな島だが
サンゴ礁でできた風光明媚な観光地である。
地元の人によると
8年前に沿岸での刺網漁が禁止されてから島に近づくウミガメが増えた。
大学の調査では
最近3年間は年平均400匹以上確認されている。
“ウミガメの島”として評判となり
台湾本島などからの観光客が年々増えてきた。
人口1万2,000人の島に
外から訪れる人は年間100万人以上と推定される。
観光客の増加によってゴミも増えることを懸念した島の人たちは
ウミガメの生息環境を守るため
“プラスチックごみゼロの島”を目指す活動を始めた。
3年前からは台湾当局が支援している。
そのひとつが宿泊施設の取り組みである。
「使い捨ての歯ブラシなどは置いていません。」
民宿を経営する蔡さんは
宿泊の予約を入れる客に歯ブラシやコップなどを持参するようあらかじめ告げている。
美しい自然が目当ての客も意識が高いと見えて
不満を声を聞いたことがないという。
台湾当局によると
使い捨てプラスチック製洗面用具などを提供しない環境保護の宿は
屏東県内に合わせて132軒あるが
半数近い62軒がこの小さなウミガメの島に集中している。
(民泊 経営者 蔡さん)
「使い捨てを減らせば
 海へのゴミも減り
 生態系への影響も少なくなるでしょう。」
他にもプラスチックごみをなくそうという活動が行われている。
店で飲み物を買って持ち替える客に
プラスチック製の使い捨てのコップではなく
ステンレス製のコップを借りるよう推奨している。
料金は無料で
スマートフォンで電話番号と借りるコップの数を登録するだけである。
このコップの取り扱いは島の商店や宿泊施設など約60か所で行われていて
客は借りたのと別の店で何度でも飲み物を買うことができ
コップを返す場所も自由に選べる。
(観光客)
「帰りに船の乗り場で返せて とても便利です。」
取り扱い場所に返却されたコップは
当局からこの事業を請け負っている団体が回収し
人の手と機械で2回洗うが
洗剤は環境への負荷が小さいものを選び
排水は処理施設を通してから海に流している。
洗浄を終えたコップは再び取扱所へ配達される。
現在3,500個が使われているが
観光客が増えるシーズンには
回収・洗浄・配達でてんてこ舞いになるという。
(小琉球 自然人文整体観光協会 陳理事長)
「プラスチックの使い捨て容器を年間27万杯分を減らすことになり
 私たちの活動の励みになります。」
この島には観光客がよく訪れる場所など10か所にウォーターサーバーが設置されていて
借りたコップや水筒などを持っていれば好きなだけ水を汲んで飲むことができる。
遠くから来た客に対するもてなしの心とともに
ペットボトルなどの持ち込みを予防する仕掛けでもある。
(観光客)
「のどが渇いたときペットボトルの水を買う必要がなく
 環境にいいです。」
(小琉球 自然人文整体観光協会 陳理事長)
「この環境を守るために
 できるだけマイカップを持参してください。
 もし持っていなければ店や民宿で借りてもらいたいです。」
陸の上からでもウミガメが簡単にみられる豊かな自然環境。
観光客を受け入れながら守っていくためのユニークな仕組みが試されている。
 



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希望と不安が交錯する五輪

2021-07-19 18:58:11 | 編集手帳

2021年6月18日 読売新聞「編集手帳」


 メアリー・シェリーの小説「フランケンシュタイン」は、
天才科学者が作り出した醜悪な人造人間の悲しみを描く。
何度も映画化された。

中でも1994年公開の「フランケンシュタイン」は名優ロバート・デ・ニーロが人造人間役を演じ、
過去の映像作品には見られない“よくしゃべる怪物”が話題になった。
熱演シーンは数々あれど、
最近ちょくちょく思い出すセリフがある。
「おれには感情があるが、
 使い方を教わっていない」

東京五輪の代表選手が次々に決まっていく。
その報に接するたび、
心がふわっと浮き立ったかと思えば、
次の瞬間には心配がよぎる。

こんなオリンピックは過去になかった。
感情の使い方がよくわからず、
戸惑う人は多いことだろう。
そもそも五輪の期間中、
どんなふうに過ごせばいいのか想像がつかない。
感染症の広がりの程度にもよる。
先が見通せないなか、
希望と不安を交錯させながらスポーツの祭典を待つ状態にこの国はある。

今回の東京五輪で記録映画が作られていることをふと思った。
未曽有の苦しみと混迷のなかで祭典を待つ人々の感情も、
主題の一つになるだろう。

 

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ドイツ 夫婦別姓導入から約30年

2021-07-18 07:18:12 | 報道/ニュース

2021年6月17日 NHKBS1「キャッチ!世界のトップニュース」


近年 日本では
希望すれば結婚前の姓を名乗れる選択的夫婦別姓をめぐる議論が活発になっている。
その日本より先に夫婦別姓を議論の末導入したのがドイツである。
ドイツではかつて夫婦で同じ姓にするのが原則で
長い間 夫の姓を名乗るよう法律で定められていた。
特に旧西ドイツでは“男性は仕事 女性は家庭”という考え方が根強かった。
しかし女性の社会進出が進んだことなどから
90年代に入り別姓も認められるようになった。
夫婦別姓の選択肢が加わって約30年が経つドイツ。
その現状と実現までの道のりはー。

2005年に結婚したボワセルさんさん(49)と夫のブリンクマンさん(50)。
照明や空間を演出するデザイナーとして働いているボワセルさん。
キャリアを途切れさせないために夫婦別姓を選んだ。
(妻 ボワセルさん)
「突然 別の名前になることは想像できませんでした。
 キャリアを積み上げてきたのに
 認識してもらえなくなります。」
建築雑誌の編集者を務める夫のブリンクマンさんも自分の姓を変えるつもりはなく
夫婦で別の姓にすることはすんなり決まった。
子どもの姓については
長男が生まれた際ふたりで話し合い
妻の姓ボワセルにすることで一致した。
法律で兄弟の姓はそろえる決まりとなっているため
その後生まれた長女も妻の姓になった。
結果 父親だけ姓が異なるが
家族の一体感は変わらないという。 
(夫 ブリンクマンさん)
「子どもとの絆は姓で築かれるのではなく
 共に暮らし支え合って深まるのです。」
(長女)
「クラスには両親が別姓の子も同姓の子もいます。
 親の名前が1つでも2つでも大きな違いは感じません。」
ドイツではかつては結婚すれば夫の姓にするよう義務付けられていた。
そこから妻の姓
さらには別姓も選択できるようになるまでには
多くの人の訴えと社会での活発な議論があった。
声を上げたひとり
ジャーナリストで作家のクラムロートさん(66)。
同じくジャーナリストの夫と別姓が認められる前の1985年に結婚。
話し合いでは姓を決められず
硬貨を投げて妻の姓にそろえることにした。
すると家族や職場から強い反発があったという。
(妻 クラムロートさん)
「両親に『結婚がダメになる』と言われ
 夫は同僚から『妻の姓なんてありえない』と言われ
 無口になっていきました。」
思い悩む夫を見て
クラムロートさんは結婚式の直前になって自分の姓を諦めることにした。
その代わり
夫婦別姓を認めるよう訴えを起こしたのである。
さらに同じような不満を持つカップルと情報を共有し
支え合うための団体を設立。
積極的にメディアの取材に応じ
自らも現状を記事にし発信を続けた。
姓について合意できず結婚しないことにしたカップルなど
ドイツ各地から手紙が届いた。
次第に議会でも取り上げられるようになった。
(1990年 ボン連邦議会 緑の党 議員)
「女性はやりたいことがあっても男性のために断念し
 自分の姓を手放している。」
「名前はアイデンティティーの一部です。」
そして1991年
連邦憲法裁判所が既定の一部を違憲とする判断を示す。
その後法律が改正され
別姓を選ぶことが正式に認められるようになったのである。
(妻 クラムロートさん)
「裁判所の判断は画期的でした。
 女性は姓を選ぶ際に自分のアイデンティティーを表すことができるようになったのです。」

名前について調査を行なっている団体によると
別姓を選んだ夫婦は
1996年   8,5%
2016年 13,0%と徐々に増えている。
実はメルケル首相も夫婦別姓を選んだひとりである。
1998年 与党の幹事長を務めていた時期に
著名な科学者のザウアーさんと再婚したが
どちらも名字を変えなかった。
別姓を選んだ理由についてメルケル首相が公の場で語ったことはないが
地元メディアは
対等な夫婦関係のために別姓を選んだのではないかなどと推測している。
一方
夫の名字にそろえる夫婦の割合は
1996年 81,9%
2016年 73,8%。
8割を超えていた1996年に比べて減少しているものの
依然として最も多くなっている。
伝統的な家族観が今も根強い。
結婚した後の名字は選択肢は増えてはいるものの
子どものことを考えて
家族の一体感のためにひとつの名字が必要だと考える人は多く
その際
自分の名字が代々引き継がれていくことを重視する男性も多くいるという。
夫婦別姓を選んだブリンクマンさんも
子どもの名字を妻の名字ににしたと実家の両親に伝えたところがっかりされて
しばらく連絡を取り合えないほど険悪な関係になったという。
(ヨハネスグーテンベルク大学マインツ ロザー氏)
「ドイツでは今も夫の姓を選ぶことが当たり前な風潮があります。
 異なる決断をするのが難しいのです。」
専門家は
伝統的な家族観が変わるのには時間がかかるとする一方で
夫婦の名字の選択肢が増えたことで
家族の事情に合わせた解決策が見つけやすくなっているという。
ドイツに限らず海外では夫婦別姓が広く認められている。
日本の法務省によると
夫婦が同じ姓を名乗ることを義務付けられている国は
把握できている範囲で
世界で日本だけだという。
その日本でもこのところ議論が盛んになっていて
夫婦の名字のあり方が今後どうなっていくのか
注視していきたい。

 

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世界が注目 水素から新燃料

2021-07-17 10:12:46 | 報道/ニュース

2021年6月16日 NHKBS1「キャッチ!世界のトップニュース」


気候変動対策の切り札とされる水素。
その新しい活用法として今注目されているのが
水素と二酸化炭素から作られた透明な液体。
ガソリンや軽油として使うことができ
e-fuel と呼ばれている。
なぜ注目なのか。
多くの車はガソリンなどの化石燃料を燃やして走り
排出された二酸化炭素は地球温暖化をもたらす要因の1つとなっている。
この燃料をe-fuelに換えると
化石燃料と同じように二酸化炭素は排出するが
これを大気中から回収して水素とまた合成することで再びe-fuelを作ることができる。
二酸化炭素を循環させることで排出量を実質0にすることができる。
さらにこの水素は水を電気分解して作るが
この電力は風力や太陽光など再生可能エネルギーでまかなう。
既存のエンジンがそのまま使えて
二酸化炭素も増やさないとして
各地で緊急開発が進められているe-fuel。

水素と二酸化炭素から作るe-fuel。
開発が最も進んでいるのがヨーロッパである。
(みずほリサーチ&テクノロジーズ 米田さん)
「今ヨーロッパが先行して実証している。
 2030年に自動車にして数千~数万台分という目標はたてられている。
 今後10年がチャレンジ。」
ドイツの実証実験施設。
ドイツ政府の後押しを受けて企業や大学が共同で開発を進めている。
ヨーロッパで開発が進んでいる背景には
e-fuelには欠かせないクリーンな電力が豊富に生み出されるようになっていることがある。
(みずほリサーチ&テクノロジーズ 米田さん)
「欧州中心に再生可能エネルギー普及が進んでいる。
 水素を安く作れる見通しがかなり具体的に見えてきている。
 欧州水素戦略のなかで
 2030年には再生可能エネルギーで水素1,000万トン作ると考えられており
 約5兆円を官民で投資して普及させようという計画である。」
普通のガソリンや軽油として使えるe-fuelには大きな利点があるという。
(みずほリサーチ&テクノロジーズ 米田さん)
「e-fuelの一番のメリットは既存のインフラを使えること。
 ガソリンスタンド ガソリンを運ぶインフラはほぼそのまま使える。
 化石燃料の需要が減少するなかで石油会社は
 e-fuelは事業の選択肢として考えられる。」
その一方で大きな課題として米田さんが指摘するのがコストの高さである。
(みずほリサーチ&テクノロジーズ 米田さん)
「全体的にコストを下げなければならない。
 水素にする
 水素を二酸化炭素にする
 その電解装置のコストが高い。
 二酸化炭素を回収するコストが高いというのもある。
 大気中の二酸化炭素の濃度は約0,04%。
 その薄い二酸化炭素を濃縮して回収するには多くのエネルギーが必要。
 そのあたりが技術革新に求められている状況。」
e-fuelをはじめ様々な分野で活用が広がりつつある水素。
太陽光や風力発電による発電の不安定さの解消にもひと役買うと期待されている。
(みずほリサーチ&テクノロジーズ 米田さん)
「再生可能エネルギーは捨てている電力もある。 
 よりたくさん長い間貯められる水素がエネルギー貯蔵の候補として考えられている。」
「水素を使った発電施設
 水素で駆動する電車
 水素は必要不可欠なエネルギーである。
 水素を活用する社会を実現しなければいけない。」

いま水素の活用はe-fuel以外にも大きく広がっている。
すでに実用化されている燃料電気自動車
水素を直接燃焼させる火力発電所
製鉄の分野でも大量に二酸化炭素を排出するコークスの代わりに水素を使う技術が開発されている。
こうした様々な活用法を組み合わせて水素の利用を増やしていくことが
脱炭素に向けた水素戦略になっている。
水素の活用はヨーロッパだけでなく
中国やアメリカ
現在は産油国の中東などでもさかんに進められている。
日本でも世界に先駆けて技術開発が進んでいる分野もあるという。
各国がしのぎを削るなかで
競争から画期的な技術が生まれてくることが期待されている。



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“危険な格差”ワクチンで明暗

2021-07-15 08:37:13 | 報道/ニュース

2021年6月16日 NHK「おはよう日本」


新型コロナウィルスで打撃を受けた世界経済。
全体として回復傾向にあるものの国ごとにばらつきがある。
こうした状況をIMF(国際通貨基金 )は“危険な格差”と表現し
警鐘を鳴らしている。
危険な格差
その明暗を分けるのがワクチンである。

“カウボーイの聖地”ともいわれる観光地
テキサス州スコットヤード地区。
パレードが行われていて賑わっている。
景気回復が加速するアメリカ。
各地の観光地にも人手が戻っている。
今年(2021年)の経済成長率は6,4%と
マイナス成長からのⅤ字回復が見込まれている。
この地区のレストランは半年ほど休業したが
毎月の売り上げは感染拡大前の70%程度まで戻っているという。
(レストラン オーナー)
「忙しい。
 夏前には100%に回復するはずだ。」
アメリカ国内ではコロナ禍で控えられてきた個人消費の反動
いわゆる“リベンジ消費”が多製である。
アメリカ旅行協会の5月の調査では
90%近くの人が半年以内に旅行を計画していると回答した。
これを後押しするのがワクチンである。
少なくとも1回接種した人の割合は51,9%。
国民の半数を超えている。
今年3月以降 感染が再び拡大したタイ。
生活への影響が広がっている。
(市民)
「タイの景気は悪すぎて
 アメリカなどと差は開くばかりです。」
ワクチンを少なくとも1回接種した人の割合は6,4%。
明暗を分けたのはワクチン接種の差である。
外国人観光客の本格的な受け入れも再開できず
主要産業の観光業を中心に深刻な打撃を受けている。
今年(2021年)の経済成長率についてタイの中央銀行は+3%と見込んでいたが
5月
ワクチンの確保が進まない場合には+1%にとどまると下方修正した。
IMFはこうした状況を“危険な格差”と表現。
今年中に少なくとも世界人口の40%
来年前半に60%の接種を終えるために
各国が協力し進めるよう提言している。
(IMF ゴピナート調査局長)
「格差は深刻な問題です。
 一部の国の回復が遅れ社会的な緊張が高まれば世界全体の問題になり得る。」
 


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楽しく生きることを、調べにのせ・・・小林亜星さん

2021-07-13 07:01:58 | 編集手帳

2021年6月16日 読売新聞「編集手帳」


永六輔さんが5年前に亡くなったとき、
小林亜星さんは本紙の取材に盟友の残した歌の詞を口ずさんだ。
誰もが永さんの代表作とはみなさない歌である。
♪ババンババン バン バン いい湯だな

永さんとは戦時中の疎開先が近かったため思い出を語り合った。
「僕は親の差し入れを教師が食べるのを見た。
 ひもじさ、
 理不尽さ、
 終戦の解放感。
 それが僕らの世代の原点です」

「いい湯だな」(作曲・いずみたく)は人気番組「8時だョ!全員集合」に使われた。
「楽しく生きることを肯定している。
 戦争で心の傷を受けた僕たちにとって、
 子供たちを幸せに育てることは切実な願いでした」

「寺内貫太郎一家」の貫太郎役が印象的な亜星さんだが、
人生の比重は大きく作曲活動にあった。
♪この木なんの木 
 気になる木~。
♪レナウン娘がワンサカ 
 ワンサ~。
アニメの主題歌では「魔法使いサリー」や「ひみつのアッコちゃん」だろうか。
かつて耳になじんだメロディーを次々浮かべながら、
悲報に触れた方は多かろう。

亜星さんが88歳で亡くなった。
楽しく生きることを調べに乗せ、
ささやいた人だろう。

 

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“完全栄養食”で勝負!

2021-07-12 07:17:24 | 報道/ニュース

2021年6月16日 NHK「おはよう日本」


完全栄養食とは
タンパク質 ビタミン ミネラルといった
必要な栄養素がそろってカロリーや塩分などを抑えた食事。

巣ごもり需要などで売り上げが伸びている即席めん。
その技術を応用して開発に取り組んでいる“完全栄養食”。
チャーハン とんかつ ナポリタンなど
300種類以上のメニューを提供する。
日清食品 安藤社長自らがこのプロジェクトを率いている。
食生活の乱れによる生活習慣病などを防ぎたいと考えている。
(日清食品 安藤社長)
「普段食べているものが変わらずに美味しく完全栄養をとる
 新しいコンセプトを作ろうと。
 栄養補助食品的なものはたくさんあるが
 食事そのものが1食で“完全栄養食”というのはまだない。
 そこを完全栄養食にすることによって大きなビジネスになる。」
研究施設では実際に調理した食事の栄養素をチェックしながら開発を進めている。
カロリーを抑えたとんかつ。
「揚げずにとんかつを仕上げます。
 どういうふうには企業秘密。」
即席めんの技術が生かされているという。
調理の過程で栄養素が流出してしまうことを防ぐとともに
栄養素の苦みを感じさせなくする工夫も施されている。
(日清食品 安藤社長)
「栄養素を全て食べ物の中に入れると苦み ・えぐみが出てしまう。
 苦み・えぐみを感じずにおいしくするにはどうしたらいいか。
 インスタントラーメンの技術が応用されている。」
販路のひとつとして考えているのが健康志向が高まる社員食堂である。
大手商社 伊藤忠商事と連携して
一部の社員食堂で試験的に提供している。
メニューはハンバーグやカレーなど約30種類。
「栄養食というより普通においしいカレーだと思った。」
(“完全栄養食”を試験的に導入する 伊藤忠商事)
「おいしいもの好きなものを諦めないといけない部分もあると考えていたが
 美味しく食べられ
 カロリーや栄養バランスがしっかりコントロールされた食事がとれる。」
“完全栄養食”が社員の健康維持につながっているか
データを集めて多くの企業への導入を目指している。
(日清食品 安藤社長)
「あらゆる食あらゆるレシピを完全栄養食化することで
 インスタントラーメン産業以上のビジネスモデルに成長させていきたい。」



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インドネシアのエッセンシャルオイル 

2021-07-11 10:49:07 | 報道/ニュース

2021年6月15日 NHKBS1「キャッチ!世界のトップニュース」


アロマセラピーなどでおなじみのエッセンシャルオイル。
精油ともいわれるエッセンシャルオイルは
植物から抽出される香り高い天然のオイル。
インドネシアではレモングラスなど原料となる植物が豊富で
古くから生産されてきた。
エステやマッサージにも使われていて
リゾートで訪れる外国人観光客にも人気だった。
いまは新型コロナウィルスの影響で外国人観光客が入国できなくなっているが
エッセンシャルオイルの需要は高まっているようである。
さらにこのエッセンシャルオイルは
インドネシアの貴重な世界遺産を守るのにも使われるようになっていて
驚きの効果が注目されている。

5月29日 ジョグジャカルタ市内にオープンしたエッセンシャルオイルの専門店。
店内は大賑わい。
生産も手掛けるこの店は
10mあたり270円ほどで
これまで地元の市場やインターネットのみで販売していた。
ところが去年新型コロナウィルスの拡大にともない
1か月の売り上げが最大で7倍に増加。
(客)
「エッセンシャルオイルが疲労をやわらげてくれます。
 寝る時にも使っているのでぐっすりと眠れます。」
店のオーナーは消費者がいつでも買えるようにとこの店舗をオープンさせたという。
(専門店オーナー)
「みんなコロナ禍で活動を制限されストレスを感じやすくなっています。
 エッセンシャルオイルの香りを嗅げば
 心が安らぐと思います。」
オーナーの自宅に設置されたエッセンシャルオイルの製造機械もフル稼働である。
今はレモングラスを使ったエッセンシャルオイルが生産されている。
(製造担当者)
「原料のレモングラスからオイルを精製する工程です。
 水蒸気蒸留装置を使っていて
 4~6時間かかります。」
生産に時間と手間がかかるエッセンシャルオイル
レモングラスの葉20㎏からわずか100mlしか抽出できない。
いまインドネシアではエッセンシャルオイルの意外な使われ方が注目されている。
世界遺産「ボロブドゥール寺院」。
8~9世紀にかけて建立された世界最大の石造りの仏教寺院。
長年こけの繁殖に悩まされてきた。
そこに何やらタンクを担いだ人たちが・・・。
壁に吹きかけているのはエッセンシャルオイルを薄めた特殊な液体である。
この日散布したのは約15リットル。
早ければわずか1日で効果が出るという。
翌日同じ場所を見てみると
こけは茶色くなって枯れていた。
ボロブドゥール寺院にとってこけは大敵。
石に浸食して穴だらけにしたり
割れ目を拡大させたりする。
熱帯のインドネシアでは特に成長が早いため
放っておくと建物が崩落する危険すらある。
以前は化学薬品である農薬が大量に使われていたが
石材を傷つけたり土壌を汚染することが分かり
2008年に使用中止に。
それからは途方もない時間と労力をかけ手作業でこけを取り除いていた。
なんとか安全かつ効率よくこけの繁殖を防ぐ方法はないか。
ボロブドゥール保全センターが長い研究の末
さまざまな種類のエッセンシャルオイルを試し
こけを取り除く効果のある植物を発見した。
(研究チームのリーダー チャヒヤンダルさん)
「このオイルはレモングラスから抽出されています。
 菌類の繁殖を抑制することが分かりました。」
実用化にいたるまで2015年から6年にわたり実験を繰り返したという。
「この石は6か月前にテストを行ったものです。
 ご覧のように新しいこけは生えてきていません。」
レモングラスオイルによってこけが枯れるだけでなく
散布した後
半年~1年新しいこけが生えないことも分かった。
チャヒヤンダルさんたちは
まず外壁に使用して石材に悪影響がないか最終確認を行い
来年からレリーフや仏像に使用していく予定である。
(研究チーム リーダー チャヒヤンダルさん)
「研究者として
 予想した通り
 理想的な保護プロセスだと思います。
 次の挑戦は他の文化遺産にどう使用していくか研究することです。」



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梅雨明けのころが待ち遠しい

2021-07-10 23:26:49 | 編集手帳

2021年6月15日 読売新聞「編集手帳」


じめじめと雨の降る日に思い出す本紙俳壇の入選作がある。
<全身が精神力のなめくじり>(栃木・あらゐひとし)

選者の矢島渚男さんが生物学の視点を交えて絶賛していた。
<ナメクジはカタツムリが進化して殻を無くした。
 目も触角も肺もある。
 無防備だから、
 全身に神経が張りつめているのだろう。
 それを「全身が精神力」と表現した。
 面白い>

疲れたりしないのだろうかと、
その生き物に妙な共感を抱いてしまう。
エレベーターのボタンに触れるかどうか迷ったり、
人混みを注意深く避けて歩いたり…
手足の指先まで神経を使う日々はけっこうな精神力がいる。

バーベキューのグリルのそばで「密」になって談笑する人たちをテレビで見た。
英コーンウォールで開かれた先進7か国首脳会議(G7サミット)である。
ワクチンの効果を背景に、
ウイルスに打ち勝った後の世界を見せる演出が所々にあった。

国内では医療従事者、
高齢者に続き、
職場接種が緒についた。
効果の出る日が待ち遠しい。
梅雨明けの頃には、
と期待するのはせっかちだろうか。
ナメクジを見かけなくなる季節がふさわしいような。

 

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落ち葉が商品券に 三保松原を守る

2021-07-09 07:01:45 | 報道/ニュース

2021年6月14日 NHK「おはよう日本」


静岡市の三保松原。
世界遺産 富士山の構成資産のひとつにもなっている。
松を守るために子どもたちが楽しく参加できる活動が行われている。

美しい景色が広がる静岡市の三保松原。
昔から和歌や絵画の題材にもなり
平成25年に富士山とともに世界文化遺産に登録された。
今この景観を残していくための保全活動をいかに広げていくかが課題となっている。
三保松原の保全に取り組んでいる静岡市に住むAYAKAさん。
今年4月から社会人となった。
三保松原に魅せられて
高校生の時に松の研究を始めた。
(AYAKAさん)
「高校の先輩たちは松の葉っぱを食べるという研究をしていて
 その研究に興味を持って
 三保の地域の人に役立つ研究であるとうれしいと思ったのが今につながっている。」
AYAKAさんは次の世代を担う子どもたちにも参加してもらうことが大切だと考えている。
三保松原で月1回のイベントを主催するグループで代表のRIEさんとともに
子どもたちに保全活動の参加を呼び掛けている。
松の保全には落ちた松葉を取り除く作業が欠かせない。
落ちた松葉が根もと付近にたまると松が枯れる原因になるからである。
熊手を使った“松葉かき”
この作業は子どもたちでも簡単にできる。
そして活動するにあたって楽しみを加えた新しい仕組みを考えた。
「これマルシェで300円分の商品券になっています。」
松葉を入れたゴミ袋を6つ持ち込んでもらったら
300円分の独自の商品券を渡す。
商品券は三保松原の観光施設で行われるイベントの当日に市場の出店で使えるようにした。
さらに回収した松葉は入浴剤 「落ち葉風呂」として活用されている。
(地元の小学校6年生)
「周りの松葉が一気になくなっていると結構うれしい。
 ちょっとずつでもみんなが集めていけば
 松原が喜ぶと思う。」
(地元清水地区の参加者)
「自分が育った清水で
 だんだん三保松原が小さくなってしまっているというので
 子どもが大きくなってからも守っていきたい気持ち。」
(AYAKAさん)
「集めた松の葉っぱを商品券にして
 商品券に交換した松の葉を入浴剤にして
 入浴剤の売り上げを商品券のお金にするという循環を作っている。
 善意だけじゃなくて
 やってくれた人にも何か返ってくる仕組みを作りたい。」
三保松原の美しい景観を次世代の子どもたちとともに守りたいというAYAKAさん。
手ごたえを感じながら
取り組みをこれからも続けていく。
(AYAKAさん)
「ここが羽衣伝説でも有名な景色。
 羽衣の松に天女が羽衣をかけたという場所になっている。
 伝説にも残るような景色を小学生であったり
 これから三保を担う人にも
 大切だなと
 同じように思ってくれる人が増えたらうれしい。」


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猫で活況!住宅業界

2021-07-08 07:49:24 | 報道/ニュース

2021年6月14日 NHK「おはよう日本」


新型コロナで在宅勤務が増えたことがあって
猫を飼う人が増えている。
住宅業界は“猫と暮らせる家”にビジネスチャンスを見い出している。

埼玉県にある賃貸住宅。
猫と快適に暮らせることを売りにしている。
ここに住むNAHOさんは猫を飼うために去年引っ越してきた。
部屋には猫が運動できる設備が取り付けられている。
飼い主を喜ばせる仕掛けも。
(NAHOさん)
「肉球がすごく見えるんですよ。」
猫の安全を守るための工夫も。
火を使うキッチンはガラスで仕切り
猫が入りにくくなっている。
網戸には猫専用の出入り口が。
そこをくぐると柵に囲まれた“ねこ庭”。
脱走するのを防ぎ
外にいる他の猫とけんかをするのを防ぐ。
(NAHOさん)
「一番猫がのびのび生活できているのが感じられるので
 うれしくて生活が潤いますね。」
この物件を仲介したのは猫を飼育できる物件を専門にしている不動産会社。
去年の成約数は前の年に比べ50%増加。
家賃は周辺の物件より10%ほど割高だというが
ほぼ満室になっているという。
(ネコリパ不動産)
「猫にとって快適なお部屋に入居できれば
 飼い主さんも契約を更新して長く住もうと考える。
 大家さんにとっては退去が発生しにくく
 賃貸経営が安定する。」
一方大手住宅メーカーも猫と暮らせる家にビジネスチャンスを見い出している。
注文住宅でペットを飼育しやすい家を販売している会社。
昨年度こうした住宅の販売戸数が前の年度に比べ20%増加した。
さらに猫好きの人向けに売り上げを伸ばそうと2月に発売した設備は
シンクの下に大きな特徴がある。
一見ふつうの猫用のトイレに見えるが
上にセンサーがついていて
猫が用を足して出ていくと水の音が。
実はおしっこを自動で流してくれる設備がある。
価格は36万3,000円。
飼い主も猫も快適に暮らせる商品を今後も開発していきたいと考えている。
(大和ハウス工業 東京本社住宅事業本部)
「猫は飼っている方にとっては家族ですので
 今後もペットのためのお部屋ですとか
 設備需要は増えていくと思います。」


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人は鶴を折る 

2021-07-07 07:09:52 | 編集手帳

2021年6月13日 読売新聞「編集手帳」


ここ何か月かの間、
本紙の地方版に載る千羽鶴の話題に目が留まる。
埼玉県川越市にお住まいの小高トメ子さん(92)は6000羽を折って、
生活を支えてくれるボランティアにプレゼントした。

千葉県袖ケ浦市役所ロビーの壁は、
滝の流れのような2万羽に彩られた。
中止のウォークラリー大会の代わりに小学生が汗をかいて折った。
鹿児島県鹿屋市のJA直売所は買い物客たちに色紙を配り、
折り鶴にして戻すよう頼んだところ、
10万羽が集まった。

なぜ人は鶴を折るのか。
まもなく地方予選が始まる高校野球のベンチや、
広島の原爆忌を待たなくても分かることだろう。
「折る」という字は「祈る」によく似ている。

スマホに<折り紙>と打ち込んでみた。
紙ふうせんに飛行機に…。
「おうち時間」の使い方を教える動画が次々にヒットする。
文具メーカーによると、
折り紙の売れ行きは例年の1割増しだという。

俳人の高橋修宏さんに、
鶴に変身する紙をいたわるかのような一句がある。
<折鶴は紙に戻りて眠りけり>。
声をかけるなら、
ありがとうだろうか。
いつもいつも、
祈りを手伝ってもらっている。

 

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“子どもたちに未来を” 中国 少年野球チーム 

2021-07-06 07:01:15 | 報道/ニュース

2021年6月10日 NHKBS1「国際報道2021」


中国の元プロ野球選手 孫嶺蜂さん。
中国では近年 野球の競技人口が増えつつあるが
孫さんは恵まれない環境で育った子どもたちのための少年野球チームを作り運営している。

北京の中心部から車で2時間の郊外にあるグラウンド。
ここを本拠地とする少年野球チーム エンジェルスは全国大会で優勝したこともある強豪である。
子どもたちは7~15歳。
みな中国各地の農村の出身である。
チームの宿舎では男女68人が共同生活をおくっている。
両親を亡くした子どもや
貧しさから親元を離れざるを得なかった子どもなど
さまざまな事情を抱えている。
「うちはとても貧しいので僕が選ばれました。」
「コーチが迎えに来た時
 売られると思って怖くなり車のドアを蹴りました。」
ここで子どもたちは18歳になるまで無償で暮らすことができる。
施設とともにエンジェルスを起ち上げたのは
元プロ野球選手の孫嶺蜂さん(42)。
寄付を募ってチームを運営している。
孫さんはかつて中国代表チームのキャプテンを15年間務め
北京オリンピックやWBCに出場するなど第一線で活躍してきた。
引退後の2016年
中国の野球界を盛り上げようと
資材を投じてエンジェルスを発足させた。
北京近郊の貧しい家庭で育った孫さん。
小学2年生のときにスカウトされて以来野球中心の生活をおくってきた。
自分の人生を変えた野球を通じて子どもたちに希望を与えたいと考え
貧困地区の子どもたちを引き取ることにしたのである。
(エンジェルス代表 孫嶺蜂さん)
「豊かな家庭の子どもたちを集めればもっと金を稼げるのにとよく言われます。
 でも私は貧しい子どもを助ける方が価値があると思っています。」
エンジェルスのキャプテンを務める15歳の大宝くん。
ピッチャーで4番打者である。
5年前 河北省の農村からやって来た。
シングルマザーの母親は出稼ぎに行ったきりで
ほとんど会ったことがない。
育ててくれた祖母が高齢になったため孫さんが引き取ることにしたのである。
(大宝くん)
「実家ではこんないい環境には恵まれません。
 勉強や野球を頑張れば
 家族の未来も変えられるかもしれません。」
大宝くんは野球による推薦で大学に行きたいと考えている。
将来は野球の指導者になるのが夢である。
施設には6人の教師がいて
子どもたちの学力に応じて勉強を教えている。
故郷の村では貧しさから学校に行けなかった大宝くん。
小学校の勉強からやり直している。
4月初め
エンジェルスは全国大会への出場をかけた北京地区の予選に臨んだ。
初戦の相手はブラザーズ。
富裕層の子どもが多く
エンジェルスの最大のライバルである。
ルールは1試合4イニング。
エンジェルスは初回
連打で3点を先制する。
しかし2回
ブラザースの反撃ですぐに1点差に詰め寄られる。
なおも満塁のピンチでマウンドにあがったのは大宝くん。
2者連続三振でピンチを切り抜けた。
この試合エンジェルスは11-2の大差で勝利。
その後も勝ち続け
見事優勝を果たし
全国大会への出場権を獲得した。
(エンジェルス代表 孫嶺蜂さん)
「何もしなければ彼らの未来は変わらないでしょう。
 それならば私たちが新たな道筋を示してやればいい。
 私自身も野球を通して生まれ変わったのですから。」



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