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ホロコースト“今こそ語り継ぐ”

2015-02-09 08:00:00 | 海外ネットワーク

 

2月1日 NHK海外ネットワーク


いまヨーロッパが揺れている。
フランスでのテロ事件をきっかけにイスラム教徒の移民など少数派を排除しようとする動きが広がっている。
第二次世界大戦の悲惨な経験を踏まえて
ヨーロッパは戦後
異なる宗教や民族との融和をかかげてきた。
その原点と言える場所が大戦のさなかナチスドイツによってポーランド南部に作られたアウシュビッツ強制収容所。
ユダヤ人という理由だけで約100万人もの人々がガス室で殺害されるなど
人類史上例を見ない大量虐殺ホロコーストの犠牲となった。
収容所が解放されて今年で70年。
戦後ヨーロッパの精神に逆行しかねない動きが出始めた今こそ
虐殺の悲劇を語り継ごうという取り組みが進められている。

1月 アウシュビッツ強制収容所で開かれた追悼式典。
かつて収容されていた人たち約300人が参加し当時の状況を語った。
(かつて収容された人)
「収容所での1分は1日のように長く感じた。
 同じような悲劇を次の世代が繰り返してはいけない。」
追悼式典はフランスやドイツでも開かれ
首脳たちはヨーロッパ中に移民を敵視する空気が広がっていることに強い危機感を示した。
いまドイツなどでは移民の受け入れ制限を求めるデモが相次いで行われている。
「イスラム教徒にはドイツにもうこれ以上来てほしくない。」
ホロコーストの反省から多様性を尊重してきたヨーロッパで
少数派の排斥につながりかねない動きが出ている。
こうした風潮の中でもホロコーストの悲劇を語り継ぐ取り組みが市民によって続けられている。
強制連行の犠牲者の名前を刻んだプレートをかつて暮らしていた場所に埋め
人々の記憶にとどめようというのである。
ネリー・ヘンリエッテ・ライスさん
1942年9月5日にベルリンから連行され8日に殺害された。
ヨハンナ・クレーマーさん
1945年にケルンから連行され殺害された。
(取り組みを提唱したグンター・デムニッヒさん)
「授業で“600万人のユダヤ人が虐殺された”と習うが大まかなことしか理解できていない。
 1人1人の運命をたどることで子どもたちの理解は深まる。」
収容所解放70年を前に新たにプレートが作られた犠牲者がいる。
当時19歳で殺害されたユダヤ人のクララ・ハベルさんである。
ハベルさんの人生ををたどりプレートを制作したのはゼバスティアン・プフルムさん(30)。
ベルリン市内で暮すブプルムさんは
普段通って言うrパン屋の近くにはプレートがあるのに自宅前には一つもないことが気になっていた。
近所に強制連行された人がいたのではないか。
1年近くかけて調べハベルさんの存在を突き止めた。
最初は名前しかわからなかったが遺族などとも連絡が取れ
強制連行までの詳しいいきさつがわかった。
ハベルさんはナチスから逃れようと親戚の家に身を寄せ3年間息をひそめるように暮らしていた。
しかし1941年の11月に連行っされて森の中で銃殺されたのである。
ハベルさんのプレートが完成したこの日
ブフルムさんの呼びかけでプレートづくりに必要な寄付をした市民などが集まった。
現在イギリスで暮らすハベルさんのおいもかけつけた。
(ハベルさんのおい)
「私たちの家族の苦しみが繰り返されないようにという人々へのメッセージになってほしい。」
ブフルムさんはいまの時代こそホロコーストの悲劇を風化させないことが大切だと考えている。
(ゼバスティアン・ブフルムさん)
「ドイツではいま難民への対応が課題だ。
 この取り組みで外国人を排除する考えが少しでも無くなればと思う。」
路上に静かに輝くプレート。
多くの人たちが犠牲になった過去を忘れてはいけないという市民1人1人の思いが込められている。

 

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格差解消 アメリカの共同住宅

2015-01-26 08:00:00 | 海外ネットワーク

1月18日 NHK海外ネットワーク


アメリカのニューオーリンズ。
プールやジムもあるマンション。
住民たちの経済格差を解消することを目指して建てられた。
さまざまな施設が利用できる3LDKのマンションの家賃は月2万円ほどで借りられる。
住民のウイリアムズさんは本来は家賃が18万円ほどの部屋だが3万円で住んでいる。
(ウイリアムズさん)
「部屋も広いしきれいでとても気に入っている。」
同じ間取りの部屋に住むカーターさん。
高所得のため家賃は14万円ほど払っている。
(カーターさん)
「ニューオーリンズの中心街に近い割には家賃が手ごろなので住んでいる。」
行政などによる補助金などを使ってそれぞれが支払う家賃に差をつけ
あらゆる所得層が一緒に暮らせるようになっている。
この取り組みは2005年9月のハリケーン「カトリーナ」後の再開発にあたり
南部のニューオーリンズ市が始めた。
中所得者層向けのマンションを低所得者層が多く住む地価が安い地区に建てる。
このマンションには低所得者も一定の割合で入居するように義務付ける。
手ごろな家賃に魅かれて中所得者層がこの地区に多く移り住めば
地域一体で開発がさらに進み
治安も改善されると市当局は見込んでいる。
(都市計画を進めたニューオーリンズ市元市議)
「犯罪は格差のせいで起きる。
 一緒に暮らせばコミュニティーとしての意識が高まっていく。」
こうしたマンションでは払っている家賃に関係なく設備を使うことができ住民同士の交流が盛んである。
(住民)
「引っ越してきて間もないけど友達もできた。」
再開発の結果 この地区では年100件近く起きていた犯罪の件数がわずか2件にまで減った。
さらに市は入居者へのサービスとして
低所得者向けに就職や転職のカウンセリングも行っている。
中所得者層と一緒に住むことで刺激を受け
収入の良い仕事に就きたいという意欲を持ってもらおうという狙いもある。
しかし同じような取り組みをすすめた別の都市 西部のデンバーでは予期していなかった課題が持ち上がっている。
格差解消のを目指すマンションの近くに住んでいた男性は
治安が良くなり地価が上がったため長年住んでいた家の家賃が高くなり払えなくなった。
今は家を出て父親の家に居候中である。
「住んでいた家を追い出されるなんて納得いかない。」
別の課題も出てきている。
デンバー市では新たに集合住宅を建てる場合
低所得の人たちが補助金を受け取り安く購入できる部屋を1割以上は設けるよう定めている。
この制度を逆手に取り
安く購入したマンションを市場価格で高く売りに出す人もいる。
(マンションを安く購入した住人)
「投資としてこんなにいいものはない。」
「下の階にいた女性は投資目的で部屋を買い
 それを売ってもうけていた。」
投資目的の売買が増えると地価が上がり低所得の人たちが住めなくなってしまう。
そんな皮肉な事態を避けるため対策を急ぐべきだという声も出始めている。

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人気高まる“古来の漢字”

2015-01-25 08:00:00 | 海外ネットワーク

1月18日 NHK海外ネットワーク


中国で使われている簡略化された漢字 簡体字(かんたいじ)
中国政府は1950年代に
国民が感じを覚えやすくして識字率を上げようと画数が少ない字体を作り出した。
全部で2000もの簡体字が作られた。
中国ではこの簡体字が一般に普及しているが
画数の多い昔ながらの漢字は香港や台湾などで使われている。
しかし今若者たちの間で画数の多い古来の漢字の人気が高まっている。

上海の繁華街のあちこちで見られる簡略化された漢字 簡体字。
歓迎、広場などどれも簡体字である。
天気予報のテレビの字幕も
習近平国家主席の名前も簡体字である。
政府の指導のもと中国では簡体字が使われてきた。
しかし今カラオケ店のモニターに映し出される歌詞には昔ながらの漢字が使われている。
若者の間で流行っている香港や台湾の歌では現地で使われる中国古来の漢字を歌詞の字幕に使っていいのである。
中国の若者たちの間ではこうした古くから使われる漢字が話題となりインターネット上でも大きく取り上げられている。
美しく躍動的な感じが好き
古来の漢字への思いが高まる
パソコンやスマートフォンを使いこなす若者たちは画数や字体の複雑さに戸惑うことは無い。
むしろ台湾や香港など流行の発信地で使われる昔ながらの漢字が若者たちには新鮮に映る。
「古い漢字はかっこいいしキャラが立っている。」
古来の漢字に対する人気は幅広い世代に広がっている。
書道教室には大人から子どもまで多くの人が通っている。
画数が多く複雑なのに整っているところが魅力だと言う。
古来の漢字に触れることが出来る貴重な機会とあって通う人が年々増えている。
(書道教室の先生)
「画数も多いうえに形も複雑なので覚えるのは難しいと思う。
 でも次第に慣れてきて子どもたちも好きになっている。」
一方 香港では簡略化された字体を使わず中国古来の複雑な漢字を使い続けている。
しかしいま町では簡体字が増え始めている。
その理由は中国本土から訪れる観光客である。
年々増え続け今では年間4000万人にのぼる。
観光客を意識して新たに設置された両替所の看板には簡体字も使われている。
香港に広がる簡体字。
中国の影響力拡大に危機感を抱いて抗議行動を行ってきた学生からは懸念の声が聞かれる。
「今の香港の文化や言葉など独自のものが
 中国本土の影響をじわじわと受けてきている感じがして心配。」
香港の専門家は
それぞれの漢字の特徴を理解しながら使い分けることが重要だと話す。
(香港理工大学 陳教授)
「中国の文化を伝承するには古くからの事態が良いと思う。
 簡体字も実用的観点から知っておく必要がある。
 中国の大事な文化的資源なので保護していくことが大切。」

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原油価格下落 ロシアとアメリカ

2015-01-16 08:00:00 | 海外ネットワーク

1月11日 NHK海外ネットワーク


いつもの年明けと同じように華やいだ雰囲気に包まれたモスクワの町。
しかし今のロシア政府にはお祝いムードに浸る余裕はない。
去年から原油価格の下落が続いているためである。 
(12月25日 政府閣僚会議 ロシア プーチン大統領)
「今年に限っては政府関係者は長期間の休みを取る余裕はないはずだ。」
プーチン大統領は閣僚たちに新年の休暇を返上してでも対応にあたるよう異例の指示。
原油価格の浮揚にまさにロシアの国の命運がかかっているからである。
2000年に就任以来 急速な経済成長を背景に権力基盤を固めていったプーチン大統領。
その経済成長を支えてきたのが安定した原油価格だった。
原油の輸出はロシアの国の歳入の4割をも占めている。
しかし去年7月以降 その原油価格は大幅に下落。
原油に支えられてきたルーブルの価値が下がりロシア経済にも影響を及ぼしている。
食料品や家電製品も輸入に頼っているためロシアでは去年1年間で物価は11%余上昇したとみられている。
(市民)
「年金では暮らせないのではと心配。」
「政府には知恵を絞ってもらい生活に困らないようにしてほしい。」
原油安は中小企業を中心に人々の雇用にも打撃を与えている。
中でも観光業では倒産が相次ぎロシア全土で4,000人が失業したと推定されている。
(旅行会社社長)
「倒産の順番を待っているようなものだ。
 この先どうなるかわからない。
 状況を見守るしかない。」
こうした状況にプーチン大統領は地場産業を育てるなどして
原油の輸出に依存してきたロシアの経済構造を改革するとしている。
(ロシア プーチン大統領)
「経済の多角化を必ず実現させ
 現在の経済的な苦境を切り抜ける。」
しかしウクライナ情勢をめぐって欧米から経済制裁を受けているいま
こうした改革を進めるのは容易なことではないと専門家は指摘する。
(経済アナリスト)
「構造改革まで行うとすればロシアに混乱をもたらすことになる。
 いまロシア経済にたくさんの課題を抱えさせるのは大きなリスクとなる。」

ロシアとは対照的に原油安が人々の購買意欲をかき立て経済にとって追い風になるとみられているのがアメリカ。
アメリカではガソリンの価格が大幅に値下がりしていることを受けて大型の車の販売が特に好調である。
マイカーに使うガソリンの値段が下がったぶん資金に余裕が出来た人たちが次々に新車の購入に販売店を訪れている。
(新車を買った男性)
「退職者には1ドルでも安いと助かる。
 買う決断を後押ししてくれた。」
アメリカの新車の販売は10か月連続で前の年を上回っている。
GDPの70%以上を占めるとも言われる個人消費。
原油安が消費拡大をけん引して好調な景気につながっているのである。
(エネルギー分野に詳しい経済アナリスト)
「原油安はアメリカにとってプラスでGDPを押し上げる可能性がある。
 消費者はガソリンにかけていたお金で他の物を買うことが出き好循環となる。」

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円安の日本 人気の旅行先  不動産が投資対象に 

2015-01-15 08:00:00 | 海外ネットワーク

1月11日 NHK海外ネットワーク


正月の東京。
バスから降りてきたのは台湾からの旅行客。
去年 過去最多となった海外から日本への旅行者。
中でも台湾からは人口の9人に1人が日本を訪れた計算である。
円安の中一番の目的は買い物。
同じブランドでも日本で買う方が台湾より安いとして化粧品や衣料品が人気である。
袋一杯にまとめ買いする人も少なくない。
「円安はとてもありがたい。
 なんでも安く買える。」
「夢中になってどんどん買ってしまった。」
台湾の旅行会社にとって日本への旅行客は収入の柱である。
旅行客をさらに増やそうととりくみを進めている。
日本を繰り返し訪れている人を「達人」に認定。
日本でのおすすめの過ごし方を紹介してもらっている。
達人のひとり 郭さんはこれまでに60回以上日本を訪れた。
郭さんが紹介するのはお得な買い物の仕方。
台湾の3分の1の値段で買い物をしたこともあるという郭さん。
どの商品をどこで買うと得をするのかなどブログなどで日本の魅力を紹介している。
(郭さん)
「日本での買い物はより魅力的になってきている。
 私の経験をみんなに知ってもらいたい。」

日本には投資家たちも注目している。
東南アジアの金融センター シンガポール。
円安のいま日本の不動産がターゲットである。
先月 投資のためにと日本のマンションを販売する説明会が開かれた。
売り込んでいるのは東京都心にあるマンション。
銀座などに近く収益性が高いとアピールする。
説明会にやってきたのは公立学校の教師やIT企業の社員など
夫婦共働きで所得を増やしてきた人たちである。
投資が目的の参加者たちは実際に物件を見ることなく次々に購入を決めていった。
販売開始から3か月で用意した30部屋はほぼ完売となった。
(説明会に参加した人)
「円がとても安い。
 シンガポールドルを円に替えることは大きな利益を生む。」
シンガポールでは近年 不動産市場へ資金が流れ込みマンションの価格が高騰するようになった。
一方東京はシンガポールと比べて住宅価格は低い水準にある。
今回売り出された東京都心の新築マンションは2LDKの物件で約6,700万円。
シンガポールでは同じような物件が1億円以上はするという。
(不動産投資をアドバイスする会社 米倉稔社長)
「外国から見ると日本の不動産の割安感がますます強まっている。
 今のうちに投資しておこうという人がほとんどだ。」
東京には専門家も注目している。
世界150か国余で会計のコンサルティングを行っている会社では
オリンピックの開催が決まった東京を
今年アジア太平洋地域で不動産投資が活発に行われる年のランキング第1位に挙げている。
(市場調査の専門家)
「日本の見通しは良好だという見方だ。
 市場の関心は高い。」
投資家たち
そして旅行客。
円安が呼び水となり日本への関心は一段と高まっている。

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米との関係改善へ キューバで高まる期待

2015-01-05 08:00:00 | 海外ネットワーク

12月21日 NHK海外ネットワーク

アメリカとキューバ。
半世紀以上にわたって国交を断絶してきた両国の関係が歴史的な転換点を迎えた。
アメリカのオバマ大統領とキューバのラウル・カストロ国家評議会議長は同時に演説し
国交正常化に向けた交渉を開始すると発表した。

“カリブ海の真珠”とも称えられる風光明媚な島国キューバ。
アメリカ南部のフロリダからわずか150キロほどのところにある。
アメリカとの関係改善の動きに国民は喜びに沸いた。
革命後いまも続くアメリカの経済制裁。
50年前から建物や道路などインフラ整備は進んでいない。
深刻なのが物資の不足である。
首都ハバナの中心街にある大型スーパー。
キューバ一の品ぞろえだといわれるこの店の商品棚もガラガラに空いている。
国交正常化で物資の持ち込みが緩和されれば品薄も改善するのではないかと期待されている。
「経済制裁でかなり不自由な思いをしている。
 制裁解除となれば多くの利益をもたらしてくれる。」
関係改善を待ちわびてきたのが外貨獲得の手段として国を支えてきた観光業である。
キューバの革命広場。
車の輸入が制限された結果
現役で走るアメリカ製のクラシックカーが人気である。
訪れるのは主にロシアや中国など友好国からの観光客。
(中国人観光客)
「キューバは大好き。
 景色がいい。」
そこにアメリカの観光客が加われば経済再建を後押ししてくれると期待されている。
(レストランの従業員)
「キューバとアメリカは大きな可能性を持っている。
 だから観光がのびればキューバの経済も成長するだろう。」
アメリカの文豪ヘミングウェイが20年以上にわたって暮らし執筆をつづけるなど
キューバは世界の数々の芸術家や作家を魅了してきた。
自らも多くの芸術家をはぐくんできたが
アメリカに活動の場を広げようとしても渡航禁止などの厳しい制限を受けてきた。
カルロス・アイレスさんも関係改善を期待している芸術家の1人である。
観光客向けに絵画を売って生計を立てている。
制裁の緩和で往来が自由にできるようになれば
アメリカの人たちに自分の作品を売り込むチャンスが飛躍的に増えるのではと考えている。
(カルロス・アイレスさん)
「これまでとは異なる両国の関係になる。
 特に芸術の分野には利益をもたらす。
 長い間待ち望んでいたことだ。」

キューバが一番に期待しているのは金融取引を対象にした制裁の解除である。
金融制裁の結果 アメリカはもちろん友好国からの送金もままならず
多くの外国企業がキューバに投資することが出来なかった。
制裁解除で投資環境が劇的に改善し外国からの投資も期待できる。
このほかアメリカに亡命した家族からの送金が増えて生活が楽になるのではないかと期待の声も上がっている。
ラウル・カストロ議長は
“キューバがアメリカに民主主義からの変化を求めなかったように
アメリカもキューバに社会主義体制の変化を求めるべきではない”
と述べアメリカをけん制した。
経済を立て直したいものの急激な変化は望まず
あくまでも現体制を維持しながら国民の生活を改善したい考えである。
格差が生まれれば国を支えてきた社会主義体制
つまり国民の平等が揺るぎかねないという懸念がある。
経済の再建と体制の維持のバランスを計りながら
アメリカとの国交正常化交渉に臨むことになる。



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“2つの被災地”教訓を胸に

2015-01-04 08:00:00 | 海外ネットワーク

12月21日 NHK海外ネットワーク


10年前の年の瀬
インド洋の沿岸地域一体が巨大な津波に襲われた。
インド洋大津波は東南アジアだけでなくアフリカの東部にまで到達。
死者・行方不明者 合わせて22万人超の未曽有の被害をもたらした。
このときインドネシアのバンダ・アチェでは津波で6万人以上が犠牲になった。
あれから10年。
建物の再建など町の復興は進んだものの
災害に強い町をどう築いていくのかという課題は残ったままである。
そのバンダ・アチェで
東日本大震災で自らが学んだ経験を生かそうとしているインドネシア人の男性がいる。

今年10月 バンダ・アチェ市で行われた津波を想定した避難訓練。
10年前に大津波の経験を忘れないようにと毎年行われている訓練。
しかし参加者の中には当時のことを思い出し泣き出してしまう人もいた。
この訓練を企画したのはバンダ・アチェ市の職員 ハフリザさんである。
自らも大津波で被災したハフリザさんは
訓練に住民の1%程度しか参加せず落胆した。
大津波から10年
他の地域から移り住んできた住民も多く
津波に対する危機感が薄いとハフリザさんは感じている。
「ここに最近住み始めたのでよくわからない。」
「災害に備える必要はない。」
さらに再建された町の作りも防災を意識したものではないとハフリザさんは指摘する。
(ハフリザさん)
「海のそばに住宅が無秩序に建てられている。
 いざというときに避難しにくくなっている。」
大津波のあと町の復興を急ごうと急ピッチで住宅が再建された。
そのため道幅は狭く曲がりくねったまま。
避難路の確保など災害への備えが後回しになってしまったとハフリザさんは考えている。
(ハフリザさん)
「災害を意識した町の復興計画を立てなくてはいけない。
 住民と共に考える必要がある。」
実はハフリザさんは今年3月までの1年間
日本で防災対策を学んでいた。
JICA国際協力機構の支援で
震災の被災地 宮城県東松山市で研修を受けていた。
被災者から直接話を聞いたハフリザさん。
日本では学校が避難所に指定されていること。
そして避難ルートの決定に住民の意見を取り入れていることを初めて知った。
日本人ひとりひとりの防災意識の高さをハフリザさんは感じた。
(ハフリザさん)
「興味深かったのは住民自ら災害に備えて必要なものをそろえていたこと。
 住民が意識することがとても大切。」
日本で自分が学んだことを生かしたい。
帰国したハフリザさんは災害に備えることの大切さを住民に知ってもらおうと動き出した。
目をつけたのは大津波のあと市内に建てられた津波からの避難場所となるビル。
屋上に救助用のヘリポートを備えた4階建てのこのビルは普段はコミュニティーセンターとして使われている。

6年前に日本のODA財布開発援助で建てられた。
しかしここが避難場所となることは住民の間に十分には浸透していない。
こうしたビルを住民が気軽に足を運べるっ場所にしようと
ハフリザさんはインターネットの環境を整備。
さらに津波の写真展を開くなどして住民に防災の大切さを呼びかけていく計画を立てた。も
帰国後も週に一度は東松山市を連絡を取り合っているハフリザさん。
大津波から20年になるバンダ・アチェの防災対策を万全なものにしていきたいと決意をあらたにしている。

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ロシア ルーブル急落の波紋

2014-12-31 08:00:00 | 海外ネットワーク

12月21日 NHK海外ネットワーク




原油価格の下落を背景に主な資源国の通貨が軒並み売られる展開となっていて
中でもロシアは事態が深刻である。
原油価格はこの半年間で50%近く値下がりしたが
同じ期間にルーブルも売られていてドルに対して約50%も急落している。
ウクライナをめぐる欧米の制裁でただでさえ打撃を受けていたロシア経済は一段と苦境に追い込まれている。

(ロシア プーチン大統領)
「誰にもわからないが最悪の状況は2年続くかもしれない。」
急激に下落した通貨ルーブル。
ルーブルをドルやユーロに帰る動きが加速し
銀行は両替の一時停止に追い込まれた。
国民は生活を守るための自衛策に乗り出している。
商店には連日 長蛇の列。
食料品から家電製品まで多くを輸入に頼っているだけに
物価の高騰を心配する人たちが買いだめをしようと駆け込んでいる。
(訪れた客)
「欲しかったもの
 必要なもの
 買うなら今のうちだ。」
ルーブルを物に変えておこうという動きは高価な商品にも広がっている。
日本車を扱う販売店には大勢の客が訪れている。
販売価格が据え置かれている車種を中心に売れ行きは好調。
ロシアでは自動車は中古でも高値で売ることができ資産価値が落ちにくいからである。
(自動車販売店の販売部長)
「みんな車に変えて資産を守ろうとしているのです。
 今後はどうなるのか全く先は見えません。」
いま特に不安を抱いているのは高齢者たちである。
モスクワ郊外のアパートで独り暮らしをしているアントニナ・カルガシナさん。
生活は月に3万円の年金で賄っている。
何件も店を回ってはマカロニやソバの実など安くて保存のきく食料を買い求めなんとかやりくりしてきた。
「薬を買いたくて薬局に行ったけど値段が高くて我慢したの。」
カルガシナさんは高血圧や関節の持病を抱えている。
薬代に年金の3分の1を当てているがこのままでは必要な薬が買えなくなってしまうと心配している。
「弱者を切り捨てることはしない。」
12月18日の記者会見でプーチン大統領は高齢者を守ることが最優先だと重ねて強調した。
(ロシア プーチン大統領)
「最も重要なのは社会保障だ。
 物価に合わせて年金も上げる。
 社会保障に特別の関心をはらっていく。」
かつて深刻な金融危機を乗り越えたロシア。
今の生活への不安もいずれは解消されるとカルガシナさんは信じている。
(アントニナ・カルガシナさん)
「あまりにも物価が急激に上がったら薬も買わなくてはならないし大変です。
 でもすべては一時的なものでうまくいくようになりますよ。」

1998年の通貨危機を知るロシアの人たちは比較的冷静に受け止めている。
当時ロシアは対外的な債務を返済することが難しくなり国債の償還を繰り延べる事態となった。
世界経済にも大きな影響が出た。
今回状況が異なっているのは
ロシアの外貨準備高が当時の30倍以上と格段に増えているということである。
現時点では対外的な債務を返すだけの資金はある。
しかし必ずしも楽観はできない。
原油価格は底値が見えない状況で当面は安値圏で推移しそうである。
ロシアを含めた資源国や新興国から大量に資金が流出して世界経済の足を引っ張るのではないか
という懸念はぬぐえない。
そしてウクライナ情勢がどういう方向に向かっていくか。
オバマ大統領は
ロシアが緊張緩和に動くのであれば経済制裁を緩める用意がある
という趣旨のことを言ったがロシアに譲歩の兆しはみられない。
原油安の欧米の制裁の二重苦を抱えた状況でプーチン大統領がどこまで強気の姿勢を貫いていくのか
来年も国際情勢を左右する大きな要素になりそうである。


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外交支える「公邸料理人」

2014-12-26 08:00:00 | 海外ネットワーク

12月14日 NHK海外ネットワーク


和食は世界各地で日本の大使が要人を公邸に招いてもてなす際の重要な手段となっている。
大使が振舞う和食を調理する人たちは「公邸料理人」と呼ばれている。
大使に付くいわばお抱えの料理人で「味の外交官」とも呼ばれている。
公邸料理人は現在世界に約200人いるが
日本人のなり手が足りず約30人は外国人である。

ネパール カトマンズの日本大使公邸に地元の有識者を招いて開かれた晩餐会。
意見を交わし人脈を築く外交の重要な場である。
ゲストに出されたのは和食のコース料理。
秋に咲くヒマラヤ桜の花が添えられ季節感も表現されている。
作ったのはタイ人の公邸料理人。
拍手で迎えられた。
「サンキュー ラブリーフード!
 デリシャス!」
(小川正史ネパール大使)
「みなさん 非常に喜んで帰る。
 公邸料理人は外交活動という面でとても力になってくれている。」
ピトゥーン・チャイヤサットさん(36)。
公邸料理人は食材の調達から調理まですべてを任される。
ピトゥーンさんは5年前に行程料理人となりベトナムやパナマでも腕を振るってきた。
生活の厳しい国に赴く公邸料理人に手を挙げる日本人は年々減り続け
いまやピトゥーンさんのような存在は欠かせなくなっている。
日本とは同じ食材が簡単にそろうわけではない。
大葉など和食に欠かすことのできない食材は自ら栽培する。
細やかな包丁さばきで松葉を表現し盛り付けていく。
(公邸料理人 ピトゥーン・チャイヤサットさん)
「季節・美しさ・味
 すべてを表現してこそ日本料理といえます。」
ピトゥーンさんが本格的に和食を学んだのは
日本の外務省がタイで開催した公邸料理人を養成するための講習会だった。
外務省はこうした講習を受けた料理人を公邸料理人の候補として各国に赴任する大使に紹介している。
講習会が開かれているのは世界でタイだけで
これまでに72人のタイ人の公邸料理人を輩出している。
タイの首都バンコク。
多くの日系企業が進出し日本食レストランが軒を連ねている。
タイ国内に2000軒以上あると言われ優秀な料理人を見つけやすい。
日本料理店で働きながら行程料理人を目指しているタワット・ピナサーさん(27)。
公邸料理人になれれば給料は今の2倍になり和食の料理人として高いキャリアを築くことができる。
タワットさんは今回 外務省の講習会に参加した。
仕事の合間に週5日毎日3時間 和食の手ほどきを受ける。
出汁の取り方や包丁の研ぎ方などあらためて基礎から学ぶ。
日本料理店で8年のキャリアがあるタワットさん。
しかし講習会では戸惑う場面も多くあった。
そのひとつが盛り付け。
きれいに盛り付けようとするあまり時間をかけすぎてしまう。
(タワット・ピナサーさん)
「すごく繊細できちんとしている。
 これまでの自分のやり方とは全然違う。」
3か月に及んだ講習の最終日。
大使や日本人の料理人などを招いていわば卒業試験が行われた。
協力して料理を作っていく受講生たち。
タワットさんも課題だった盛り付けを必死にこなす。
受講生たちの料理は「味が濃い」「コシが無い」などと厳しい批評を受けた。
しかし期待も寄せられている。
(佐藤重和タイ大使)
「まず勉強して基礎を固めスタートしてもらう。
 短期間で身につけるのは難しいと思うが。」
講習が終わりタワットさんたちはそれぞれの店に戻って腕を磨きながら世界中に赴任する大使館からの誘いを待つ。
(タワット・ピナサーさん)
「料理に失敗したら客との関係にひびが入るかもしれない。
 大使のために料理をするのは難しいがきちんとできるよう努力する。」

外務省の講習会にはだれでも参加できるわけではなく
協力している現地の日本料理店からの推薦が必要となる。
参加者は優秀な人材を探している大使らとの面接や実技の試験などをパスして
ようやく公邸料理人になることが出来る。

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エボラ出血熱 研究者がみた課題は

2014-12-25 08:00:00 | 海外ネットワーク

12月14日 NHK海外ネットワーク


西アフリカで流行が続きいまだに収束の見通しがたっていないエボラ出血熱。
世界各国では水際対策に加えてワクチンや治療薬の開発も急がれている。
しかし課題も浮き彫りとなってきた。

アメリカのNIH国際衛生研究所。
エボラウィルスに効果のあるワクチンの実用化に近づいたとして
来年半ばには完成する見通しを11月に明らかにした。
(米 NIHアレルギー感染症研究所 ファウチ所長)
「臨床試験はうまくいった。
 心配された副作用もなく強い免疫反応を確認できた。」
ワクチンはアメリカだけでなく世界各国の研究者たちが開発を急いでいる。
その開発に欠かせないのがバイオセイフティーレベル4
通称BSLー4と呼ばれる施設である。
密閉した部屋で宇宙服のような防護服を身につけて入る。
ウィルスを封じ込めるため室内の気圧は外より低く保たれている。
WHO世界保健機関は致死率が極めて高く有効な治療薬の無いエボラウィルスの取り扱いをBSLー4でしか認めていない。
エボラ出血熱の流行が爆発的に起きている西アフリカ。
患者の数はすでに1万8,000人を超え6,000人以上が死亡している。
現地ではワクチンを開発できる施設は無く感染の拡大を食い止めることが出来ない状況である。
日本でも警戒感が高まっているエボラ出血熱。
その研究の最前線の一つが長崎大学である。
エボラ出血熱の研究で日本を代表する研究者の1人安田二郎教授。
国内では爆発的な流行を食い止める環境が十分に整っていないと危機感を持っている。
安田教授は感染者をできるだけ早く把握するためエボラウィルスを簡単に検知できるキットを開発した。
感染者が出たナイジェリアの研究者とも情報を共有しながら研究を進めている。
安田教授が研究に使用しているのは長崎大学の中にあるBSL-4よりも封じ込めのレベルが低いBSL-3の施設。
しかしここでは実際のエボラウィルスを扱うことはできない。
国内には現在BSL-4はひとつも無い。
エボラのような未知のウィルスは感染が広がる段階で変異する恐れがある。
仮に日本で感染が広がった場合
外国で開発中のワクチンが効かず独自にワクチンを開発しなければならない可能性もある。
ワクチンを国内で開発すrためには「BSL-4」が必要となる。
(長崎大学 熱帯医学研究所 安田二朗教授)
「日本にBSL-4の施設がないことは大きなリスクだ。
 目前の脅威となる前に対策をとらないときちんとした感染症対策が取れなくなる。」
国内にはまだBSL-4がないので安田教授たちはBSL-4が使える南アフリカにまで出向いている。
(長崎大学 熱帯医学研究所 安田二朗教授)
「この施設は通常は3層構造で真ん中のフロアが実験室になる。」
安田教授たちは日本の10の大学や研究機関と連携し
総力を挙げてBSL-4の建設を目指している。
国内でエボラ出血熱に対応するワクチンや治療薬が出来る環境を早く整備する必要があると考えている。
BSLー4で使用する予定の防護服も準備している。
防護服の中の気圧を高めウィルスが中に入らないようになっている。
BSLー4は長崎大学の中に整備される計画である。
しかし大学が人口密集地にあるため周囲の住民からは不安の声があがっている。
安田教授たちは住民たちに集まってもらい説明会を開いている。
(長崎大学 熱帯医学研究所 安田二朗教授)
「3重以上のフィルターを通らないと外に空気は出ない構造になっています。」
こうした説明会をこれまでにr70回以上開いて施設の安全性をアピールしている。
しかし住民からは
・地震の蔡に安全性が保てるのか
・周囲に住宅の無い場所に作るべき
といった声が相次ぎ不安は払しょくできていない。
安田教授は
デボラ出血熱の対応が喫緊の課題である日本にとって施設がきわめて重要であることをt理解してもらい
計画を実現させたい考えである。
(長崎大学 熱帯医学研究所 安田二郎教授)
「対岸の火事と思っている間はこういう施設はできない。
 少なくとも5年6年という年月が稼働させるまでには必要なので
 非常に厳しい対応を迫られている状況に陥るというふうに考えている。」

 

 

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“児童結婚はやめて”パキスタンの少女たち

2014-12-22 08:00:00 | 海外ネットワーク

12月7日 NHK海外ネットワーク


ノーベル平和賞受賞者 17歳のマララ・ユスフザイさんは身の危険を覚悟で教育の大切さを訴えてきた。
母国パキスタンではマララさんに共鳴する少女たちが立ち上がった。

マララさんの故郷パキスタン北西部のスワート地区。
子どもの権利を守るために活動するグループを10代の少女たちが結成した。
「人権のための女子連合」
同じ学校に通う子供たちの活動が人づてに伝わり
今では30人以上が参加している。
リーダーを務めるのは12歳のハディカ・バシールさん。
(ハディカ・バシールさん)
「『誰かに頼るのではなく自分自身で努力して権利を勝ち取るべきだ』
 というマララさんの考え方。
 私はとても好きです。」
いま熱心に取り組んでいるのは
幼い年頃で結婚を強要され教育の機会を奪われる児童結婚の撲滅。
(ハディカ・バシールさん)
「私たちが直面している最大の問題は児童結婚よ。」
パキスタンでは女性の4人に1人が18歳未満で結婚している。
法律に反して10代前半で結婚を強いられるケースも珍しくない。
親が生活苦から幼い娘を嫁がせてしまうことが背景にある。
いま望まない結婚を迫られている12歳の少女がいる。
父親が借金の肩代わりとしてあったこともない35歳の男性と結婚するよう命じられた。
(結婚を命じられた12歳の少女)
「結婚の話を聞いたときショックだった。
 でも父は『他に選択肢はない』『結婚しなければ殺す』とまで言った。」
幼女は結婚を拒んで家を抜け出し母親の実家にのがれている。
そしてNGOの支援を受けているがそこには娘を取り戻そうとする父親から執拗に電話がかかってくる。
(娘の父親)
「娘に何をするんだ?」
(少女を支援するNGOの代表)
「何のこと?
 よくわかりません。」
(少女の父親)
「父親な私だ。
 教育を受けさせるかどうかは私の勝手だ。
 あなたは関係ない。」
少女は勉強して教師になりたいと願っているが
父親に連れ戻されるのを恐れ学校にも行けないままである。
(少女を支援するNGOの代表)
「娘を押さないうちに結婚させてしまうと教育を受ける機会が奪われる。
 本人のその後の人生も台無しになってしまう。」
こうした現状を変えようと立ち上がったハディカさんたち。
15歳の少女が結婚を迫られていると聞きつけその家に乗り込んだ。
(「人権のための女子連合」ハディカ・バシールさん)
「娘さんを結婚させようとしていると聞いた。
 結婚にはまだ早いと思う。」
(少女の母親)
「教育を受けさせるだけの余裕がない。
 だから結婚させるしかない。」
ハディカさんは学位の負担を少なくするために地元の有力者などに協力を仰ぐことなどを伝え必死に説得を続ける。
(ハディカ・バシールさん)
「娘さんもいつかマララみたいになれる。
 学校を卒業して成功を収めるはず。」
(少女の母親)
「わかった。
 あなたたちが支えてくれるなら娘を学校に行かせてもいいわ。」
母親も最後は理解してくれた。
(親に結婚を迫られた少女)
「家にまで来て母親を説得してくれてうれしい。」
(ハディカ・バシールさん)
「人々の考え方を変えたい。
 女性には自分たちに様々な権利があることを知ってもらいたい。」

権利を自ら勝ち取ろうと自ら呼びかけ続けてきたマララさん。
その精神は母国の若い世代に着実に広がっている。

 

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インド 児童労働撲滅 ノーベル賞の活動家

2014-12-19 08:00:00 | 海外ネットワーク

12月7日 NHK海外ネットワーク


インドの人権活動家 カイラシュ・サティヤルティさんがノーベル平和賞を受賞。
貧しい家庭の子どもが家計を支えるために働かされる児童労働を無くすことを訴えてきた。

カイラシュ・サティヤルティさん(60)は30年以上にわたって児童労働を無くすための取り組みを続けている。
きっかけは幼いころに見た光景だった。
(サティヤルティさん)
「私と同じくらいの5歳か6歳の子どもが学校に通わず靴を磨く姿に衝撃を受けた。
 その姿に怒りを覚えるのと同時に居心地の悪さを感じた。」
インドの貧しい家庭では家計を支えてもらうため幼いころから子どもを働かせることも少なくない。
その数は政府が把握しているだけで400万人以上にのぼる。
背景には
いまだ国民の3人に1人が1日約150円未満の貧しい生活をしている現状がある。
サティヤルティさんは大学卒業後大学の教員として働いていたが
貧しい子どもたちを救いたいと仕事を辞めNGOを立ち上げた・
警察や行政機関と共に工場などに次々と踏み込んでは奴隷のように働いている子どもたちを救いだしてきた。
子どもの救出は容易ではない。
抵抗する雇い主に銃で脅されるなど危険な目に合いながらも活動を続けた。
救出した子どもの数はこれまでに約8万人にのぼる
救いだした子どもが再び労働を強いられないようにサティヤルティさんのNGOでは保護する施設も運営している。
施設に来たばかりの子どもの中には過酷な環境で働かされ心に大きな傷を負った子どもも多くいる。
「心配しなくていいよ。
 もう解放されたでしょう。
 君はもう自由の身でしょう。
 それともまだ奴隷?
 奴隷じゃない。
 君は自由だ。
 遊んで楽しむことが出来る。
 これが自由ということだ。」
(サティヤルティさん)
「子どもたちにはまず自由とは何かを知ってほしい。
 そして他の人を信頼する気持ちを取り戻してほしい。」
施設では子供たちが失った教育の機会を与えることに力を入れている。
国語や数学など学校に通うために必要な知識を教えている。
この施設を巣立った若者も活動を支えている。
そのひとりで大学生のキンシューさん。
車を洗う労働をさせられていた8歳の時に保護されてこの施設で育った。
大学で機械工学を学ぶかたわら
休みの日には施設を訪れ子どもたちに勉強を教えている。
(キンシューさん)
「この施設に来て勉強し子どもらしく生きるチャンスをもらった。」
(サティヤルティさん)
「児童労働は読み書きができない親の問題
 貧困の問題など多くの要因が絡んでいる。
 社会・政府・企業などすべての人が協力して取り組まなければならない。
 児童労働の撲滅は私の人生をかけた使命。
 生きている間に世界から無くなってほしい。
 そうできると信じている。」


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財政難続くイタリアのオペラ

2014-12-11 07:30:00 | 海外ネットワーク

11月30日 NHK海外ネットワーク


オペラ発祥の地イタリアでこの冬のシーズンの公演が始まった。
イタリアのオペラ界では多くの劇場が厳しい経営を強いられている。
ユーロ危機後の景気の低迷が続く中で政府はオペラをはじめとする文化・芸術活動への支援を大幅に削減した。
オペラを楽しむゆとりのある人も減っていて観客数はのび悩んでいる。
中でも苦境に陥っているのが130年の伝統を誇り
今年来日公演も行ったローマ歌劇場である。

ローマ歌劇場では11月27日に今シーズンの舞台が華やかに幕を開けた。
初日の演目は王子に恋した妖精の運命をえがいたドボルザークの“ルサルカ”。
実はこの歌劇場はほんの数日前まで存続の危機に直面していた。
国やローマ市からの補助雄金に運営費の半分以上を頼ってきた歌劇場。
補助金を大幅に削られたため劇場側はこの秋大胆なリストラを団員に示していた。
(10月3日 ローマ歌劇場の会見)
「オーケストラと合唱団員全員の解雇が決まった。」
毎月決まった額の給料を支払ってきた団員200人全員を年内でいったん解雇。
来年からは出演回数に応じて報酬を支払うという案だった。
歌劇場の赤字は去年1年間だけで19億円。
公演回数を増やすことなどで赤字を埋めようとしたもののそれだけでは足りず
劇場側は団員のリストラに踏み切ろうとしたのである。
合唱団でバリトンを務めるフランチェスコ・メリスさんは入団して32年。
伝統ある歌劇場の舞台を支えてきた。
(合唱団員 フランチェスコ・メリスさん)
「私たちは音楽にかかわっているからこそ誇りを保て充実感も得られる。
 みんなで少しずつ我慢して危機に立ち向かって行く。」
しかし職を失うことになろうとは想像すらしていなかった。
30万円の月給無くして妻と娘2人の暮らしをどう守っていくのか途方に暮れたと言う。
音楽監督のロベルト・ガッビアーニさんは
開幕直前になっても皆練習に集中できていなかったと振り返る。
(合唱団の音楽監督 ロベルト・ガッビアーニさん)
「合唱団員はみんな自分たちの将来は真っ暗だと動揺していた。」
団員らは街頭でデモを繰り返し
働く場とイタリアが生んだ文化を守るよう訴えた。
リストラという最悪の事態だけは回避したい。
劇場側と何度も交渉を続けた。
開幕の直前になってようやく合意が成立。
団員の解雇は見送られたが
そのかわり劇場のスタッフ全員のボーナスが削減されることになった。
経済的には厳しくなるもののオペラを続けられる。
メリスさんたちはその喜びをかみしめながら開幕に向け再び練習に打ち込み始めた。
そして迎えた初日の舞台。
満場の拍手で幕を閉じた。
(観客)
「すばらしかった。
 オペラにはイタリアの歴史と私たちのDNAが詰まっている。」
「メンバーたちが頑張って経営が良い方向に行くことを祈っている。」

伝統の歌劇場を景気の荒波からいかに守っていくか。
華やかな舞台の陰でオペラにかかわる人たちの苦闘が続く。 
 

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「イスラム国」卑劣な人身売買

2014-12-08 07:30:00 | 海外ネットワーク

11月23日 NHK海外ネットワーク



イスラム世界で過去の時代にあった奴隷制度の復活をイスラム国が内外に宣言した。
標的にしたのはイラク北部に住む少数派のヤジディー教徒。
「悪魔を崇拝している」などいわれのない非難を受け
歴史的にも迫害されてきた人々である。
イスラム国はこのヤジディー教徒の女性たちを性的な対象として売買し国際的な批判を浴びている。

イスラム国によって人身売買の対象にされた15歳のヤジディー教徒の少女。
今年8月 住んでいたイラク北部の村がイスラム国に襲われ両親や兄弟とともに拘束された。
(人身売買されたヤジディー教徒の少女)
「8月3日の朝にイスラム国が村を襲った。
 男性は山に連れて行かれ銃で殺され
 私たち女性は捕まえられた。」
多くが難民となっているヤジディー教徒。
イラクに約50万人が暮らしているとされているがイスラム国によって住む場所を追われた。
男性は次々に虐殺され
女性は戦闘員の間で性的な対象して売買されている。
少女もシリアの都市ラッカにある女性たちを売買するマーケットに連れて行かれた。
(人身売買されたヤジディー教徒の少女)
「私や姉を含め100人ほどのj生たちが大きな住宅に連れて行かれた。」
少女は3つある部屋のひとつに閉じ込められた。
女性たちには1000ドルから1500ドルの値段がつけられたと言う。
「住宅の中にはリーダーの男がいて金と引き換えに女性を引き渡していた。」
インターネット上に掲載された映像にはイスラム国の戦闘員とみられる男たちが拘束した女性たちを買うことについて話している。
「俺は青い目の娘なら高くても買う。」
「俺なら緑の目の女だ。
 ルックスにもよるけどね。」
「ヤジディーの女が早く欲しいよ。」
部屋に閉じ込められてから5日後
少女はパレスチナ人の戦闘員に売られ自宅へ連れて行かれた。
「男は一緒に来なければ殴ると言って私を連れて行った。
 私は泣いたがどうしようもなかった。」
このときは使用人が助けてくれ
着いたその日に家からは逃げ出すことができた。
しかし見知らぬ土地ではいくあてもなく女性を売買するマーケットに戻らざるを得なかった。
「もちろん怖かったけどそこしか知らなかった。
 『なぜ戻ってきたのだ』と聞かれ男に殴られたからと答えた。」
こんどは別の戦闘員に売られた少女。
イスラム教への改宗を強要され二度と戻らないと覚悟を決めた。
「家にあった麻薬を男の紅茶に入れた。
 30分ぐらいしてのぞいてみたら眠っていたので逃げだした。」
少女はイスラム国の支配地域を抜け出したあと兄と落ち合い
難民キャンプのあるイラクの都市までたどり着けた。
しかし母と姉の行方は分かっていない。
父親はイスラム国に殺害されたと聞かされた。
親戚の元に戻った今も恐怖は消えず心が安らぐことはない。
イスラム国から逃げてきた女性たち。
その多くは少女と同じように心に深い傷を負った。
市の中心部にある総合病院。
精神科には避難生活を送るヤジディー教徒の女性が1日に30人以上訪れている。
(ヤジディー教徒の女性)
「耐えられない。
 毎日のように悪夢を見て生きていくことがつらい。」
診察を受ける女性の約4割がPTSD心的外傷ストレスを抱え中には自殺を考える人もいると言う。
(総合病院の医師)
「15歳~40歳くらいまでの若い女性が最も深刻な状況にある。
 性的な被害を受けた女性たちは自分の家族にも相談できない。」
イスラム国に尊厳を踏みにじられた女性たち。
生きる希望を失いつつある。
(人身売買されたヤジディー教徒の少女)
「学校で勉強を続けたかった。
 でもイスラム国が私たちの暮らしをめちゃくちゃにした。
 夢と希望はもうありません。」

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台湾の若者が懸念 中国影響力増大

2014-11-26 07:30:00 | 海外ネットワーク

11月23日 NHK海外ネットワーク


台湾南部の都市で市議会議員にt立候補した大学生の蔡尚媞さん(25)。
今回の選挙に合わせて新しくできたミニ政党に所属している。
(市議選に立候補した 蔡尚媞さん)
「私のような若者が立候補したのは政治の世代交代のためです。」
蔡さんが政治の道を目指すきっかけとなったこの春の抗議活動。
多くの若者が経済協定によって中国の影響力が増すことになると不安を感じていた
と蔡さんは振り返る。
(祭尚媞さん)
「ひとつの政策が今後の自分たちの生活に影響を与えるとわかった。
 中国との距離感が近すぎるという話をたくさん聞いた。」
友人や家族に協力してもらいながら選挙運動を始めた際さん。
香港の若者たちの活動にも刺激を受けたと言う。
「香港の人たちはこんなに長く頑張ってすごいと思う。
 彼らは中国政府と向き合っているのだから。」
香港との連帯の気持ちを示そうと
選挙ポスターには香港の学生たちへの支持を表す黄色いリボンをつけた。
蔡さんは今回若者の声を政治に反映させようと
投票できる年齢の引き下げやインターネットを通じた情報公開の徹底を訴えている。
地方から台湾の政治を変えたいと考えている。
(祭尚媞さん)
「学生運動によって種がまかれた。
 私は地方から政治を変えたい。」
台湾では中国との経済関係が大きく変化したことにt惑いだけでなく危機感も広がっている。
30年前 中国の経済規模は台湾の約1,4倍だった。
それが急速な経済成長の結果現在では約20倍となっている。
その結果 中国本土への工場の移転などが相次ぎ主要産業の製造業が空洞化した。
若者たちが台湾でよい就職先を見つけるのは難しい状況である。
統一地方選挙が近づいた11月2日
台北では学生運動に参加した若者を中心に数百人が集会を開き政権を批判した。
「今度の選挙では現政権には投票しない。」
学生運動でリーダーを務めていた男性は
台湾の若者たちは中台の経済格差を身に染みて感じていると話す。
(学生運動のリーダーだった林飛帆さん)
「若者は月給が8万円余しかない人もいて家も買えないし結婚もできない状況。
 台湾が中国経済に依存しすぎて中国から逃げられなくなっている。」
蔡さんも台湾が中国の巨大な経済力に呑み込まれてしまうのではないかと懸念している。
(祭尚媞さん)
「中国との関係は現状維持していると思っていても
 実際は少しずつ呑み込まれているかもしれない。」
中国の影響力拡大を警戒する台湾の若者たち。
政治に積極的にかかわろうと模索を続けている。

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