ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

太陽にほえろ

2022年03月06日 | 名曲

【Live Information】


放映された翌日に、学校で「きのうのあれ観た?」と話題にしていたテレビ番組と言えば、、、
世代によって、いろんな答えがありますよね。
このお題だけで、すぐに1時間やそこらは時間が経つことでしょう。


ぼくの世代でいうと、
例えば小学校高学年~中学校時代であれば、
アニメやヒーローものでは
「仮面ライダー」「ドカベン」、
バラエティーだと
「8時だョ!全員集合」、「欽ちゃんのドンとやってみよう!」、
ドラマなら、なんといっても
「太陽にほえろ!」
でした。


          


1990年代に「月9」(月曜9時のドラマ)の大ブームが世を席捲した時は、「若者が月曜夜に出かけなくなってしまった」と言われていましたが、まだ小学生~中学生だったぼくたちも必ず金曜夜8時前にはテレビの前に待機して「太陽にほえろ!」が始まるのを待ち構えていたものです。
「太陽にほえろ!」がなぜ当時のぼくら、つまりローティーンにも人気があったのかをつらつら考えてみると、もちろんアクション・シーンは重要な要素だったでしょうけれど、劇中で起こる事件を解決だけではなく、登場人物のキャラクターが分かりやすく、またそれぞれにニックネームが付いていたので、今思うととても親近感を覚えていたからだと思うんですね。


ちなみに、早見淳(マカロニ)、柴田純(ジーパン)、三上順(テキサス)、五代潤(スニーカー)など、「ジュン」という名前の登場人物が多かったのも記憶に残っています。
松田優作さんを始め、勝野洋さん、宮内淳さん、山下真司さん、渡辺徹さんなど、このドラマがきっかけでブレイクした俳優もたくさんいます。
松田優作さんといえば、彼の殉職シーンはテレビドラマ史上に残る名場面としていまだに語り継がれています。


     
     左から 萩原健一(早見淳=マカロニ)、石原裕次郎(藤堂俊介係長=ボス)、松田優作(柴田純=ジーパン)


     
     上段左から 露口茂(山村精一=山さん)、小野寺昭(島公之=殿下)  下段左から 竜雷太(石塚誠=ゴリさん)、下川辰平(野崎太郎=長さん)


そして、「太陽にほえろ!」がぼくたち小~中学生にも大人気だった理由のひとつが、テーマ曲なんです。
演奏は井上堯之バンド。
そう、あの沢田研二のバックを務めたバンドです。
作曲の大野克夫は井上堯之バンドのオルガン奏者で、やはり沢田研二のヒット曲をたくさん書いています。


イントロのギター、それに続く井上堯之の弾く個性的なギターのカッティング。
ここを聴くだけで、画面に映し出されるタイトルバックの太陽や出演者の面々、それどころか当時のクラスの雰囲気やできごとなどがいっぺんに記憶の抽斗から蘇ってきます。
テーマのメロディは、市原宏祐によるサックス。
岸部修三(ベース)と原田裕臣(ドラムス)のリズム隊は強靭そのもので、「カッコいい」のひとことに尽きます。
とくに岸部修三のベースのロックなこと。ジョン・ポール・ジョーンズが来日時にテレビで岸部修三のプレイを見て、「とんでもない凄腕」と感動し、会いたがったといいます。


     
     左=大野克夫、右=井上堯之


番組のオープニングで流れるメイン・テーマだけじゃなくて、挿入曲でもある「マカロニのテーマ」「ジーパンのテーマ」も大好きでした。
レコードを「お店で探してみよう」という発想がそもそもありませんでしたから、番組が始まると、買ってもらって間もなかったラジカセ(ラジオ付きカセット・テープ・レコーダー)をテレビの前に置いて録音したものです。
そういう時に限って電話が鳴ったり、誰かが物音を立てて部屋に入ってきたりして、せっかくの録音がだいなしになるのです。
「また来週録音しないといけないじゃん!!」とハラをたてていたのも懐かしい思い出です。


大野克夫の書く曲は、メロディがしっとりして分かりやすいうえに、コード進行におけるマイナー部分とメジャー部分の組み合わせが絶妙で、独特の陰がある「和」の部分と、ロックの持つ「洋」の部分のブレンド具合が独特だと思うのです。
とくにこの「太陽にほえろ!」で使われている曲を聴くと血が騒ぐというか、出てくるアドレナリンが抑えられないというか。
いまだに思わず「カッコええな~」とため息が出ちゃうんですね。


「太陽にほえろ!」のメイン・テーマをステージで演奏したこともありました。
高校1年のときの文化祭です。
バンドの編成はトランペット、シンセ・ベース、ドラムに、キーボードもいたような、、、。
ぼくは先輩から「メンバーに入ってくれ」と頼まれたのですが、まだベースなんて触ってもいなかった頃で、打楽器も始めてやっと半年ほど。
しかもドラムはとてもうまかった別の先輩が叩くことになっていたので、ほかになにもできないぼくがなぜ声をかけてもらったのかは覚えていません。
担当はベース・パートでしたが、ベースが弾けるわけでもないので、友だちに借りたたった3オクターブほどの鍵盤しかないシンセサイザーでベースのような低音を作り、簡単なベースラインを弾いただけです。でもたぶんこれが、ぼくが初めて「ベースのパート」を弾いたライブだと思います。
これまた懐かしい思い出です。


     



◆太陽にほえろ!
  ■放送期間
    1972年7月21日~1986年11月14日(放送回数718回)
  ■シングル・リリース
    1974年6月10日(ポリドール) ほか
  ■演奏
    井上堯之バンド
  ■作曲
    大野克夫
  ■録音メンバー
    井上堯之(guitar)
    岸部修三(bass)
    大野克夫(keyboard)
    原田裕臣(drums)
    市原宏祐(sax)
    数原晋(trumpet 『ジーパン刑事のテーマ』)
  ■チャート最高位
    1974年週間シングル・チャート  オリコン26位(東宝レコード)、オリコン24位(ポリドール)
    1975年週間アルバム・チャート  オリコン5位(『太陽にほえろ!/傷だらけの天使』オリジナル・サウンドトラック主題曲集)
    1976年週間アルバム・チャート  オリコン56位(4周年記念盤 太陽にほえろ!ベスト)




オープニング・テーマ


オープニング・テーマ(高品質)


マカロニ刑事のテーマ


ジーパン刑事のテーマ







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