秋の夜長にはなんてジャズが似合うんだろう、と思います。
(春の夜にも夏の夜にも冬の夜にも似合う、と思うんですけれどね)
空気が澄み切って、静けさが部屋の隅々までしみ渡っているような、そんな夜です。
今夜もステージがあったので、家へ帰ったのはもう真夜中過ぎ。
軽く夜食をとったあとで、コーヒーを飲みながら、ジョン・コルトレーンの「バラード」を聴いています。
年ごとに抽象的に、難解になってゆくコルトレーンですが、このアルバムでは、とても柔らかに、エモーショナルに、テナー・サックスを吹いています。まるで、耳元で優しく歌う子守唄のような、美しい音です。
激しいブロウで強烈な演奏を繰り広げるコルトレーンのイメージとは対照的に、この作品のコルトレーンは、淡々と、率直に吹いているので、とても身近に感じられるのです。そして、コルトレーンの「歌」がたっぷりと堪能できます。
夜の暗がりに一筋の光を投げかけるかのような、色気のある音色には惹きこまれてしまいます。
とくに、冒頭の「Say It」から2曲目の「You Don't Know What Love Is」(恋の味をごぞんじないのね)への流れは出色の出来ではないでしょうか。コルトレーンのテナーの音色が、彼の内面を映し出しているようで、聴いていると気持ちがほぐれるばかりは、ちょっとばかりせつなくなります。
「I Wish I Knew」や「Nancy」などもたいへん叙情的で、聴きほれてしまいますね。
ドラムスのエルヴィン・ジョーンズは、他のアルバムよりは控え目に聴こえますが、逆にいつにも増して豊潤に歌心が流れているような気がします。
ピアノのマッコイ・タイナーと、ベースのジミー・ギャリソンのプレイも、コルトレーンの音楽にさらなる深みを与えているように聴こえます。
深夜ひとり静かにコーヒーを飲みながら、コルトレーンの音楽に浸る。こういうのも小さな幸せ、って言うんでしょうね。
◆バラード/Ballads
■演奏
ジョン・コルトレーン・カルテット/John Coltrane Quartet
■録音
1962年11月13日①~⑤、1962年9月18日⑥, ⑧、1961年12月21日⑦ (いずれもヴァン・ゲルダー・スタジオ)
■リリース
1963年3月
■レーベル
インパルス!/Impulse!
■プロデュース
ボブ・シール/Bob Thiele
■エンジニア
ルディ・ヴァン・ゲルダー/Rudy Van Gelder
■収録曲
① セイ・イット/Say It (Over and Over Again) (Frank Loesser, Jimmy McHugh)
② ユー・ドント・ノウ・ホワット・ラヴ・イズ/You Don't Know What Love Is (D. Raye, Gene DePaul)
③ トゥー・ヤング・トゥ・ゴー・ステディ/Too Young to Go Steady (Harold Adamson, Jimmy McHugh)
④ オール・オア・ナッシング・アット・オール/All or Nothing at All (J. Lawrence, Arthur Altman)
⑤ アイ・ウィッシュ・アイ・ニュー/I Wish I Knew (Harry Warren, M. Gordon)
⑥ ホワッツ・ニュー/What's New? (Bob Haggart, J. Burke)
⑦ イッツ・イージー・トゥ・リメンバー/It's Easy to Remember (L. Hart, Richard Rodgers)
⑧ ナンシー/Nancy (With the Laughing Face) (Jimmy Van Heusen, P. Silvers)
■録音メンバー
ジョン・コルトレーン/John Coltrane (tenor-sax)
マッコイ・タイナー/McCoy Tyner (piano)
ジミー・ギャリソン/Jimmy Garrison (bass)
レジー・ワークマン/Reggie Workman (bass⑦)
エルヴィン・ジョーンズ/Elvin Jones (drums)
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MINAGIさん、おつかれさまです☆
このCDは持ってますよー(笑)。
最初の曲がとろけますぅ(^^ゞ。
MINAGIさんの記事読んでまた聴いています♪
ありがとうございます(^-^)/
おお、hanaさんもこれお持ちだったんですか~
同じCD持ってるのがわかると、なぜか連帯感を覚えるんですよね~。
昨夜は記事書きながらこれ聴いてたら、結構その世界にハマっちゃいまして、3回は繰り返して聴いてしまいました。