【Live Information】
たまたまその場に集ったメンバーによって即興的な演奏を行うのがジャム・セッションです。
その場で曲を決め(コードだけ決め、そのコードあるいはコード進行に則って演奏する場合もあれば、完全に即興で演奏する場合もあります)、ヘッド・アレンジで自由に演奏するのはスリリングで楽しいものです。
アドリブが重要な要素であるジャズなどは、よくライブ・ハウスでも「セッション・デイ」を設けていて、ブルースをはじめ、「枯葉」や「オール・ザ・シングス・ユー・アー」などいったジャズのスタンダード曲が演奏されています。
同じ黒人音楽をルーツとするのがリズム&ブルース、あるいはソウル系の音楽ですが、こちらのセッションでよく登場するのが、「ホワッツ・ゴーイン・オン」と「フィール・ライク・メイキン・ラヴ」です。
「フィール・ライク・メイキン・ラヴ」には「愛のためいき」という邦題があります。でも今まで「『愛のためいき』やりましょうよ」などと言っている人を見かけたことは、う~ん記憶にないですね。なぜなんだろう。たいてい「フィール・ライク」とか「フィール・ライク・メイキン」で通じますね。
タイトルは、とっても「オトナ」なもの。
日本には「ふたりはひとつになった」とか、「あなたが欲しい」なんて表現がありますが、そーゆーことです
「そろそろ春めいてきた夜に寄り添って歩いている恋人たちを見ていると、
あなたに甘く低い声で囁きかけられると、
食卓に灯したキャンドルのもとで手を握り合っていると、あなたと愛し合いたくなってくる」
という曲です。
ガツガツした欲望をぶつける、というより、ふとしたことで感じる自然なフィーリングを歌っているんじゃないかな、と思います。
そう、その「ナチュラルな感じ」がこの曲のキーワードなのではないでしょうか。
演奏も、ロバータの歌も、なんてナチュラルな感じなんでしょう。
ちょっぴり可愛く、ちょっぴりエロティックで、ちょっぴり恥じらいがあって。
俗に「秘め事」などと言って、そういうことをあからさまに表現したり伝えたりするのにはやや抵抗があるのが日本の文化なのですが、そういう自然な感情を自然にパートナーに伝えるって、実は下品でもなんでもないことなんですね。
そしてお互いに相手の感情や感覚が満ち足りるよう思い合って接することで、ふたりの時間がよりステキなものになる、ってことです。
もともとロバータは、感情をぶつけたり、声高に主張したりするタイプのボーカリストではないのですが、この曲の声や歌い方にはムリや力みがなく、いっそうソフトに感じられます。
「こういう気持ちを察してほしい」と思うだけはなく、うるんだ眼差しで相手を見つめたり、そっと相手の肩にもたれてみたり。いわばそういった感じでしょうか。
抑えた感じの演奏がこのロバータの歌にぴったりなんです。
シンプルだけれど優しくグルーブし続けるドラムスとベース。
まさに「ためいき」のように要所要所で奏でられるエレクトリック・ピアノ。
ピアノに呼応しているかのような、セクシーなギター。
そしてグルービーなパーカッション。
パーカッションだけはリズミックなんですが、これが曲にメリハリを付けている感じです。全体的に「ゆるく流れている」サウンドとコントラストを成している、と言っていいでしょう。
決して派手なサウンドではないのですが、とても印象に残ります。
まさに「ソフト・アンド・メロウ」。
こういうサウンドも「めくるめく」と言っていいのではないかと思うのです。
「フィール・ライク・メイキン・ラヴ」には数多くのカヴァーが存在します。
ヴォーカリストとしては、「歌ってみたい」「表現してみたい」そんなふうにそそられるのでしょうね。
歌だけでなく、インストゥルメンタルとしてもよく取り上げられていますね。
カヴァーの中では、マリーナ・ショウが彼女のアルバム「フー・イズ・ディス・ビッチ・エニウェイ」に収録したヴァージョンを特筆しておこうと思います。
マリーナ・ショウ 「フー・イズ・ディス・ビッチ、エニウェイ」
よく男性は
「もろに見せられる(または見える)より、見えるか見えないかくらいにそそられるんだよ」なんてことを言ったりするんですが、それは実は音楽にも当てはまるんじゃないかな。
熱い想いを抑えた感じで出す。
これって、実はとても説得力があったりするんですね。
[歌 詞]
◆愛のためいき/Feel Like Makin' Love
■歌
ロバータ・フラック/Roberta Flack
■収録アルバム
愛のためいき/Feel Like Makin' Love(1975年)
■シングル・リリース
1974年6月10日
■作詞・作曲
ユージーン・マクダニエルズ/Eugene McDaniels
■プロデュース
ルビーナ・フレイク/Rubina Flake
■チャート最高位
1974年週間シングル・チャート アメリカ(ビルボード)1位、イギリス34位
1974年年間シングル・チャート アメリカ(ビルボード)35位
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