高校で本格的に音楽をやり始めて、※十年。最初はドラムス志望だったけれど、縁あってベースに転向しました。
ドラムって見た目が派手でしょう? 吹奏楽部のデモンストレーション演奏を見て、「これはモテる!」(こんなんばっかし・・・汗)と踏んで入部したわけですが、一年間は地味~な基礎練習ばっかりでした。そうこうするうちに地元のビッグ・バンドに誘われたのが契機となってベースを弾きはじめたわけなんですが、その頃の僕は背伸びして一生懸命オトナの仲間入りをしていた、ということと、とにかくモテようとしていたことばかりで、動機としてはかなーり不純なものだったんですね~
だからベースもジャック・ブルースやティム・ボガートらの影響を受けてやたら早弾きしようとしていたし、フロントよりも目立とうと、虎視眈々とそのチャンスを狙っていたんですね。つまり、自分がうまけりゃ良かったわけです。
ある晩、先輩に誘われて、「Four Us」というグループの演奏を聴きに行きました。メンバーは4人とも日本在住のアフリカ系米国人。経歴を聞くと、ホィットニー・ヒューストンのバックを務めていた、とか、ビリー・プレストンのバンドにいた、とか、相当なキャリアを持った錚々たるメンバーばかりだったんですね。
彼らの演奏は4人ともがそれぞれ見せ場を作り、汗をダラダラ流しながら全力を出し尽くす、実にホットなものだったんです。月並みですが、もう、とっても楽しかったです。
それを見てぼくは、「今までの自分は間違っていた」「まず楽しい演奏をしなきゃだめなんだ」「そのためには100%以上の力を出さねば」「そしてお客を何が何でも楽しませて帰さなきゃ」・・・。
他人の生演奏を聴いて感動したのは、厳密に言えばこの時が始めてだったかもしれません。それまでのぼくは自分が弾いて目立つことだけで満足でしたから。
それから何週間後だったでしょうか。「M」と言う店で大阪から来たシンガーのバックを務めることになったんですが、とにかくその時に心がけたのは「全力を尽くそう」ということでした。それはベースを弾きまくることではなくて、全力で「音楽全体に取り組んでみよう」ということだったんです。
それをテーマに2セット2時間あまりのステージが終わりました。するとある一人の男性がツカツカと近づいてきて、いきなりぼほくの手を握るなり、「良かったよ、良かったよ」と満面の笑みで言ってくれたのです。この時に、全力を出そうとする自分の姿勢がお客に伝わったこと、音楽にはそういう人を動かすエネルギーがあるんだ、ということを改めて知ったんです。
音楽の持つエネルギーのスゴさを思い知った2回目は、それから何年かのちのことですが、「A」というお店にぼくがリーダーのピアノ・トリオで出させて頂いた時のことです。たしか連休の初日だったと思うんですが、観光地にあるその「A」は早い時間から満席でした。MCもぼくが取っていたのですが、つれづれに聞いてみると、東京を始め関東、甲信越、東北、九州と、いろんなところから集まってくださってたんですね。
貴重な休みを使ってわざわざ聴きに来て下さったのに燃えないわけがありません。いつも以上にシャツが汗だくになるまで弾き倒しましたよ~(もちろん自分だけが目立つ、というものでなく、トータルなサウンドを意識しつつ)。MCもなぜか絶好調でした。勝手に言葉が口から出てくる感じで、客席も沸きっぱなしの笑いっぱなしです。こんなにMCで受けたことも珍しい。
そして全セットが終わってからのこと。満席だったお客が一斉にレジへ向かうんですが、全組のお客が「楽しかった(^^)」「縁があったらまた来たい」「今日ここへ来てよかった」といって、握手を求めて来て下さったのです。これには感動しました。全力を出し切ったプレイ・音楽にはこんなに人の表情をも変えることのできる凄いエネルギーがあるんだなあ、と。ウケたのが嬉しくないわけじゃありません。ウケたのももちろん嬉しかったですが、それ以上に「遠方から休みにわざわざここへやって来たお客になんとか喜んで頂こう」という思いが通じたこと、そういうエネルギーが音楽から出ていたことに感動したんです。
亡くなったぼくのボスは「聴いてくれる人に感動を与えるのがわれわれの役目や!」と常々言ってましたが、その実、聴いてくれる人から感動を頂いてもいたんですね。
そういう演奏をするには、これはぼく自身の経験から述べることですが、謙虚であること、反面開き直って101%の自分を出すこと、感謝の気持ちを持つこと(出させてくれた店に、来てくれたお客さんに、一緒に演奏してくれるメンバーに、ベースを弾ける今の境遇に・・・いろんなものに感謝です)
逆にいいコにばかりなっても物足りなかったりするんです。ぼくのボスは「ステージではキレろ!」とよく言ってたし、「良い子ちゃんでは人を驚かすような演奏はできへんで」なんてこともよく言ってましたね。
つまり、ステージではつねに101%の力を発揮しつつ、かつヤンチャでありつつ、そしてステージから降りたら人間性で勝負、といったところではないでしょうか。
ともかく、音楽をやっていてこういう感動を得られたのは、ぼくにとっても大きな宝物になっていると思います。大事にしておきたい思い出です。
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私も今月26日はミスチルのライヴへ行ってきます。桜井君はステージの端から端を走るパフォーマンスもしながら歌はバッチリですよ!ほんまプロはスゴイの一言につきます!!
感動を与えるなんて、やはり人並み以上の人しかできません(^^)
全力で取り組んだ演奏が、評価されるのはホント嬉しいですよね。
これって、音楽以外の仕事でも勉強でもスポーツでも同じ。
「謙虚であること、反面開き直って101%の自分を出すこと、感謝の気持ちを持つこと。」
素晴らしいと思います。
おっ、ミスチル行かれるんですね。大いに楽しんできてください。
桜井君は一時はとても心配でしたが、もう完全復活してるんですね。
そうなんですよ、感動を与えるために全身全霊を使って表現するのがプロなんですよね。しかもステージ毎にそれを再現するんですから、頭が下がります。
ぼくも演奏する時はひたすら全力を尽くすのみです~
まりさんだって、記事にコメントが返ってくるということは、人の心を動かす文章を書いているってことだと思いますよ。(^^)
要はどこまで自分を追い込めるか、だと思うんですよ。それが全力で取り組むことにつながりますもんね。
そういえばボスは「毎回、『これが最後のステージだ』と思って弾いてるんや」とも言ってたなあ。それだけピアノを弾くことに人生を賭けていた人でした~
ぼくみたいな凡人(謙遜なんかでなく)がシビアな音を出そうと思ったら自分により厳しくなければ、、、と思います。でもそれはオヤジさんの仰る通り、何事にも通じることなんですよね~(^^)
一番興味のあるところから…(*^。^*)
さすがMINAGIさん!
いちいち、うなずけます♪
私は、ジャズはちょっとだけ、
クラシックや、いろんな事をやってますが、
ステージで感じる喜びは、結局、どれも一緒の気がします。
若い時には、ただ、がむしゃらに練習して、
出来たか、出来なかったか、自己満足の世界でした。
少し、大人になって、
人前での演奏が、とっても怖くなった時期もありました。
そして、MINAGIさんのような体験を
少しは重ねて、
最近は、演奏の機会があるっていうこと自体に感謝!感謝!…
聴いている人が楽しんでくれたら、自分も楽しいって事に気がついたことが、とっても嬉しいです。
とは言え、
ジャズライブは、一回しか経験がないのですよ…しかも、イッパイイッパイだったし(T_T)
その時のベースの人には、
練習の時、泣かされたし(笑)
でも、機会があれば、
またいつか、やってみたいです☆(^^♪
どうもありがとうございます(^^)
そうそう、ジャンルという垣根はあるかもしれませんが、全力で自己表現して、お客様に感動を与える、という意味では、音楽も美術も演劇も映像も同じですよね~
そうなんですよ、若い頃は自分のことにしかメが行かなくて、自分だけがうまくなって自分だけがウケればそれで満足でした。今ではトータルなサウンドに目を向けること、一緒にステージに上がる人はファミリーだと思うこと、などを心がけてます。
そうなんですよね、感謝の気持ちって何事においても大事ですよね。ぼくはベースだから、一人では演奏できないので、いつも使ってくれる人には感謝です。反面自分がバンマスの時は少々エラソー(笑)に仕切らせてもらってます~(^^)
ジャズもある意味経験の音楽だから、慣れればまた違った面白さが見えてくると思いますよ。それにやはり一番自由に自己表現できるますから、演奏者からしたらコワい反面面白さも大きいと思いますよ~ 機会があればまたジャズにもハマってみてくださいませ~(^^)
「謙虚であること、反面開き直って101%の自分を出すこと、感謝の気持ちを持つこと」
これって、どんなことにも共通ですね。
そして、これができれば本当にいい結果、良い関係がつくれるんだと思います。
私も、その気持ち忘れたくないです。
類は類(友)を呼ぶ、ですから、周りの人をみればその人がどうか、も分かったりしますよね。ぼくももっと良き仲間を増やしたいです。