ジャズ系やブラック・コンテンポラリー系のジャム・セッションに参加した人ならば、たいてい一度や二度は演奏したことのある曲のひとつが「ザ・チキン」だろうと思います。
作曲者はピー・ウィー・エリス。
彼はソニー・ロリンズについて学び、1960年代から70年代にかけてジェームス・ブラウン・バンドに在籍したサックス奏者です。
本家本元はジェームス・ブラウン・バンドの演奏なのですが、革命的ジャズ・ベーシストのジャコ・パストリアスが自作のイントロ「ソウル・イントロ」を前に繋げて演奏したものがあまりにも有名となったため、「ザ・チキン」はジャコのオリジナルだと思い込んでいる人も結構多いみたいです。ぼくもクレジットを見るまではジャコの作品だとばっかり思っていました。
ぼくが「ザ・チキン」を知ったのは、やはりあるジャム・セッションの時でした。それで気に入って探したアルバムが、ジャコのライヴ・アルバム「バースデイ・コンサート」です。R&Bフレイヴァーあふれる演奏とアレンジは、R&Bを聴いて育ったジャコのバックボーンの現れではないでしょうか。
会場のざわめきの中、ジャコのMCが聴こえます。そして拍手、歓声。
かなりリラックスした雰囲気が窺えます。
そこで出すジャコのカウントの4拍目にピーター・アースキンのスネアが一発!一瞬にして見事なブラス・アレンジが施された「ソウル・イントロ」が始まります。
バックのブラスに乗せて、のっけからマイケル・ブレッカーのサックス・ソロが炸裂!
「ソウル・イントロ」が終わるや、ジャコのグルーヴィーなプレイで間髪いれずに始まる「ザ・チキン」。
ゴースト・ノートを効果的に使ったファンキーなベース・プレイ、うねるベース・ラインはまるで生き物のよう。
ひとつひとつのベース音の粒立ちが非常にくっきりとしていて、音が立体的に飛び出してくるような気さえします。
ジャコは、ミュート奏法やダブル・ストップ奏法などを駆使して絶妙なグルーヴ感を生み出しています。
また途中でベースを空にしたり、ソロを取っているプレイヤーに絡んだり、と一曲の中でいろんなアイデアを聴くことができます。
まさにジャコのベースには羽が生え、地上を離れて大空に軌跡を描くような爽快感に満ちています。
「ザ・チキン」のテーマはとてもユーモラス。それでいて実にファンキーです。
まさにニワトリが羽ばたいて「コケッ コケッ」と鳴きながら走り回っている姿が頭の中に浮かび上がってくるような、とてもゴキゲンな曲です。
それぞれの取るソロもテーマから感じられる雰囲気をさらに発展させたもので、ユーモラスに、リズミカルに、そしてソウルフルに展開されてゆきます。
このライヴは1981年12月1日、ジャコの30回目の誕生日に行われたスペシャルなものです。ジャコのほか、ピーター・アースキン(drs)、マイケル・ブレッカー(sax)、ドン・アライアス(per)、ボブ・ミンツァー(sax)などが参加しています。
「ソウル・イントロ~ザ・チキン」は、「よーし!」とばかりにテンションを上げたい時なんかに聴くと良いかもしれませんね。
◆ソウル・イントロ~ザ・チキン/Soul Intro~The Chicken
■発表
1995年
■収録アルバム
バースデイ・コンサート/The Birthday Concert (1981年)
■録音
1981年12月1日
■作曲
ソウル・イントロ・・・ジャコ・パストリアス/Soul Intro・・・Jaco Pastorius (1981年)
ザ・チキン・・・・・・ピー・ウィー・エリス/The Chicken・・・Pee Wee Ellis (1969年)
■プロデュース
ピーター・アースキン/Peter Erskine
■録音メンバー
☆ザ・ワード・オブ・マウス・セクステット/The Word of Mouth Sextet
ジャコ・パストリアス/Jaco Pastorius (bass)
マイケル・ブレッカー/Michael Brecker (tenor-sax)
ボブ・ミンツァー/Bob Mintzer (tenor-sax, soprano-sax, bass-clarinet)
ピーター・アースキン/Peter Erskine (drums)
ドン・アライアス/Don Alias (congas)
オテロ・モリノー/Othello Molineaux (steel-drums)
★ゲスト/Guest Musicians
ポール・ホーンミュラー/Paul Hornmuller (steel-drums)
ロバート・トーマス・ジュニア/Robert Thomas Jr.(congas)
オスカー・サラス/Oscar Salas (percussion)
ピーター・グレイヴス・オーケストラ/Peter Graves Orchestra
ジャコ・パストリアス『ソウル・イントロ~ザ・チキン』 Jaco Pastorius Live in Montreal(1982.7)
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今もしょっちゅうジャコは聴いてるから、こんな昔だとは思えません。
いつ聴いてもすんばらすぃプレイですね~
ぼくもよく聴いてますが、とても20年以上前のサウンドとは思えないですよね。
聴くごとにジャコの音楽が好きになっていってます。
マネしたいけどマネできないプレイですね~
でも、彼のアルバムも2枚持っとりますよ。
「ジャコ・バストリアスの肖像」ともう一枚クラシック風?の。
ミュージシャンの方には、圧倒的な人気ですよね♪
なのにどうして、あのような不幸な晩年だったんでしょう~
ビンボーな一人暮らしの学生時代に毎日のように音楽喫茶に通ってウエザー・リポートを聴かせてもらったっけ。
トラバいただいていきます。最近失敗が多いからちょっと不安ですが。
最初はその凄さが分からなかったんですけど、ちょっと耳が肥えてきてから「ジャコ・パストリアスの肖像」を聴いてあまりの凄さに腰が抜けそうになりました。
今やほとんどのベーシストがジャコの影響を受けているものと思われます~
晩年の奇行の数々、ひとつは鬱病だった、という説がありますね。早めに手を打っていたらあんな不幸な亡くなり方はしなかったかもしれないですね
行いはとーーっても人間臭いですが(^^;)。
本当は心の優しい寂しがりやな人間だったそうですね。
ジャコ参加のウェザー・リポートのアルバムだったら「ヘヴィー・ウェザー」とか「8:30」が好きです~ 未だに輝いてますよね。
あ、トラバThanxです。こちらからもトラックバックさせて頂きました(^^)。
カッコイイですね~。
学生の頃、フレットレスベースなのに、
何であれだけクリアな音が出るのかが、不思議でしょうがなかったなあ~。
まあ、そんな事はどうでもいいけど、大好きですね!
惜しい人を亡くしたものだ・・。
あの音色は62年型ジャズ・ベースとアコースティック・アンプ360の組み合わせで出しているらしいですね(受け売り)。そのアンプを買う金があったらあの音色の作成を試してみたいです。
とにかく楽器を持つその姿からして大好きです。(^^)